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コラム(405):
愛する人や郷土を守るろうとする気持ちが国防論の基本です
ウクライナ人の国防意識がプーチン氏を追い詰める
ネットを見ていたら「プーチン激怒」という言葉が目に飛び込んできました。激怒の理由は、「戦費試算『1日最大3兆円』、高価な長距離精密誘導弾使用」にあるようです。
ネットコメントには、「いくら何でも1日3兆円はないだろう」といった意見も見られましたが、これの元記事を求めたところ、NATO元最高司令官による「ロシアの戦争コストは1日あたり数十億ドルであり、このままではプーチンは国民の支持を失う前に資金を使い果たすことになる」との言及があり、あながち大げさではないようです。
また、この記事によらずとも、プーチン氏、高額兵器の消耗に加え、ウクライナの思いもよらぬ強い抵抗、西側諸国による最大級の金融制裁など、予測以上の深刻な事態に直面していて毎日を激怒しながら過ごしているように見えます。
もともとウクライナ侵略作戦はずさんな作戦立案だったことが明らかになっています。世界最強と言われるアメリカ海兵隊でさえ、キエフの10分の1のイラクの都市ファルージャを制圧するのに2カ月近くかかっています。キエフどころか「ウクライナ全土を数日で落とせる」とプーチン氏が聞きたい情報ばかりをあげていた連邦保安局(FSB)の対外諜報部門は、軍事作戦よりもプーチン氏のご機嫌取りに忙しかったのでしょう。
しかも、現状のロシア軍の兵力ではNATOに遠く及ばず、「ロシアは核兵器による威嚇でしかNATOに対抗できない」とまで指摘されるほど、ロシア軍の脆弱性が指摘されています。さらに、強力な金融制裁のおかげで戦闘機の補修やミサイルなど兵器の補給にも支障が生じて、作戦変更を余儀なくされるまでに追い込まれているようです。
これらは、ウクライナの人びとの祖国防衛の熱烈な思いがロシア軍への必死な抵抗を生み、その思いと行動が国際社会の共感を生み出してロシア制裁の機運を醸成した結果です。同時に、ロシアの一方的停戦案を押し戻す力となっています。国民一人一人の覚悟が国防には何よりも大切であるころを教えてくれました。
余談になりますが、ある星占いの方がプーチン氏の未来を「某大宗教教団の教祖と同じ脳梗塞を患い人前に出られなくなるのではないか」と予測するほど、プーチン氏は頭に血が上っているようです。
国防の要は国民の国防意識
さて、ここでプーチン氏をそこまで追い詰めたウクライナを見るたびに、国民の国防意識がいかに重要かということが、よくわかると思います。
現代の国防とは、平時の国家体制の中に、恒久的な戦時社会と戦時経済を構築することを意味します。それだけに、兵器も兵士も戦闘行為の始まる前に大量に用意しなければなりませんし、兵器も兵士も準備や訓練に長い時間を要します。
先日のニュースでウクライナのビール工場が急遽、火炎瓶製造に切り替えたと報じられましたが、第一次世界大戦前までの戦争では、平時の生産施設を可能な限り早く転用して生産された兵器をもって戦うということが普通でした。1861年からのアメリカ南北戦争では、大砲なども大急ぎで転用された平時の工場で、しかも戦闘が始まってから生産されています。また1870年からの普仏戦争は、戦闘に駆り出されるわずか数週間前に初めて軍服を着せられた民間人によって戦われました。
しかし、1890年代に入ると戦時経済と平時経済は別物となり、第一次世界大戦以降、この考えが今日まで定着しています。しかも、第二次世界大戦後、植民地から解放された新興国は直ちに新しい軍事政策をとり、有事に備えて最新兵器の調達に走っています。ただ、軍事力の維持のため経済的、社会的負担はあまりにも大きく国家財政を破綻させ、ソ連のような大国をも崩壊させています。同時に、軍拡競争が逆に近代史において最も長く大国間の戦争のない期間を生み出し、すでに70年が経過しています。
これから言えることは、理想論や感情論では平時に戦時を想定することは避けなければならないとされていますが、現実論として国際情勢を見ると他国が戦時体制を敷いている以上、感情論を押し殺してでも防衛のための軍事力を備えなくてはならないことは誰の目にも明らかです。
さらに、昔からプロパガンダの反戦平和を他国にばらまき、防衛力が弱まったのを見て侵略しようとする中国が存在する以上、憲法前文に「諸国民の公正と信義を信頼する」と書くことで平和が保障されていると考える日本には、日米安保体制を排除することができれば、たやすく侵略できることになります。
したがって、1960年代、70年代の安保反対闘争、集団的自衛権を明らかにした2015年の安保法制に対して、旧ソ連や現中国の手先となった人々が反対闘争を繰り広げていた意味をいま改めて考えるべきと思います。そして、国内に向けて軍備拡大反対の声をあげるのではなく、軍事力を増大し続ける中国や北朝鮮に向かって「軍拡反対」を叫ぶべきだと思います。それをしないで国内に反対を叫ぶのは別の意図があるからです。
実際、立憲民主党の枝野さんは緊急事態対応の改憲の動きに、「震災と原発事故の対応をした。憲法の縛りのせいでやれなかったことはたった一つたりともない」、「具体的に困ることある?」 と言っています。中国が日本を軍事的に制圧して支配したいとの意図に対して、これを手引きしようとする当人には口が裂けても言えるはずがありません。
繰り返しになりますが、ロシアの一方的な停戦条件をはねのけ、ウクライナ案をロシアに考えさえるようになったのは、ウクライナの人びとの国防への意識と抵抗の力です。それは平時からロシアの侵略を想定し防衛体制を整えていたから可能となったものです。
翻って日本の国防を見たとき、これで十分に国を守り切れるかと言えば不安になります。それは装備の問題よりも心の問題だと思います。祖国や愛する家族を守りたいと思う素朴な感情だと思います。
同時に、ウクライナ問題ではっきりしたのは保守や中道と見られた人の中に、ロシア派や中国派が存在し、彼らは侵略されるような事態になった場合、「命は大切だから早く降伏しよう」と呼びかけて人心を惑わす可能性が極めて高くなってきたと感じます。言うなれば、城に籠って守りを固めているときに、内側から城門を開いて敵を城の中にいれようとする人びとが意外に多くいるのです。
彼らは彼らの利益のために侵略を意図する国と手を組んで行動している人たちですから、いくら説得をしても改心するわけはありません。彼らの言動を無視し、彼らの言動に影響を受ける人を少しでも減らしていくほかに方法はありません。そして、彼らと逆のことをやることが日本人としての正しい生き方であることを伝えて、愛する人や郷土を守るために、防衛という考え方は現時点では絶対に必要な考え方であると言い続けることしか方法はありません。
私も機会あるごとに国防の重要性を訴えていきたいと思います。
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