コラム(226): 既成政党による政治概念の退潮
自由主義を掲げる主要な国々では、政治に対する国民の関心に変化が出てきています。
脱政党政治の時代
アメリカではトランプ氏の既存の政治概念を無視した行動に、民主党だけでなく共和党内部からも批判が出ています。一方で、アメリカの政党やメディアの評価とは別に、トランプ氏の発言や行動を半数近い国民が一定の評価をしていることも事実です。この現象の理由は、既成の政党に対する国民の不信が根底にあることに起因しています。
また、最近では伝統的に左派色の強いフランスで、マクロン大統領が誕生して以来、国民議会総選挙では、マクロン氏率いる新党「共和国前進」が、左派や右派の政党に大差つけ勝利しています。
マクロン氏は、「信頼と意欲、勇気」を掲げました。左右の根強い対立があるフランスで、「左派と右派という認識は時代遅れ」と訴え、「国民が何を信じ、何を望んでいるか」を真剣に問うマクロン氏が多くのフランス国民の心を捉えたのです。
既存の政党に国民を幸せにする力はなくなった
いま、世界的に政治の潮流と国民の政治参画意識が変化しています。
一番の原因は、特定の企業や組織の利益のために存在していた政党が、すでに国民に受け入れられなくなっていることにあります。
従来の政治家と政党は、自分たちと自分たちの票のための政治家であって、必ずしも国民全体の幸せに貢献する政治家ではないからです。
これは与党も野党も否定できない事実です。
既成政党にはない新鮮な政治感覚
日本では昨年の夏、既存の政党政治と決別した小池都知事が誕生しました。小池氏は基本スローガンに「都民が決める、都民が進める」を掲げ、既成政党では発想出来なかった政策を打ち出しています。
メディアは、知事選を小池氏と自民党の対立図式で面白おかしく報じましたが、都民にとっては、東京の未来をどう切り拓き、何が必要なのかという論点が重要な関心事でした。
小池氏は政治目的のための政策を一切排除し、都民のための視点を強調し、既成政党にはなかった新鮮な政治感覚を都民に与えたのです。
民主主義の理想形
小池都知事とフランスのマクロン大統領の共通項は、既成政党にある様々なしがらみや、特定の組織や人のための既得権益のために働くのではないと宣言していることです。
そして、人々や国家のために進んで貢献するとの意思を明確に示し、有権者とともに実現していこうと呼びかけたことにあります。人びとの積極的な貢献の意思が幸せな国家を形成し、また、人々が世の中を良くしようとするから満足感や誇りも生まれます。
従来の一方通行の政党政治スタイルとは異なる、本来の民主主義政治を提起したのです。
政党や組織にこだわる過去の遺物を排除し、人々の幸福ということに主眼を置き、その実現のために都民や国民とともに歩むという小池都知事とマクロン氏の政治姿勢は高く評価されています。
都議会議員選挙で問われるもの
フランスの選挙と同様、都議選では既成政党や特定の組織とのしがらみのない都民ファーストの会が有権者の共感を呼び勝利が確実視されます。
逆に、国民の幸福という視点をなおざりにして、既得権益に固執、政治を政争の具としている既成政党には厳しい結果となりそうです。
都議選の本当の争点は市場の移転などではなく、都議会議員としての根本的な政治信念そのものが問われているのです。
来る都議選で、政治家や政党のエゴによる政治に終止符が打たれることを期待したいと思います。
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