赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

大坂なおみさんは新しい時代の流れをつくった current topics(563)

2021-06-01 08:42:22 | 政治見解


current topics(563):
大坂なおみさんは新しい時代の流れをつくった


5月30日に開幕した全仏オープンテニス、試合後の記者会見を拒否することを表明していた大坂なおみ選手は宣言通りシングルス1回戦に勝利した後の会見に参加せず、規定違反による15000ドル(約165万円)の罰金が科せられました。その後、自身のツイッターで、2回戦を棄権すると表明しました。

大坂選手は大会前に、自身のSNSに投稿した声明で、「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていないと感じていた」として、「特に負けた選手をあのような場で問い詰めるのは、落ち込んでいる人を蹴落とすようなもの」と、試合後の会見が選手の精神状態に悪影響を及ぼす可能性を指摘していました。

この問題について友人から以下のコメントを頂きました。


大阪なおみ選手が会見拒否をしたら、主催団体が罰金を課して、続けた場合には出場停止にすると言っています。
世界中のスポーツ団体は多かれ少なかれ、選手のことよりも利益や利権を大事にします。

その最たるものはオリンピックです。
選手を金儲けのための道具にしています。

私は、大阪なおみ選手が「こんなものクソ喰らえ」と言ってさっさと辞めてしまうことをお勧めします。
お金まみれのスポーツ団体が、これをきっかけに次々に崩壊するのではないかと思います。

【追伸】
大坂なおみ選手が大会の棄権を表明したようです。
大会主催者やスポーツ協会が「出場停止処分」をほのめかしていたのですが、自ら棄権しました。

大坂なおみ選手は他のスポーツ選手がそうであるように、テニスを愛し、テニスを通して自己表現することに喜びを感じています。
ところが協会や主催者団体は、選手を金儲けの道具として利用しています。

彼らは常に利益や利権を求めているので、スポンサーの顔色や放映権料を気にしています。
大坂なおみ選手が拒否していた会見も放映権料に関わるので、主催者側はどうしても会見に出席してほしいわけです。

そこで、拒否した大坂なおみ選手に「言うことを聞かなければ追放」と警告したわけです。

世界的に有名な選手だから大きく取り上げられるのですが、同じことは日本のスポーツ団体にも言えることです。

IOC国際オリンピック組織委はじめメジャーなスポーツ競技団体の多くは、
スポーツ選手の育成やスポーツ文化の発展を目指していると言いながら、
本当は利益や団体の立場を重視して、それを損なう者を排除しようとしているのです。

当然、メディアはそれに加担することで自分たちの利益を守ろうとするわけです。

この問題を報じるメディアの姿勢、評論家や解説者の言葉、スポーツ関係者の言葉を観察してみれば、
人間の心を大切にする大坂なおみ選手を理解するのか、あるいは物事を損得で考えているのかがわかります。



私も、大阪なおみさんの勇気ある発言を大変評価します。スポンサー企業のお金の力で支配されている競技団体の権威が丸つぶれになったこと、そして、それに群がって生きてきたスポーツメディアの傲慢さが大阪なおみさんの発言で改めて明らかになってきたからです。

なかでも、テニスのメジャー大会を支援するスポンサー、BNPパリバはたびたび不正行為を摘発されている金融資本で、テニス業界は汚れたお金に支配されていると言っても過言ではありません。

しかも、テニスに限らず、プロスポーツはスポンサー企業にお金で飼われている存在です。極論すれば、プロスポーツ選手には内面の自由は許されない現代の奴隷とも言うべき存在であり、彼らを支配する競技団体は奴隷商人のようなものです。したがって、大阪なおみさんは奴隷商人に反旗を翻した英雄的存在と言えます。

また、競技団体は宣伝のためにメディアを使いますが、メディアの言論力が競技団体の盛衰を左右するため、競技団体はメディアに対しては何も言えない風潮があり、選手の内面の自由などよりは団体の利益を守ろうとします。したがって、選手の内面の苦しみなど平気で踏みつけるジャーナリストが選手をいじめても競技団体にとっての有名税くらいにしか感じていないわけです。メディアの傲慢さ対しても大阪なおみさんは一矢報いたのです。


大坂なおみさんの「反乱」に対し、競技団体もメディアにもことの深刻さは理解していないようです。札束をちらつかせれば現代の奴隷はいうことを聞くと思っているのでしょうが、人間はお金よりも心の自由を求めることが重要であるということに気づいてないようです。

時代は企業の目的性を、金儲け中心主義から社会貢献や人びとの幸せを創造するものにシフトすることを要求しています。しかも、まだまだ長引きそうなコロナ禍の影響で、お金で人を支配しようとしてきたスポンサー企業にもその精神性ゆえに陰りが見え始めています。

大坂なおみさんの言動について批判的な意見を言う人もありますが、彼女の言動の本質は金儲け至上主義に陥っている現代社会に対する明確なアンチテーゼであり、時代の潮流を変えた大きな出来事であると言えます。



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