すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。
中国はどう転んでも悪魔の国 :230731情報
中国共産党の中には、“習近平派”と“江沢民派”の2つの派閥があります。習近平が失脚するということは、すなわち、江沢民派が優位に立つということ。もし、党内の闘争によって習近平が失脚し、江沢民派が優位に立つとどうなるのか? これについて台湾独立運動家の見解を求めました。
◼️ 仮面をかぶった悪魔
まず、アメリカの考えを見てみます。米国の元外交官・政府関係者が書いた匿名論文:The longer telegramによると、「江沢民派と習近平派を分断させて習近平を後退させる」、「そうすることで共産党政権は良くなる」といった内容の記載がありました。
果たしてそれが実現したら、中国はマシになるのでしょうか?
私の意見としては、まず、
・習近平政権は仮面をかぶっていない悪魔
・江沢民派は仮面をかぶっている悪魔
だと言えると思います。
どちらの方が危険か? それは仮面をかぶっている悪魔の方が危険です。
江沢民政権の際、彼は「悶声発大財(黙って儲けよう)」という方針を掲げていました。つまり、江沢民派は利益優先なのです。江沢民派は、表面は紳士的なので我々は騙されやすい。中国国民からしても江沢民派の横暴な態度を認識することは難しいのです。だから、江沢民派は習近平政権よりも危険というわけです。
ではなぜ、アメリカの論文は「江沢民派と習近平派を 分断させて習近平を後退させるのが良い」としているのか。それは、2つの派閥の“独裁体制”がポイントです。
江沢民は集団独裁、つまり「党」として独裁をしていました。一方、習近平は独りで独裁をしている状況。
「党で独裁」は集団独裁なので、失脚しづらい傾向にあります。反対に、一人に権力が集中すれば失脚しやすい、すなわち、1人が失脚すれば党全体が崩壊するわけです。
つまり、アメリカの論文は「習近平が失脚すれば 中国共産党全体の崩壊につながる」ということを意図しているんですね。
◼️ 「悪魔の政権」は続いていくのか
では実際、習近平政権が崩壊し、江沢民派の政権になったら、以前の仮面をかぶった悪魔のような政権になるのか? おそらくならないと思います。なぜなら、この40年間で「世界の中国を見る目」が激変したからです。他国は中国に対してもう遠慮はありません。今までのような中国共産党の振る舞いは許されないのです。
このような状況で、江沢民派はどう動くか。 江沢民派はアメリカに協力して利益を得ようとするはずです。なぜなら、アメリカと習近平、どちらも敵に回したら生き残る道がなくなるから。
習近平は、江沢民派が100%ひれ伏したとして、江沢民派を許すことはありません。それはつまり、降参したところで自分の将来の安全は保障されないということ。だから、江沢民派はアメリカに協力するしかないのです。
習近平政権が崩壊して、中国共産党が崩壊しようとも、国が分断されようとも、生き残れるのならアメリカに協力して一緒に習近平政権を倒した方がマシ。そういう考えで江沢民派は動いていくはずです。つまり、もし習近平政権が崩壊したら今までの共産党と同じような“悪魔の政権”が新たに立ち上がるということは考えにくいでしょう。
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ロシア情報② ドンバスの悲劇はなぜ起きたのか? :230729情報
昨日に引き続き、ロシアの内情に詳しい方からの情報です。
「親プーチン派」の重要な論拠に、「ウクライナ軍がドンバス地方(ルガンスク州、ドネツク州)で、ロシア系住民を虐殺した」というのがあります。私は、ウクライナ軍がルガンスク、ドネツクで、「かなりひどいことをした」ことを否定しません。というのも、ルガンスク出身の人から、話を聞いたことがあるからです。
彼らは、プーチンがルガンスク州を併合したことを喜んでいました。とはいえ、物事は、きっちり時系列で見ていくことが大事です。
2014年3月17日、クリミア議会が独立を宣言しました。
2014年3月21日、ロシアがクリミアを併合しました。
2014年4月7日、ドネツク州の親ロシア派が「ドネツク人民共和国」の建国を宣言しました。
2014年4月27日、ルガンスク州の親ロシア派が「ルガンスク人民共和国」の建国を宣言しました。
ウクライナは、自国領内で二つの勢力が分離独立を宣言したことを、容認できるでしょうか? 普通に考えたらできません。
当然、ウクライナ政府は、独立を阻止するための戦いを開始するでしょう。
親プーチン派の人はよく考えて欲しいと思います。チェチェン共和国が独立を宣言した時、エリツィンとプーチンは、「どうぞ独立してください」と容認したでしょうか? しませんでした。
実際、第1次チェチェン戦争(1994~96年)、第2次チェチェン戦争(1999~2009年)によって独立を阻止したのです。
ウクライナ政府が「プーチンと同じこと」をするのは、当然ではないですか? いえ、他のどんな国でも、自国内で誰かが突然独立を宣言すれば、それを阻止するための内戦が起こるでしょう。
だから、ロシア側が主張する、「ドンバスの悲劇」は、ルガンスク、ドネツクの親ロシア派が、「独立を宣言したことで、内戦が勃発した」ことが原因で起こったのです。
もし彼らが、独立を宣言しなければ、「ドンバスの悲劇」は起こらなかったでしょう。(私は、ウクライナ軍のしたことを肯定していません。ただ、「因果関係」を明らかにしているだけです。)
そしてもう一つ。「親ロシア派が独立宣言した」。
これ、「ウクライナ領に住んでいたロシア系ウクライナ人が、自発的に独立宣言したのか」、それとも、「ロシアが積極的に関与して独立宣言させたのか?」、でかなり話が変わってきます。
「ロシアが独立宣言させた」のであれば、「内戦ぼっ発」の責任は、ロシアにある。よって「ドンバスの悲劇の責任も、主にロシアにある」ことになります。
ここで登場するのが、今回拘束されたストレルコフです。
彼は2014年4月~7月に起こったドネツク州「スラヴァンスクの戦い」で親ロシア派勢力を率いていました。これは、ウクライナ軍と、独立を目指す親ロシア派勢力の戦闘でした。FSBの大佐だったストレルコフは、「俺が戦争を始めた」と告白しています。
曰く
< 私は戦争開始のトリガーを引きました。 もし我々の分隊が国境を越えなければ、ハリコフ人民共和国またはオデッサのように最後は失敗していたでしょう。実際、現在まで続くこの戦争のはずみ車は私たちの部隊によって回されたのです。そして、私はそこで起こっていることに個人的な責任を負っているのです。>
(出所、「ノーヴァヤ・ガゼータ」2014年11月20日)
この「国境を越えなければ」という部分が重要です。つまり、FSB大佐ストレルコフは、ロシアからウクライナ側に侵入し、スラヴャンスクの戦いを始めたのです。彼が、「独断」でこれを開始したとは考えられません。
当然、クレムリンからの指示があったのでしょう。
というわけで、ここまでをまとめると、
・クレムリンの指示により、FSBの大佐ストレルコフなどが、ドネツク、ドネツクの親ロシア派を指揮して独立させた。
・ウクライナ政府は当然これに反対で、内戦が勃発した。
・結果、ウクライナ軍が、ルガンスク、ドネツクで残虐行為をした。
こういう流れになっています。
繰り返しますが、私はウクライナ軍がルガンスク、ドネツクでしたことを容認しません。しかし、因果関係を追っていくと、「ロシアが、ルガンスク、ドネツクの親ロシア派に独立宣言させたこと」が悲劇の主な原因なのです。
ウクライナがあっさりルガンスク、ドネツク人民共和国の独立を認めるはずはありません。それは、ロシアがチェチェン共和国の独立を認めなかったのと同じです。
というわけで、「親プーチン派」の主なロジックである「残虐なウクライナ軍」、こういう主張をする人には、「そもそも、その悲劇は、ロシアがルガンスク、ドネツクに独立宣言させたから起こったんじゃないの?」と質問してみてください。
(了)
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ロシア情報① 「反プーチン勢力」の現状 :230728情報
ロシアの内情に詳しい方からの情報です。
ウクライナ戦争がはじまるまで、「反プーチン勢力」といえば、ナワリヌイを中心とする「リベラル派」でした。
ナワリヌイは、ロシア政府高官の汚職を次々と暴露することで、「プーチンは、国民に寄り添って質素に暮らしている神話」をぶち壊していきました。彼は2021年1月に逮捕され、今も刑務所にいます。ロシアの「リベラル反プーチン勢力」は、壊滅状態にあります。刑務所にいるか、外国にいるか、それで、ロシア国内における影響力は、ほとんどなくなっています。
代わって台頭してきたのが、「極右反プーチン勢力」です。これは、何でしょうか?
彼らは、ウクライナ侵攻を大歓迎しました。彼らは、「ロシア軍は3日でキーウを占領し、戦争は終わる」と思っていた。ところが、半年経っても終わらない、1年経っても終わらない。極右勢力の一部は考え始めました。「これは、プーチンが無能だからだ!」と。
どんな人物が、「極右反プーチン勢力」に含まれるのでしょうか?
たとえば、「プーチンのメンター」と呼ばれた地政学者ドゥーギン。この方は、娘のダリアが2022年8月、自動車で爆殺されたことで世界的に知られるようになりました。
たとえば、プリゴジン。プリゴジンは、最前線で戦い健闘していた。それで、極右勢力の中でもっとも人気が高かったのです。
もう一人、今回の主人公イーゴリ・ストレルコフがいます。この方は、どちらかというと、テレグラムとかYouTubeの「ロシア極右系インフルエンサー」といえるでしょう。プーチンのことをもっとも強く批判している極右です。そんな彼が7月21日、治安当局に拘束されました。
テレ朝ニュース7月21日を見てみましょう。
<ロシアでウクライナ侵攻の最も熱心な支持者が拘束されました。ワグネルの創設者・プリゴジン氏の反乱以降、政権による弾圧は戦争推進派へも広がっています。ウクライナ侵攻を強く支持する言動で知られるロシア軍の元大佐、イーゴリ・ストレルコフ氏が21日、治安当局に拘束されました。ストレルコフ氏の妻がSNSに「夫が連行され、行方が分からない」と投稿しました。>
なぜ、拘束されたのでしょうか?
<ストレルコフ氏は侵攻を支持しつつ、ロシア軍が前線で失敗を繰り返しているとして、軍や政権を批判していました。18日には「臆病で凡庸な政権のもとでは6年も持たない」「唯一のできることは有能で責任ある人物への権力の移譲を確実にすることだ」などとプーチン大統領の交代を要求する文書を投稿しました。>
プーチンの辞任を求めている。ロシアを知る人から見ると、「終わった」ということですね。プリゴジンも、プーチンについて、「クソ馬鹿野郎のおじいさん」と呼んだ後、運命が暗転しました。
ここまで、・反プーチン勢力には、ナワリヌイを中心とするリベラルと、 戦争推進派の「極右勢力」がいる。
・極右勢力は、プーチンの弱さを非難している。
・そして、極右の反プーチン勢力内でも粛清がはじまっている、
という話でした。
しかし、これで話は終わりではありません。
(明日に続く)
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米印接近 Ⅲ :230726情報
今、世界の大企業がこぞって注目している国をご存知ですか? 中国や台湾、日本ではありません。インドです。例えば、Amazonはインドに2.1兆円を投資してデータセンターを作る計画があったり、テスラもイーロンマスク氏がインドに大工場を作ると話しています。
先日の当ブログ『続・米印接近の意味するもの』 でもお伝えしていますので、重複する部分もありますが、改めて、国際政治学者に解説していただきます。
■選択を迫られたインドの決断
ここ最近の国際情勢の動きで取り上げる必要があるのは、「米印の急接近」ということです。6月22日には、インドのモディ首相が国賓としてアメリカを訪問し、首脳会談を行いました。そしてアメリカ議会で演説をしたのですが、今回で2回目だったそうです。
今までアメリカの議会で2回演説をした人というのは、チャーチル、ネルソン・マンデラに続いてモディ首相が3人目です。大変名誉な機会を与えられていたのです。これは、米印が本格的な提携関係に入ったということです。
これまでインドは、反日米路線か反中露路線かはっきりした態度をとらずに八方美人外交を続けていました。インドは中国とは対立関係にありますが、武器の大半をロシアに頼っていたこともあり、ロシアとは割と仲が良いのです。
また、インドは人口大国です。IT技術者も多数輩出しており、かつ経済大国になりつつあります。
「曖昧な態度を続けるインドをこちら側に惹きつける必要がある」そう考えた故・安倍元首相がかつてQUAD(クアッド)を提唱しました。QUADとは、日米豪印4ヶ国による集団安全保障の枠組みです。
BRICS路線で反米か?
QUAD路線で反中露か?
二つの路線の選択を迫られていたインドは、「自国の経済を発展させるためには世界の先進国と仲良くした方が得策」と判断しました。モディ首相の訪米が結果を物語っていると言えるでしょう。
■軍事でも経済でも急接近中
そして、軍事的に大変なことが決まりました。ゼネラル・エレクトリック(GE)が戦闘機用のジェットエンジンをインドで生産することになったのです。これはインドにとって、非常に大きな意味を持っています。
なぜなら、モディ首相の目標はインドを製造業大国にすること。今のインドは、技術開発においては素晴らしい国ですが、製造技術が不足しています。そこで、軍事的に非常に重要な戦闘機のエンジンを製造することは、その目標に大きく近づくということです。
さらにアメリカは軍事補給や修理拠点をインドに確保すると言っています。それだけではなく、民間企業のインド進出も始まっています。Amazonはインドに2.1兆円を投資してデータセンターを作るそうです。Appleもスマホの拠点を作りインド生産比率を現在の5-7%から25%まで引き上げるとのこと。テスラもイーロンマスク氏がインドに大工場を作ると話しています。
ウォルマートも2027年までに100億ドル上回るものをインドから調達しようとしています。すべてが中国からインドへシフトしているのです。
防衛と民間経済両方で米印が急接近していることがわかります。QUADの連携を進めていた日本にとっても
大変良いニュースだと思います。
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「脱中国」が顕著なアメリカ :230724情報
今までアメリカのモノの輸入に占める割合でトップを独走していた中国が、メキシコ、カナダに抜かれ15年ぶりに首位から陥落したそうです。つまり、アメリカが中国以外の国と関係を強化して本格的に「脱中国化」を始めたということです。
じわじわと現れ始めた「脱中国」の影響、“アメリカにおける脱中国の実態”を台湾独立運動家に解説していただきました。
◼️ 数字で見るアメリカの脱中国
我々は普段、経済を見る際にはマクロ経済とミクロ経済の両方を見ます。マクロ経済は統計、ミクロ経済は各々の消費者の行動です。一般的には、この両方を見た方が正しく経済を判断できると言われています。
しかし、中国の場合は、マクロ経済、つまり統計による判断は大体間違っています。なぜなら、中国では数字の捏造が横行していて、信用できるデータが少ないからです。ただし一つだけ、比較的参考になるデータがあります。それは貿易に関するデータです。
理由は簡単です。貿易というのは相手がいます。例えば中国が、アメリカにたくさん輸出しているとして、中国がそのデータを改竄すれば「いやいや、中国からはそんなに輸入していない」とアメリカ側のデータとの間で食い違いが起きてしまいます。ですから、貿易のデータは比較的捏造しにくいのです。
では、今回は中国の海関総署(税関)が発表した輸出入の国別データを見ていきましょう。
驚くべきことに、中国の対米輸出総額は前年比で18.2%もダウンしています。
・日本は13.3%減
・EUは7%減
・ASEANは15.9%減
一方、対ロシアは114.3%増加しています。理由は非常に分かりやすく、ロシアが経済制裁されていて、みんなロシアと商売しなくなったからです。その分、中国がロシアへ輸出するようになっている。たったそれだけです。
さらに、アメリカにおける中国製品の割合を見てみると、武漢コロナが流行する前は平均20%だったのに対し、2023年5月には13.3%にまで減少しています。もはや全体の1割に近いような状態です。つまり、アメリカでは中国製品がもうかなり少なくなってきたわけです。
◼️ 中国製品なしの生活はできない?
今から16年前、2007年にヒットした一冊の本があります。“A year without made in China”
1年間、中国製品のない生活をしてみるという内容で日本語訳にもなっています。著者はSara Bongiorniというジャーナリストで、家庭の主婦であり母親でもあります。彼女はある日、自分の家にあるものは見る限り全部中国製じゃないかと気づきます。クリスマスに飾るオーナメントや運動靴、家電製品まで何から何まで中国製だと…。そしてSaraは、中国製品のない生活はできないのだろうかと考え、1年間だけ実験をすることにしました。
旦那さんを説得して、家族が使う全ての製品から中国製のものを排除して、中国製品なしの生活をしたのです。結果は「極めて難しい」。中国製品ではないものを探しても、まず見つかりません。運よく見つかったとしても、ものすごく価格が高い。彼女は、ついに、完全に中国製品のない生活はできなかったのです。彼女のこの経験は2004年、つまり今から20年ほど前の話です。
しかし、今同じことをしてみたらどうでしょう?
アメリカにおける中国製品の割合はたったの13.3%になりました。今なら中国製品なしの生活が普通にできるのではないでしょうか。中国製に代わるものも、アメリカのマーケットに溢れています。中国なしでも、アメリカの主婦が生きていけるような状態になったわけです。
◼️ 新たに生まれた2つの経済圏
中国の税関が発表したデータからは2つの事実が分かります。
1つはアメリカを中心とする民主国家の脱中国が加速しているということです。中国からものを買わなくなったということは、中国へのサプライチェーンの依存が非常に少なくなったということです。これは脱中国に向かう一つの流れになります。
そしてもう一つの事実は、2つの経済圏が形成されつつあるということです。
・アメリカを中心とする民主国家の経済圏と、
・中国を中心とする独裁国家の経済圏です
対ロシアの輸出は114.3%も増えている。ある意味で中国とロシアとの相互依存が深まっている最中です。
ロシアは他の国々が物を売ってくれないので中国から買わないといけない。そして中国は、他の国々の減少した輸出分をロシアに輸出するということになるわけです。おのずと中国とロシア、もしくはイラン、北朝鮮、シリアなどの独裁国家は1つの経済圏になるわけです。
中国は彼らとお互いに相互依存が深まっていくわけですから、彼らに物をたくさん売るようになって別のところへは売れなくなっていきます。
だから民主国家は意図的に中国からサプライチェーンを他のところに分散するようになります。
民主国家側を見てみると、2008年からアメリカとカナダとメキシコの三国はUSMCAという自由経済圏を提携しました。基本的にはこの3か国の内部で部品を使えば、アメリカへの輸入はゼロ関税です。当然、あらゆる国は工場をメキシコに建てるようになります。つまり中国でなければいけない理由がなくなり、自然と2つの経済圏が形成されるのです。
これがアメリカの脱中国の実態です。
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続・米印接近の意味するもの :230722情報
7月11日付の当ブログでは、『米印接近の意味するもの』 を台湾独立運動家の目を通して語っていただきましたが、今度は、その続編というべきものを国際政治学者に分析していただきました。中国の孤立化は避けられないようです。
米印急接近と中国の孤立
インドのモディ首相が国賓としてアメリカを訪問し、6月22日に首脳会談を行いました。これは、経済や軍事と安全保障両面で米印関係が本格的な提携関係に入ったということです。
反日米路線か反中露路線かはっきりした態度をとらずに八方美人外交を続けていたインド。
インドは中国とは対立関係にありますが、武器の大半をロシアに頼っていたこともありロシアとは割と仲が良いのです。また、インドは人口大国です。IT技術者も多数輩出しており、かつ経済大国になりつつあります。
「曖昧な態度を続けるインドをこちら側に惹きつける必要がある」
そう考えた安倍晋三元首相がQUAD(クアッド)を提唱しました。
QUADとは、日米豪印4ヶ国による集団安全保障の枠組みです。
BRICS路線で反米か? QUAD路線で反中露か?
二つの路線の選択を迫られていたインドは、「自国の経済を発展させるためには世界の先進国と仲良くした方が得策」と判断しました。モディ首相の訪米が結果として物語っていると言えるでしょう。
そして、軍事的に大変なことが決まりました。戦闘機用のジェットエンジンをインドで生産することになったのです。これはインドにとって、非常に大きな意味を持っています。なぜなら、モディ首相の目標はインドを製造業大国にすること。
今のインドは、技術開発においては素晴らしい国ですが、製造技術が不足しています。そこで、軍事的に非常に重要な戦闘機のエンジンを製造することは、その目標に大きく近づくということです。
さらにアメリカは軍事補給や修理拠点をインドに確保すると言っています。また、Amazonはインドに2.1兆円を投資してデータセンターを作るそうです。Appleもスマホの拠点を作り、インド生産比率を現在の5-7%から
25%まで引き上げるとのこと。テスラもイーロンマスク氏がインドに大工場を作ると話しています。ウォルマートも2027年までに100億ドル上回るものをインドから調達しようとしています。
すべてが中国からインドへシフトしているのです。防衛と民間経済両方で米印が急接近していることがわかります。
インド洋に米海軍の補給所? 中国に残された選択肢
米印急接近により、中国の一帯一路は大きなダメージを受けました。一帯は陸路、一路は海路を表しています。
アメリカから見るとインドは地球の真裏にある国でインド洋は一番遠い海となります。インドがもし反米や親中路線をとった場合、インド洋は中国の海となり米国艦隊はもはや入ることができません。
これが今回まさに真逆の態勢となり、つまり、アメリカから一番遠い海で空軍、海軍の修理や補給ができるようになりました。これはアメリカのグローバル戦略ではとても大きなポイントです。
一方の中国としては、一路が絶たれたわけですから、その分陸路にこだわることになります。
ロシアからイラン、ペルシア湾まで3,000kmの鉄道を繋ぎ、中央アジアの国を抱き込んでいく方向で強化せざるを得ません。繋いだ先にあるドイツには今なお一部で根強い親中路線があります。
ドイツの世界的化学メーカーであるBASFは100億ユーロを投じて中国に大工場を作るそうです。ロシアの安い天然ガスを狙ってのことですが、中国の鎖国態勢にも怯まず進出する動きがあるということ。これは日本としても警戒が必要です。
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新BRICS通貨は米ドル支配を終わらせるのか!? :230721情報
一昨日の『ドル体制に「穴」をあけるアジア決済同盟(ACU)』 の続きになるかもしれません。
世界経済を大きく揺るがすと恐れられる「新国際通貨」計画があります。これは、BRICSと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、チャイナ、南アフリカによるもので、8月に行われるBRICS首脳会談では、この「共同国際通貨を作る」という共同声明が発表されるのではないか、と言われています。
現在、金融市場では様々な憶測が飛び交っていますが、実際のところどうなのでしょう? 国際政治学者に解説いただきました。
■一部の専門家の不安
今回の共同国際通貨を作ろうという話。一部では、「『金本位制』が復活するのでは…」、「ドル基軸通貨体制を揺さぶる 大変なことになるのではないか」ということを言ってる人もいます。
「1ブリック=金1オンスと決めていれば、昔の金1オンス=35米ドルと言うような『ドル金本位制』に近い形になるのではないか」、「ドルは慢性的にインフレで 価値がどんどん下がっているので、それに代替する とても強い安定した国際通貨となり国際金融制度そのものが 揺さぶられるのではないか」、「今の世界銀行と IMFを中心とする国際通貨制度が揺さぶられるのではないか」、と言っている専門家もいます。
■金本位制の難しさ
もちろん、BRICS通貨を発行することはできます。ですが、「金本位制」にすることは非常に難しいと思います。BRICSの国も、中国、ロシア、南アフリカなど金の産出国であり、また金を買い集めています。しかし、BRICS共同通貨を実施するとなると、その金を1カ所に集め、それに見合った通貨を発行しなければなりません。
また、本当の金本位制を行なうためには今ある、鳴かず飛ばずのBRICS銀行を改組しなければいけません。国際的に強力な中央銀行を作って、そこに実際に金を集めてその金に応じてBRICS通貨を発行する。
果たして、そこまでできるのでしょうか?
皆んな、そこまでのやる気、団結心がありません。チャイナからすれば、人民元が強くなっているから、人民元そのものを国際化すれば良いと習近平は思っているようです。国力のバランスから言えば当然そう考えるでしょう。
ロシアは金本位制はいい考えだという節もある。インドとしては、ヨーロッパやアメリカに相反してまで、孤立化している中露と組むことはできません。このことから、各国の足並みが乱れると思います。
■裏で糸を引く超大手民間企業
ただ、この新国際通貨の背後で糸を引いている大きな存在があるのです。それがゴールドマン・サックスです。
そこに、このBRICS論を一生懸命プロモートしてきた人がいました。それがジム・オニールという人物で、BRICSという言葉を作ったのもこの人です。彼は、3月26日に学術雑誌で「BRICS各国は共同通貨を発行して ドル覇権体制に挑め」という、半ば煽るような論文を発表しました。
彼は、ゴールドマン・サックスの会長を2013年に退任し、その後、イギリスの財務省で政府高官を務めていた「英国守旧派」です。つまりは、英国のタックスヘイブンを維持して無国籍金融資本でうまくやっていこうと考えているのでしょう。
■各国の思惑
ゴールドマン・サックスが裏で糸を引いているのなら、「BRICS通貨の金本位制」も逆に説得力があるのではないかという考え方もあると思います。しかし、当のBRICS各国は思惑が違います。ロシアにしてもチャイナにしてもゴールドマン・サックスのような国際金融資本と今の政権はかなり対立しています。
習近平は、国際金融は排除し、ロシアやイランなどの一部の国と団結して、西側の先進国中心の経済システムとは別の鎖国的システムを構築しようとしています。プーチンも、国際資本とはつかず離れずの立場でしたが、ウクライナ戦争を始めてからは国際的な金融資本はむしろ彼の敵となっています。
以上の理由から、BRICS共同通貨が現実化する可能性は非常に低いと私は見ております。
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ドル体制に「穴」をあけるアジア決済同盟(ACU) :230719情報
世界の経済情勢が、「リーマンショックが起きた2008年に似てきた」という話をする人がいます。「100年に1度の大不況」といわれたリーマンショックの前に、「世界的なドル離れ現象が起こっていた」ことがいま起きているからのようです。
詳しいお話を伺いました。
・ユーロの紙幣流通量がドルを超えた。
・プーチンが「ルーブルを世界通貨にする」と宣言した。
・イランが、原油のドル決済を止めた。
・南米共通通貨、アフリカ共通通貨、湾岸共通通貨などの創設が議論されるようになった。
などなど、今再び「ドル離れ現象」が起きています。要注意なのです。
具体的例としては、
・SWIFTから排除されたロシアが、「人民元圏」にくみこまれた。
・ブラジル、アルゼンチンが、中国との貿易を人民元で行うようになった。
・南米共同体で、「南米共通通貨構想」が復活してきた。
・中国中央アジアサミットで、「運命共同体」を創ることが合意された。
・中央アジアは将来「人民元圏」に組み込まれることは、ほぼ確実。
など。
フォーブス6月5日。:<インド、パキスタン、イランを含む9カ国の中央銀行から成るアジア決済同盟(ACU)は、既存の主要な国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)に代わる新たな金融メッセージシステムを今後数週間で立ち上げる計画だ。現在ACUの議長国を務めるイランの関係筋によると、先月24日に首都テヘランで開かれた会議で、1カ月以内に新制度を立ち上げることで合意に至った。>
ーー「アジア決済同盟」(ACU)。皆さんご存知でしたか?
ウクライナ戦争でロシアが排除されて困った国際決済システム「SWIFT」に替わるシステムです。ちなみに中国には「CIPS」というのがあります。
ACUの参加国は、バングラデシュ、ブータン、イラン、インド、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカ、ミャンマー
要するに、この9か国が取引するときは、「SWIFTをつかわず、ACUでやりましょうよ」と。メンツを見ると、インドが参加しているのがとても気になります。
しかし、他のメンツを見ると、「ドル体制にとってそれほど脅威ではないかな」と思えるかもしれません。ですが、これは「ドル離れという大きなトレンドの一つ」ととらえるべきです。
上に挙げた例、
・SWIFTから排除されたロシアが、「人民元圏」にくみこまれた。
・ブラジル、アルゼンチンが、中国との貿易決済を人民元で行うようになった。
・南米共同体で、南米共通通貨構想が復活してきた。
・中国中央アジアサミットで、「運命共同体」を創ることで合意。・中央アジアは将来「人民元圏」に組み込まれることは、ほぼ確実。
という「ドル攻撃の一環」と見れば、「かなりヤバイトレンドだ」ということがわかるでしょう。
前回は、こういうトレンドの最中に「100年に1度の大不況」が起こりました。皆さんは、「08年ってどんな感じだったかな?」と思いだして、防衛策を練りはじめてください。
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習近平が台湾統一を必死に目指す理由 :230717情報
—「戦争に勝つために軍の能力向上を加速させよ」―
習近平は6日、中国軍の台湾担当部門にこのような指示を出しました。
6/8には37機、7/4には24機というように、戦闘機を頻繁に台湾に接近させ、軍事的圧力を強めている中国。さらに今年4月、台湾の独立を主張した男性を「国家分裂罪」容疑で逮捕、なんて事例もあるほど。
「台湾独立」に敏感に反応し、妨害する中国ですが、なぜ、習近平はこんなに必死に台湾統一を目指しているのでしょうか?
本日は台湾独立派の方に、“習近平が台湾統一を必死に目指す理由”を語っていただきました。
■自分の罠で追い込まれた習近平
習近平は最初から台湾への武力侵攻という目標を掲げて政治家になったかというと、決してそうではないと思います。
習近平は2018年3月11日、「世界の人類運命共同体を構築する」と宣言しました。これは、「すべての人類に、 中国の優れた体制を分け与えよう」ということ。これにより、彼は世界の指導者たる地位を確立しなければいけなくなったわけです。
しかし、ゼロコロナ対策で経済は悪化し、「経済」という分野での正当性はなくなってしまった。では、どう自分の正当性を示すか。それが“偉大なる中華民族の復興”です。「偉大な中華民族が復興できたのは習近平のおかげだ」と信じてもらうことで正当性を示そうというわけです。
この“中華民族の復興”の第一歩こそが「台湾統一」。小さな台湾も統一できないで、全人類を指導する、人類運命共同体を構築するなんて、誰が信じるでしょうか。つまり、習近平にとって台湾統一は、もともとやらなくていいのに、自分に課してしまった課題なのです。
自分がデカデカと掲げた目標のせいで達成しなければならなくなったんですね。このような事情で、「自分の言葉の人質」になった習近平は必死に台湾統一を目指しているのです。
■さらに習近平を追い込む国内事情
最近、中国国民全員が習近平独裁の「被害者」になりました。それが「ゼロコロナ対策」です。国民みんなが
仕事に行けなくなったり、医者に診てもらえなくなったり…
これにより中国経済は悪化し、国民全員が習近平政権に対して不満を持つようになりました。
中国人は自分に関係する不利益に対しては行動する国民性です。つまり、習近平への不満が爆発する可能性が
大いにあるということ。少しでも政権の弱いところが国民の目につけば、権力が危うくなるわけです。
彼ほどの独裁者になると、権力基盤が危うくなったら、ただ権力を失って終わりではありません。権力も命も、そして家族の命も財産も、すべてを失うことになるんですね。
自分と家族を失うことと、自分の権力があるうちに台湾侵攻の命令を出すこと。どっちの方が簡単か、それは台湾侵攻です。習近平はその意味でも台湾への武力侵攻を絶対しなければならないわけです。
■武力の対象は台湾だけではない
この武力侵攻の対象は台湾だけではありません。習近平は対象を2つ掲げています。1つ目は外部勢力。これはアメリカと武力衝突するという意味ですね。2つ目は台独勢力=台湾独立分子、これは日本含む僕らのことを指しています。
つまり、アメリカと台湾独立運動をやっている連中と敵対するということですが、これはある意味で僕に言わせれば、全世界の民主国家陣営との対戦になるわけです。
習近平は、このようにして台湾にとどまらず、民主国家陣営まで敵に回し、対立しなければならなくなったのです。
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バイデン再選に危険信号!? :230715情報
2024年大統領選挙に向けバイデンvsトランプの再戦が注目視されているアメリカ。
そんな中、6月22日にバイデン大統領に対する弾劾決議案が提出されました。弾劾決議案の採決強行は回避されましたが、ローレン・ボーバート議員が「特権決議」として提出した弾劾決議案を国土安全保障委員会と司法委員会に送ることを219対208で決定しました。
この意味するところを、国際政治学者は、「バイデン政権は、もうどうしようもなくガタガタになってきているんです」と述べています。いったいバイデン大統領に何があったのでしょうか? 解説を求めました。
■バイデンに対する弾劾決議の理由
6月22日バイデン大統領に対する弾劾決議案が提出されました。弾劾決議は、通常司法委員会を通さなければいけません。ですが、今回司法委員会の共和党議員の意見が一致しなかったので、共和党のローレン・ボーベルトという議員が「特権決議」として弾劾決議案を提出しました。そして下院は、この弾劾決議案を国土安全保障委員会と司法委員会に送るという決議を、219対208で決定させました。
ボーベルトさんによると、「バイデン大統領は、移民関連法の施行と、合成麻薬オピオイドフェンタニルの密輸をめぐる、メキシコ国境の安全対策を怠ったため、宣誓に違反した」とのことです。
簡単にいうと、「ほぼ全ての移民を自由化し、南部国境をほとんど開放してしまって、国境管理を必要としない 違法難民や違法移民をどんどん無制限に受け入れている。また、合成麻薬フェンタニルの取り締まりも、ちゃんとやってない。これは大統領として宣誓したことに相反するじゃないか」ということです。
■ガタガタになるバイデン政権
また、共和党のマージョリー・テイラー・グリーンさんも、バイデン大統領やレイFBI長官、ガーランド司法長官に対する同様の弾劾決議を計画しているとのことです。この決議が通るとそれぞれの委員会で、2日以内に採決しなければなりません。
これは米下院がバイデン大統領の弾劾に向けて第1歩を踏み出したと言えるのではないかと思います。バイデン大統領としても政権がもうガタガタなのです。そして、これ以上、無制限に大規模な戦争予算を、ウクライナにかけることはできなくなってきています。
これはアメリカの下院を中心にして共和党が止めているということを意味しています。
■ウクライナ戦争の終わり?和平への道筋
そうすると、戦争はもう長くは続けられません。そのあたりは、プーチンも見ておりあまりやり過ぎても、国内の政治的安定を失われてしまうと理解しています。また、6月13日にプーチンはプリゴジン率いるワグネルを潰すよう命令を出しました。あまりにも大きくなりすぎた力を抑えるためです。
プリゴジンは、元々プーチンの右腕で秘密裏にロシアの軍事力として働いていましたが、今回の反逆行為によりプーチンにとっても手に余るものになってしまいました。
ロシアの軍事力を失ってまでもワグネルを潰すよう命令を出したという事実を見ると、プーチンも、戦争を終息に向かわせた方がいいと思っているのではないでしょうか?
バイデンやプーチンの動きから、和平への道筋がだんだん見えてきたということです。
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中国が覇権国家になれない理由・・・チャイナマネーの減少
:230713情報
習近平独裁体制の確立ともに中国という国家の動きがますます見えづらくなってきました。幸い、国際政治を専門とする北野幸伯氏の面白い論評を見つけましたので、許可を得て掲載いたします。
中国について私は、2005年に一冊目の本、『ボロボロになった覇権国家アメリカ』を出した時から、ずっと同じことを書きつづけています。
・中国は、08年~10年に起きる危機を短期間で克服する。
・だが、高成長は2020年まで。
当時、日本では、「08年の北京オリンピック、10年の上海万博後バブルが崩壊し、共産党の一党独裁体制も崩れる」という「中国崩壊論」が大流行していました。しかし、私はその時、「中国はまだ国家ライフサイクルで
成長期だから、立ち直りははやい」と書き、実際にそうなったのです。
あの本を出してから15年が経ち、中国の高成長時代は終わりました。とはいえ、ここ数年、「わけのわからない年」がつづいています。
2020年と2021年は、「新型コロナパンデミック大不況」。
2022年は、「ウクライナ戦争インフレ」。
異常事態がつづいているので、中国の状況がわかりにくいのです。
そんな中、先日、『フォーブスジャパン』7月3日付に、面白い記事を見つけました。
<中国の東南アジアへの政府開発融資(ODF)は、データが入手できる直近の年である2021年に再び減少した。同年のODFは39億ドル(約5630億円)相当で、最も多かった2015年の76億ドル(約1兆970億円)の半分強の水準だ。2010年以降の年平均額である55億3000ドル(約7940億円)をも下回っている。>
中国の東南アジアへの政府開発融資が、2015年の1兆970億円から、2021年には5630億円まで減少した。6年間でざっくり半減しています。
<中国に代わって他国や国際機関の存在感が増している。2015年以降、中国はこの地域最大の単独投資国として全体の25%を占めていたのが、わずか14%にまで落ち込んだ。実際、中国の投資はピーク時から急減し、今ではアジア開発銀行と世界銀行にトップの座を譲っている。>
2015年から2021年までで、東南アジア投資に占める中国のシェアは、全体の25%から14%まで減少したそうです。本当に「急減」ですね。
<日本は継続的に投資しており、2015年からの累計額は中国にほぼ追いついた。中国の累計投資額は379億ドル(約5兆4690億円)で、そのほとんどが期間の前半に行われた。地道な取り組みにより日本の累計投資額は280億ドル(約4兆405億円)で、韓国もそう劣らず200億ドル(約2兆8860億円)強だ。以下、ドイツ、米国、オーストラリア、フランスの順に多く、各国の累計投資額はそれぞれ85億ドル~54億ドル(約1兆2265億~7790億円)となっている。>
日本、なかなか健闘しています。そしてもう一つ。日本、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、フランスは、
「反中包囲網」の「チーム」です。(「一枚岩」とはいえない状況ではありますが。)日独米豪仏が東南アジアに投資すれば、それだけ中国と東南アジアの関係が薄くなります。
では、中国の対東南アジア投資額は、なぜ減っているのでしょうか?
<中国の劇的な投資減は海外における優先順位の転換を反映するものではない。東南アジアは地理的に近く、貿易ルートそして国防の観点からしても中国にとって極めて重要であることに変わりはない。また、マレーシアのように中国の「一帯一路」構想への関わりに消極的な国もあるが、東南アジアの国々が中国マネーから一斉に目を逸らしたわけでもないだろう。むしろ、中国が投資を控えていることは、中国が経済と金融の問題を抱え込んでいることを改めて示している。最近のデータが入手できるようになっても、中国の投資が戻っている可能性は極めて低い。>
中国が投資を控えている理由は、「中国が経済と金融の問題を抱えこんでいることを示している」そうです。しょっちゅう書いていますが、中国は、
・国家ライフサイクルで、高成長の「成長期」から 低成長の「成熟期」に入っている。
・人口が減少し始めている。
・習近平は、奇跡の経済成長を成し遂げた鄧小平を軽蔑し、「大躍進政策」で経済を破壊した毛沢東を信奉している。そのため、「マンションは住むもので、投機するものでは ない」など、経済音痴な言動で中国経済を破壊している。
この三つの理由で、もはや高成長時代は戻ってきません。中国のパワー、影響力の源泉は、「チャイナマネー」です。しかし、東南アジアの例を見てもわかるように、中国経済の問題で、ばらまけるチャイナマネーの量が減少している。それで、中国は覇権国家になれないのです。
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米印接近の意味するもの :230711情報
最近、国際情勢のパラダイムシフトを加速させる出来事が起こりました。
アメリカとインドの接近です。インドはご存知のように国連のロシア非難決議に加わりませんでしたが、これはインドの武器の調達元が主にロシアであることが大きな理由だったわけです。しかし、アメリカから防衛協力を得られるのであれば、ロシアから滞り始めている武器の調達を補うことができるのです。この意味するところ、国際情勢に大きな変化をもたらすことは明らかです。
この米印の接近を受けて世界はどう動くのでしょう? これで、本当に、中国とロシアを抑え込むことができるのでしょうか? 台湾独立運動家にはこのパラダイムシフトがどう映っているのかを解説していただきます。
■台湾人観点でみる米印接近
6/22、インドのモディ首相が訪米し、バイデン大統領と共同声明を発表しました。台湾人としての観点から見れば、この共同声明には非常に重要な4つの進展があったと思います。
①戦略的パートナー
インドとアメリカは「戦略的パートナー」となって宇宙関係から半導体、AI、量子技術、クリーンエネルギーに至るまで、技術開発を共に進めていこうとしています。アメリカが他国とこのように広範囲の分野で共同開発をした前例はほとんどありません。
②国防協力
アメリカは優れたジェットエンジンの技術を持っていますが、未だかつて同盟国にさえもその技術を移転したことはありません。しかし今回、この技術を移転して、インドでも作れるようにしたのです。さらに、アメリカの軍艦の修理と整備点検をインドで行うという取り決めも交わされました。これはアメリカとインドが情報共有をするということであり、よほどの信頼関係がないとできません。
③地域安全保障の協力
モディ首相が立ち上げた地域安全保障の組織:インド太平洋海洋イニシアティヴ(IPOI)にアメリカが加入しました。国際的な組織にアメリカが入るか否かというのは、天と地ほどの差があります。NATOを見てもわかる通りアメリカがいるだけで一気に強い組織へと変貌するのです。
④サプライチェーンの確保
サプライチェーンは中国に握られてきましたが、今回の会談を経て、それを徐々に断ち切る流れへと向かっています。
■なぜ、今、インドなのか?
アメリカが見込んだインドの強み、それは6つあります。
① 中国を抜いて、最大の人口をもつ。それも高齢層が多い中国と違い若い世代が多いのが強みです。
② 民主主義の国である。アメリカから見ると同じ民主主義の国なので価値観も倫理観も一緒です。であれば、インドの方がより信頼できるとなるわけです。
③ 反中国国家である。いち早く中国との貿易依存を一掃したのがインドでした。
④ 優れた理工系の人材が多い。シリコンバレーにもインド人のエンジニアや医者が多くいます。
⑤ 英語圏の国であること。英語が通じるというのは非常に大きな強みです。
⑥ 世界で5番目の経済大国。アメリカ、中国、日本、ドイツに次いですでに5位。これからもまだまだ成長の余地があります。
これらはインドの大きな強みと言えるでしょう。
■米印接近が世界にもたらす影響
では、米印接近は具体的にどのような影響をもたらすのか? まず大きいのは今までインドが消極的で未完成だった「インド太平洋戦略」が完成することです。これにより、インド洋を中心に東南アジアからアフリカまでの一帯にアメリカの勢力が入ってきます。
すると、中国が進める「一帯一路」政策の「一路」を切断することができます。さらに、インド洋にアメリカが入れば、そこを通る中国のエネルギー調達のための海路、いわば中国の生命線が常にアメリカに握られることになるのです。
また、インドは人口も多く、マーケットの大きい国です。インドと中国は競争関係にあるので、インドが強くなれば、当然中国が弱くなります。
米印の協力によりこれからインドの産業がさらに発展していけば世界で脱中国化がさらに加速し、中国は弱体化していくでしょう。
国際情勢のパラダイムシフトとも言える今回の米印接近。我々がこの歴史の大変動に参加できるということはある意味でラッキーなことなのです。
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安倍元総理の一周忌に際し:安倍さん、安倍さん、ありがとう
――世界を中国の魔の手から守った男、その名は安倍晋三――
安倍さんの一周忌にあたって、安倍さんの偉大な功績をもう一度確認したくなって過去のブログを読み返しておりましたら、安倍さんの本質に迫るのではないかと思えるものがありました。これを読んでいただければ、安倍さんの功績がわかるとともに、偉大な政治家と同時代に生きることができた幸運を自覚できるのではないでしょうか。
(昨日の『中国の野望を打ち砕いた男、その名は安倍晋三』 のつづき)
(22.09.25初掲載)
中国が安倍元総理に対して怒り心頭に発しているのは、オセロゲームのように黒石を白石にひっくり返されたことだけではありません。ほかに三つの理由があるのです。
中国包囲網はNATOにまで広がろうとしている
第一の理由は、安倍元総理の提言の「開かれたインド太平洋戦略」に共感した米・豪・印が日本とともにQUADを形成し、中国包囲網を形成したことです。しかも、アメリカは安倍元総理の思想を対中政策の基本戦略に取り入れてしまいました。この方針は中国がつぶれるまで変わることはありません。日本の政治家の意見をアメリカが国策としたことは、ペリー来航以来の日米関係史上初めてのことです。
また、QUADの方向性を受けて、今年6月29~30日にかけて開催されたNATOの首脳会議では12年ぶりに新しい戦略概念が発表されました。このなかで中国は、「制度的挑戦」、「体制を脅かす存在」であると位置づけられただけでなく、ヨーロッパ全体に「中国は脅威である」とのコンセンサスができあがりました。
いま、中国がわが物顔で走り回る南シナ海、東シナ海周辺には米国のほか、英・独・仏の海軍にカナダやオーストラリアまでも加わって中国の暴挙を阻止するようになりました。
先日も、米下院議長のペロシ氏が台湾を訪問して、国際社会に台湾の重要性をアピールしましたが、これも裏返せば、中国の暴挙を国際社会全体で止めようとしていることにほかなりません。
伝え聞くところによると、「ペロシ議長の乗った飛行機を撃ち落とせ」と息巻いていた中国も、ペロシ議長の米軍護衛体制があまりに強固だったので、以降トーンダウンし、「ぺロシ」の「ぺ」の字も口に出せなくなりました。(中国軍の最新の動向は当ブログ「台湾有事と中国軍の動向――真実の中国⑤ 」 ご参照)
なお、中国政府は軍の反乱をおそれ兵器と弾薬を別々に配置しており、その上、汚職し放題の中国軍のありさまですから、中国にはこの大きな包囲網を突破する力はありません。
安保法制が中国の侵略を止めた
さて、中国が安倍元総理に怒り心頭な第二の理由は、安保法制を成立させ、国内の安全保障体制を万全にしたことです。当時を振り返ってみれば、国内では中国派の連中による反対運動が騒がしかったことを覚えておられることと思います。彼らの口からは、「軍靴の足音が聞こえる」、「徴兵制が復活する」、「戦争法案だ」などのありもしないデマが流されました。
一方、保守派の一部からも「憲法改正が先だ」という声もありましたが、結果論で考えるならば、安保法制を成立させたことは正解でした。これが中国の機先を制したことになり、もしこれがなければ、今頃、沖縄は中国の餌食になっていたかもしれないのです。ウクライナの悲劇どころではなかったのです。
なぜなら、鳩山元首相の「県外移転」発言が実現していたとするなら、たちどころに沖縄は中国領になっていたはずです。それは、「軍事的な空白地帯ができるとそこは必ず他の勢力によって埋められる」という物理上の法則があり、軍事学の常識だからです。中国人は厚かましいのでどこでも簡単に侵入してきます。現に、ロシア領内には長い国境線を越えて中国人が多数侵入しているという事実があるのですから。
こう考えていくと安保法制を成立させた安倍元総理は、沖縄県民だけでなく日本人にとっての命の恩人と言えると思います。中国の侵略を防いだだけでなく、戦争による人命の被害をなくしてしまったのですから。国防を実践する人こそ、国民の命を守るために立ち上がっているわけで、平和を愛する人だからそれができるのだということをよく理解してほしいと思います。
一方、国防を否定する側の人たちは、侵略軍が攻めてきたとき城門の扉を開いてわざわざ彼らを迎え入れようとする国を売った人々で、ハニートラップや賄賂で篭絡された人びとです。安倍元総理は、このような愚かな政治家やメディアの罵詈雑言にたえながら、祖国と国民を守りぬいたのです。これが「日本を取りもどす」ということだったのです。安倍元総理の信念と勇気に感謝せずにはおられません。
朝貢の拒否が中国崩壊を早める
中国が安倍元総理に怒り心頭な第三の理由は、多くの人には理解しがたいことであるかもしれませんが、安倍元総理が断固として華夷秩序を否定し、中国への朝貢を拒否したことです。それが結果的に中国の滅亡を早めたことに中国は怒り狂っているのです。
華夷秩序や朝貢については、当ブログの「華夷秩序とそれに抗う日本」 をご覧いただければと思いますが、中国が華夷秩序の一環として、中国が提唱したAIIBや一帯一路に日本が拒絶したことは、中国にとっては衝撃的な出来事でした。
中国は、その走狗となったメディアや経済ジャーナリストたちに「バスに乗り遅れるな」との世論喚起をさせてまで、日本をAIIBに引き込み、習近平氏の威厳を世界に広めようとしたのですが、安倍元総理はハナから無視しました。
現在の時点でもAIIBは機能していないようで、貸金業で世界を支配しようとした中国の目論見は破綻しましたし、何よりも朝貢しなかった日本のために、習氏は面子丸つぶれになりました。これは習王朝の崩壊の一因になります。
国葬儀の日を境に安倍元総理は世界の守護神となる
こうしてみると安倍元総理は日本が誇る戦略家だとういこうとがわかります。それも中国の策をことごとくひっくり返しただけでなく、中国の野望を封じ込め、覇権の野望を無効にした大戦略家であることがわかります。後々まで傑出した戦略家として歴史だけでなく文学の領域でも記録されることになると思います。
それゆえにこそ、中国は安倍元総理が死してもなお恨み、走狗に命じて「国葬反対」を叫ばせ、安倍元総理の功績を打ち消したいわけです。
しかし、こんな国を売る人たちに怒りを向ける必要はありません。彼らに対して怒れば、私たちも怒りで汚れてしまいます。
私たちがなすべきことは、国葬儀の日に、安倍元総理を思い浮かべて静かにに手を合わせ感謝の思いで報いること、それが国民としての在り方だと思います。そして、私たちは、安倍元総理への感謝の中に、こんなにも優れた政治家と同時代に生き、歴史の生き証人としてともに時代を過ごせたことの幸運をかみしめて過ごしたいと思います。
この日を境に、安倍元総理は俗世の雑音から離れて歴史上の人物となります。
これまでの日本の歴史上の偉人と称えられるヤマトタケルや、大化の改新を成し遂げた天智天皇と同等かそれ以上の評価を受けるのではないでしょうか。こののち教科書に登場し、また歴史物語として語り継がれ、千年、二千年先には神話として描かれることになると思います。
しかも、国史だけではなく、世界史に登場するはずです。なぜなら、人類を中国の覇権主義から守り、世界に平和と安定をもたらした偉大な政治指導者として称賛されるからです。歴史は安倍元総理に対する正当な評価を求めます。歴史書は世界の守護神として安倍元総理を長らく語り継ぐことでしょう。
安倍元総理、いや、親しみを込めて、安倍さん、本当にありがとうございました。あなたと同時代に生きてこられて大変幸せでした。安倍さん、安倍さん、ありがとうございました。
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安倍元総理の一周忌に際し その1:
中国の野望を打ち砕いた男、その名は安倍晋三
安倍元総理が凶弾に倒れて早一年。国際状況を見ていても、そして国内政治を見ていても、安倍元総理がおられれば・・・、と思うことがしばしばあります。日本の歴史に於いてこれほど傑出した政治家は安倍さんを置いて他にないと思う筆者には未だに喪失感があるのも事実です。
あれから一年、安倍さんの一周忌にあたって、安倍さんの偉大な功績をもう一度確認したくなって自らの過去ブログを読み返しておりましたら、安倍さんの本質に迫るのではないかと思えるものがありましたので、本日と明日の二回にわたって再録をいたします。
これを読んでいただければ、安倍さんの功績がわかるとともに、偉大な政治家と同時代に生きることができた幸運を自覚できるのではないでしょうか。
(22.09.24初掲載)
凶弾に倒れた後も、安倍元総理は誹謗中傷を浴びせられています。日本を、そして世界を中国の魔の手から救った大恩人を、心ない人びとはなぜ死しても鞭打ち続け、国葬儀までも台無しにしようとしているのでしょうか。中国春秋時代の伍子胥(ごししょ)に由来する「死者に鞭打つ」作法は日本人の感性にはなじみません。安倍元総理に鞭打ち続ける連中の精神性には中国が深くかかわっていると言っても過言ではないと思います。
では、なぜ中国がそれほどまでに安倍元総理を憎むのか、それを理解すれば自ずと安倍叩きの原因がわかると思いますし、そこから安倍元総理の思想と行動の意味がよく理解できると思います。そこで、本稿では、世の中の適当な評論とは全く違う視点から、生き馬の目を抜くような厳しい国際社会の中での安倍元総理の足跡を追いながら、歴史の真実に焦点を当てつつ、その行動の意味を検証したいと思います。
民主党政権下、それは日本が孤立化する始まりの時代だった
2009年6月、メディアの扇動でつくられた民主党政権ほどひどい時代はありませんでした。今でも「野党に政治をまかせることはできない」と国民に強く認識させるほどの大失敗の連続でしたが、外交分野に特化しても、国際社会における日本の孤立化を招いたと言っても過言ではないほどの稚拙な外交を繰り返していました。
例えば、最初の総理大臣の鳩山さん、普天間基地の移設問題で無責任に「最低でも県外」と言い出し、アメリカには「trust me(トラスト・ミー)」と言って不信感を増幅させました。
このときの米大統領はオバマ氏で、この時代、大統領やクリントン氏をはじめ米民主党は中国に取り込まれていました。実際、オバマ氏の異母弟は中国の食客、クリントン夫妻は「中国との黒い関係」が取りざたされており、鳩山さんの発言と行動は日米間の関係をますます悪くさせるだけでした。
次の菅直人さんの時代は、尖閣での中国漁船衝突事件がありました。中国側の領土侵犯という重大な問題なのですが、親中で何も抗議できない日本政府を横目に、中国はレアアースの禁輸などで逆に日本を締め上げてきました。弱いと見た相手に強気で対応するのが中国の手法です。
その次の野田内閣の時は、ロシアのメドヴェージェフ首相の北方領土訪問で日ロ関係が悪化、また、韓国の李明博大統領 が竹島に上陸しただけでなく、天皇陛下に謝罪を要求したため日韓関係が急激に冷え切りました。このような中で、野田さんは尖閣の国有化を宣言したため、日中関係はさらに最悪となりました。
中国は、親中政権である日本の民主党政権が中国には何も逆らえないことを見越し、さらに、日米関係がもやもやしていることに乗じて、日露間、日韓間を分断して日本の孤立化を図ろうと考え、2012年11月に「反日統一共同戦線」を結成しました。このことはロシアの公式情報である11月15日の「ロシアの声」(現在の「スプートニク」)に掲載されていたのですが、当時の日本は総選挙の真っ最中で誰も関心を払っていませんでした。
それら三国とも日本との領土問題をかかえていますので、中国提案の反日包囲網形成にすぐに飛びついたのだと思います。したがって、総選挙で復活した第二次安倍政権の外交政策は、日本包囲網をいかに打ち破っていくかの戦いから始めなければなりませんでした。
第二次安倍政権の外交はオセロゲームにも似て
2012年12月の安倍元総理の復活は、国内的には保守本流のプリンスが返ってきたことを歓迎する声が圧倒的でしたが、国際的には、日本の孤立感は深まるばかりでした。それは、オバマ米大統領の日本嫌いに加えて民主党政権下の基地問題という負の遺産をかかえ日米関係はギクシャクしていたことと、李明博路線を引き継いだパククネ韓国大統領は中国の指示に従い世界各地で告げ口外交を展開していたことなどが原因と思われます。
極め付きは2013年12月の安倍元総理による靖国参拝でした。この時は、なぜか中韓のみならず、米英仏、オーストラリア、ロシア、台湾までが靖国参拝を非難しました。中国による工作とその手先となった韓国の告げ口外交が日本をここまで追い詰めたのだと思います。この時点で日本は、中国の思惑通り、日米間の亀裂、日韓、日露間は険悪、英仏独の欧州や豪の日本無視の構図が出来上がり、孤立無援となったと言えます。
ここまでに至ったのは安倍元総理に対する中韓の「歴史修正主義者」とのレッテル貼りでした。当時からブログを書いていた私も、なぜ、欧米諸国や台湾までも安倍元総理のことを「右翼」、「軍国主義者」呼ばわりするのかと思っていましたが、この汚名を着せたのが中国の仕業とわかると、この疑問は氷解しました。
そんな中にあっても、安倍元総理は強運の持ち主でした。日本包囲網が解けるチャンスがきたのです。それは2014年3月に起きたロシアのクリミア併合です。これを境に、アメリカはロシアに目を向けざるを得なくなり、相対的に日本に対する非難が少なくなったのです。
また、2015年3月には、中国がAIIBを設立しました。そこには、英仏独伊、スイスやオーストラリア、イスラエル、韓国などが参加するという事態になり、オバマ政権をいらだたせる事件がありました。幸いなことに安倍政権は中国の奸知を察していたため日本は参加しませんでした。これが、オバマ氏の対日評価を変えるきっかけとなったようです。
きわめつけは、その翌月の4月、安倍元総理のアメリカ議会演説「希望の同盟」【※1】でした。これは悲観論に満ちていたアメリカ国民を勇気づけただけでなく、日本嫌いのオバマ大統領をして「歴史的な訪問に感謝する。日米関係がこれほど強固であったことはない」とツイートさせました。この時点で、日米間の亀裂は修復されたと言っていいと思います。
【※1】「希望の同盟」演説の最後の部分:「なにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、 希望である、希望でなくてはなりません。米国国民を代表する皆様。私たち の同盟を、『希望の同盟』と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、 世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。希望の同盟 ――。一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました」
また、2015年12月には、韓国との慰安婦合意を締結しました。韓国が約束は守らない国であることは知っていても、日米同盟を強固にする観点からアメリカの意向を受け入れ、かつ、中国による日韓分断の工作を破壊するため清濁併せ飲んでの決断でした。これで中国の日韓分断のたくらみが壊されました。
その後2016年12月にはロシアのプーチン大統領が来日、27回目の会談を行いました。これで日露の友好関係も修復され、中国が工作した日露分断も無効にしたと言えます。なお、北方領土問題については、ロシアは最初から返す意思がないことは誰もがわかっていることなのですから、安倍元総理のロシア外交は失敗だというのは言いがかりにすぎません。それを知っていながら、わざと言う方が悪意ある人間であると思います。
さて、2017年、アメリカにトランプ大統領が誕生しましたが、その就任直前に安倍元総理がトランプ氏の私邸を訪れ、個人的にも深い信頼関係を築きました。この信頼関係がのちのG7会合で安倍元総理の存在を輝かせます。
2018年のカナダでのG7サミットではドイツのメルケル首相が机を叩かんばかりにトランプ大統領に迫る場面がありました。そのときトランプ大統領は「シンゾー、お前はどう思う?」「シンゾー、言うことを聞くからあとはまとめてくれ」と安倍元総理に丸投げをしました。安倍元総理はG7のなかの「トランプ大統領対欧州」の対立の間に入って見事に調整し、以降、英仏独の首脳の心をがっちりつかみました。
このとき、日本は国際社会で確固たる地位を築いたと言えるのではないかと思います。
さて、ここまで、安倍元総理の外交の軌跡を分析すれば、まるでオセロゲームのように、状況を一つ一つひっくり返しているのがわかります。2013年の靖国参拝時には、日本を白石とするとまわりは黒石ばかりでした。しかし、時がチャンスを呼び込み、黒石を一つ一つ白石にひっくりかえして、中国の狙っていた日本包囲網はどこにも見あたらなくなりました。
それどころか、ひっくり返した白石とともに黒石の中国を取り囲んでしまいました。この安倍元総理の凄腕を私たちはなんと形容したらいいのでしょうか。(明日につづく)
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ウクライナ復興会議の裏で蠢く魑魅魍魎 :230707情報
昨年2月から続くウクライナ戦争も、ウクライナが年内の停戦交渉を考えているというニュースもあり、少しずつですが、休戦停戦の方向に動いているようです。そんな中、ロンドンでは、ウクライナ復興会議というものが開かれました。
ウクライナの復興のために世界各国が集まって話し合う。一見すると、良いことのように見えますが、その実態は大きく異なるようです。この実態を国際政治学者は以下のように解説しています。
■ウクライナ復興会議の内容
6月21日、22日、まさにプリゴジンの反乱が起きる前ですが、2日にわたって、ウクライナ復興会議なるものがロンドンで開かれました。これは61ヵ国の代表が出たり、民間企業でも21業種400社が参加して、ウクライナ復興をやらなければいけないが、お金はどうやって集めるんだ、また、それによってビジネスチャンスがあるんだというような話をしました。
資本主義というのはすごいもので、戦争で儲けて、また復興で儲けようということなわけです。この復興の話においては、例えば、民間企業がウクライナに投資しようすると、また戦争が起きるのではないかということが心配ですよね。そのため、それに対しての保険が必要ではないかという話が出てきました。
普通の保険というのは、戦争が起きると無効になってしまいます。皆さん海外旅行に行かれるときには旅行保険などに入ると思いますが、これも戦争などに巻き込まれた場合は無効になるはずです。免責条項になってしまうんですね。
しかし、それだと困るので戦争保険みたいなものが必要だという話が大いに出たそうです。このような話を聞くと、世界の保険会社、特に、イギリスのロイズ保険あたりが大儲けしようと考えているなということがすぐに分かります。
また、ウクライナ復興のためには、国際的なウクライナ復興銀行を作ろうというような話もしていまして、アメリカの大手銀行JPモルガンチェースと、大手投資会社ブラックロックが中心となって話をしているということです。
そして、このブラックロックのラリー・フィンクCEOは、なんと6月6日に、岸田首相と36分間も会っています。1年2ヶ月ぶりの再会だそうですが、恐らくラリー・フィンクさんが持っていった話は、「これから戦争が休戦停戦になるって、ウクライナ復興銀行を作ります。日本も相当貢献してくださいよ。日本国民から搾り取った税金を出してくださいよ。日本の大手銀行も大いにこの復興バンクに参加してお金を出してください。そうすれば儲かりますよ」というような話もしたのではないかと思います。
■ウクライナ復興会議の実態
そして、これがどういう方向に来るのかという話が大体見えているのですが、このウクライナ復興会議において、脱炭素電源が大事だねという話が大いに出たそうなのです。脱炭素電源といったら、太陽光発電や風力発電というよりも、まず原発推進ということです。ウクライナ自身がもう原発大国なわけです。
なので、脱炭素電源といったら、申し訳程度には、太陽光や風力もやるのでしょうが、やはり集めた資金は、ウクライナを大原発銀座にするために使うという構想になっているのではないでしょうか。
そもそもCO2が増えると、地球が熱くなって困ってしまう、だから脱炭素を目指すんだという話は原発推進のために出てきた話ですからね。
また、資金源については、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が、凍結したロシアの資産を全部没収し、これを復興資金に当てればいいではないか、というすごい話をしております。
■搾り取られる日本人の血税
これが合法なのかという話はありますが、それぞれの国は自分の国のことでいっぱい、いっぱいです。日本みたいな国は、岸田さんが国民を増税で苦しめて、そのお金を平気で、各国でばらまいていますし、
財務省の馬鹿官僚もそれに乗せられてやっているので、日本は騙されて巨額のお金を巻き上げられるのでしょうが、他の国は、それほどあまちゃんではありません。
なので、どこから大きな金を持ってこようかといったら、ロシアの凍結資産を使えばいい、というふうになるわけです。なので、復興といっても、必ずしも明るい話ではない、ということになると思います。
もちろん、戦後のウクライナに兵器を売りつけるというのもビッグビジネスになります。
とにもかくにも、あまり話が健全な方向にいってなくて、戦争で儲けた人たちが復興でも儲けようというような国際復興会議だったようです。
このような裏の事情も見ておく必要があると思います。そして、このような時に日本だけが馬鹿を見て、金だけ巻き上げられないように注意しなければいけません。これは岸田内閣である限り無理だと思いますが。
国民の血税をふんだんにウクライナに持っていき、ウクライナの人たちが本当に感謝してくれればいいですが、そうではなくて、おそらく国際的な無国籍的な大企業に大儲けされてしまうようなオチになるのではないかと心配しています。
ここに日本の企業も賢く参加して儲けるというのは、もちろんいいことです。しかし、このような美辞麗句復興会議の陰で行われていることも、十分認識しておかなければいけません。真面目に、額に汗して働く日本人が、ばかを見ないような、しっかりとした外交が日本には必要です。
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