赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

憲法9条、日本共産党の本音 コラム(407)

2022-04-07 11:16:24 | 政治見解



コラム(407):
憲法9条、日本共産党の本音


台風や地震の襲来も憲法9条で禁止したらよい

ロシアのウクライナ侵略で日本国民は国防ということを意識し始めているようです。読売新聞の最新世論調査では防衛力強化「賛成」が64%に達したと報じられています。世論調査はどのメディアもデスクが数字を操作するものですが、このご時世ですから、20ポイント減らしてみても「防衛力強化賛成」の数字は大きくなるのは当然だと思います。

これに慌てているのが憲法9条を信奉する集団です。日本共産党の小池書記局長は「憲法9条を空想的とあざ笑えば破滅的な戦争になる。9条を守り、戦争のない世界をつくろう」と主張、田村智子参議院議員は「憲法9条の精神に沿った市民社会の声こそがロシアを追いつめる力だ」と述べています。

北海道新聞もウクライナ問題の編集後記に「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する―。憲法9条の理念を再確認したい。」と主張しています。

これらの発言、私には彼らがまるでカルト宗教信者のような精神主義に陥っているように見えます。「憲法9条」、「憲法9条」とのお題目を唱えておけば、ロシアはウクライナから撤退するし、中国、ロシア、南北朝鮮は絶対に日本に攻めてこないと信じ切っているように見えるのです。

現実の様々な事象に対して暴力沙汰まで起こしながら抗議する彼らが、こと憲法のことになると、夢見る人になるのが実に不思議です。「憲法9条」と聞くだけで一瞬のうちに催眠状態に入るのかもしれません。

学生時代、京都大学名誉教授田中美知太郎先生の論評にうなったことがあります。

「平和というものは、われわれが平和の歌を歌っていれば、それで守られるというようなものではない。いわゆる平和憲法だけで平和が保証されるなら、ついでに台風の襲来も、憲法で禁止しておいた方がよかったかも知れない。」(初出『中央公論』昭和33年9月号)

護憲論者の欺瞞を一言で突いた至言です。


日本共産党の本音

最近、日本共産党は、お花畑と言われているのを強く意識しはじめたのか、国防問題について触れ始めました。4月4日には山下芳生参議院議員が次のようにツイートしています。

「憲法9条は、無抵抗主義ではありません。9条のもとでも個別的自衛権は存在します。日本共産党は、いますぐ自衛隊をなくそうなどとは考えていません。万が一、『急迫不正』の侵略を受けたら、自衛隊もふくめて、あらゆる手段をもちいて命を守ります。国の主権と独立を守るのは、政治の当然の責務です。」

従来には見られない随分と踏み込んだ発言ですが、そう言わないとならないほど世間の視線を厳しく感じはじめているようです。

ただ、山下議員のツイートは共産党の本音を漏らした突っ込みどころだらけの問題発言です。

日本共産党は日頃から国際紛争を解決する方法は「話し合い」によると主張し、平和主義を中心におき、武力の行使について否定的意見を述べていました。にもかかわらず、急に「あらゆる手段」をもって自衛すると宣言したことは驚くべきことです。これは日本共産党の平和主義のイメージを覆しただけでなく、平和主義が人びとを欺くためのものであったことを自ら認めてしまったことになります。山下さん、懲罰ものですよ。

しかも、「自衛隊は違憲、将来解消する」(公式見解)、「防衛費は人を殺すための予算」(藤野保史元政策委員長)と批判していた「違憲の自衛隊」を使おうとする行為自体、それこそ憲法違反のそしりを免れません。

また、個別的自衛権だけでは侵略者の魔の手から国を守り切れないことがウクライナの悲劇で分かったにもかかわらず、個別的自衛権でどうやって国を守るのか。彼らの本質が外国勢力の侵略を手引きする工作員集団だからそのような悪質なことを平気で言えるのです。

さらに、「日本の主権と独立を守る」と言うこと自体、日本をアメリカ帝国主義の従属国、半国家に位置付ける日本共産党の綱領とは大きくかけ離れていると言えます。彼らは主権と独立を勝ち取るために日本革命が必要だといっているのですから。


共産党の本音は9条否定

山下発言をよく読めば、「日本の主権と独立は守るためには自衛権は必要」という論理です。実は、この考え方、日本国憲法制定過程での国会審議で日本共産党が主張していた論理と同じことを言っているのです。

1946年8月24日、日本国憲法草案審議の衆議院本会議で、日本共産党の野坂参三氏は
「われわれは民族の独立をあくまでも維持しなければならない。日本共産党は一切を犠牲にして、わが民族の独立と繁栄のために奮闘する決意をもっているのであります。(中略)要するに当憲法第二章(第九条)は、わが国が自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある。それゆえにわが党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない」
と演説しました。日本共産党を護憲政党と思っている人には信じがたいことだと思います。

いまとなっては、この議事録を、ソ連のスパイとして認定した野坂参三さんともども葬りたいようですが、公文書として議事録に保存されているのでそれは不可能です。


日本共産党の最終目標は日本の社会主義、共産主義化です。そのためには、「革命を実現する過程では、資本家や反動政権に対してどんな嘘を何回ついても良い」という共産主義の理屈を使って、暴力闘争が本当の姿である共産党を平和の党に粉飾し、憲法9条は「世界に誇る宝物」と民衆を欺いているのです。

今年の7月には参議院議員選挙が行われますが、果たして共産党は躍進するでしょうか。いくらロシアの侵略戦争に反対しても、また中国の覇権主義に意義を唱えても、SNSが発達してきた現代では、高齢者以外騙すことはできません。日本共産党にとって厳しい戦いになることは間違いありません。

政党とは、国家と国民に誠実さを感じさせない限り信頼を勝ち得ることはできないのですから。




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