赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

① トランプ大統領就任演説——戦いの始まり告げるトランプの静かなる怒り

2025-02-01 00:00:00 | 政治見解
① トランプ大統領就任演説
——戦いの始まり告げるトランプの静かなる怒り



トランプ大統領就任に関していろいろなイベントがありましたが、一番大事なのは大統領の就任演説(Inauguration speech)です。

ここでトランプ大統領が非常に静かな演説をしました。これは迫力がないというより、むしろその雰囲気による迫力があったと思います。戦いの始まりを告げるトランプの静かなる怒りを感じました。この4年間でバイデン&ハリス政権がアメリカを破壊したから、それをこれから全て覆してアメリカを再建するという想いを感じました。

同時に、前政権の悪政に対する怒りをたぎらせても、表に出すことなく静かに抑えつつ、非常に迫力のある演説だったと思います。

この演説の詳細について、国際政治学者は以下の様に解説しています。許可を頂いて掲載します。


演説の概要

政策重視の演説でした。就任式の演説としては異例だったと思います。就任式のおめでたい演説でアメリカの伝統の素晴らしさを讃えたり、アメリカンデモクラシーの勝利であったり、これは1党派の共和党や民主党という勝利ではありません。そういう言葉を繰り返すのが普通の就任演説です。ある意味、美辞麗句で片付けるというのが、型通りとなりますけど、そういう雰囲気ではありませんでした。

これからこういう政策をやるということが、トランプによって事細かに語られたのです。選挙演説を930回もやったのち、前回の2021年1月20日にホワイトハウスを追われてから4年間繰り返してきた彼の様々なメッセージを総ざらいするような形で就任演説が行なわれました。



冒頭で「アメリカの黄金時代が今ここから始まります」と言ったあと、司法の武器化を終わらせると強調しました。トランプも散々やられたのですが、こういったことを二度と起こさせないと決意したのです。

そのあとに「2025年1月20日は解放の日である」と言っています。その後、マーティン・ルーサー・キングを称える言葉が出てきました。個人の名前で出てきたのはマーティン・ルーサー・キングと25代大統領のウィリアム・マッキンリーの名前くらいだったと思います。それで政策的には一番目として南部国境に国家非常事態を宣言すると言ったのです。

全ての内閣メンバーに対しては「インフレを打破するために全力を尽くせ」という大統領令を出すということで、各省の長官とも権限があるから、それを使ってインフレを打破するように伝えました。

それから国家エネルギー非常事態を宣言するということです。石油と天然ガスを掘りまくって、アメリカに天から与えられた資源をフル活用しようではないかと言っています。

それと当然のことながら、グリーン・ニューディールは終了ということです。電気自動車の義務付けを撤廃して自動車産業を救うと言いました。非常にはっきりしています。

さらに、外国からの輸入品に関税を益々かけて、アメリカの労働者を守ると言ったのです。それから政府効率化省を設立して効率化を図ると言っています。また、政府による検閲を停止し、言論の自由を重視すると言いました。アメリカでの自由な言論を取り戻す大統領令に署名しています。そして、政治的対立者を迫害するための司法の武器化を二度とやらせないと言いました。

次に当然ですが、法と秩序を取り戻すとも言っています。それから、政府が人種と性別を社会や個人生活の全ての面で無理に組み込もうとする政策を終わらせると言ったのです。いわゆる「DEI:Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)」と言われる逆人種差別主義をやめさせると言いました。



それから、性には男性と女性の二つの性別だけしか存在しないということを政府の公式な方針として明らかにしています。また、COVID-19(武漢コロナウイルス)のワクチンの接種に反対して、無理やり軍隊から追放された人たちがいるのです。その人たちに全額の給与を支給して復職させます。そして、世界最強の軍を再度作ると言いました。

しかし、我々の使命として、私達の成功は勝った戦いだけでなく終わった戦争と最も重要なこととして戦争を避けたことによって図られることになるでしょうと言ったのです。戦争を終わらせ、戦争を避けることによって平和を築くというのが方針であると言っています。バイデン政権の真逆のことを堂々と言ったわけです。

次にメキシコ湾(Gulf of Mexico)というテキサスの前にある海を「アメリカ湾に改名する」と言いました。これはアメリカの地図で改名することは簡単でしょう。メキシコ人は相変わらず、メキシコ湾と呼ぶと思います。ウィリアム・マッキンリーという大統領の名前を取った「マッキンリー山」という山があったのですが、これをオバマが名前を「デナリ」に変えていたのです。確かマッキンリー山は北米大陸で一番高い山だったと思いますけど、その名前をマッキンリーに戻すと言いました。

それから次は大事ですけど、パナマ運河を取り戻すと宣言しています。パナマ運河はアメリカが資金を出して3万8000人以上の命の犠牲の上にできました。これをパナマにあげたのですが、そのパナマが管理権をいつの間にかチャイナに譲ってしまっていたのです。チャイナに譲渡した覚えはないので、それを取り戻すということになっています。

演説の中で「最も重要なのはチャイナがパナマ運河を運営しているという事実です。私達はそれをチャイナに与えたのではなくパナマに与えました。約束を破ったから返してもらいます」と言っているのです。

最もこれらの発言以外のところでトランプは「アメリカの船舶に対する通過料金がパナマは高すぎる」と言っていました。この運河の運営を任されている会社が香港のハチソン・ワンポアという会社だったと思います。

そこは基本的にチャイナの会社ですから、それが困るということです。パナマ共和国からアメリカがパナマ運河を再度力で取り戻すということより、この運河の管理会社がアメリカの会社に代われば良いのです。そこが眼目なのではないでしょうか。

そうすると、パナマ運河を警備していると称するチャイナの兵隊も当然追い出せると思います。それと併せて、おそらくパナマで非常に汚い『パナマ文書』も出ましたがタックスヘイブンですから、それを潰して整理するということがトランプの本音だと思うのです。

次の約束はアメリカに蔓延している慢性疾患を終わらせると言っています。子供たちの安全と健康を守り、病気から解放すると言っていました。これはケネディJr.の考え方も活かされていると思います。

それと「アメリカの宇宙飛行士を火星に送り込みます」と言っているのです。そして、星条旗を火星に立てると言っています。これを言ったときにイーロン・マスクが大喜びしていたシーンは、非常に印象的でした。大統領令で具体的にやることを列挙していったということです。

トランプは続けて「私達の力は全ての戦争を止め、怒りと暴力など予測できない世界に新たな団結の精神をもたらすでしょう」と述べています。平和に重点を置いた演説でもあったと思います。

続く


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