ベネズエラでウーゴ・チャベスは、1998年に大統領選挙に当選し、大統領の職務についています。チャベス大統領が貧困を根絶するために重視したことの一つはすべての国民に教育を保障することでした。チャベス政権(以下革命政権とします)が発足した当時、ベネズエラでの成人の識字率は約40%でした。国民の識字率の向上は民主主義の発展と貧困をなくしていくために非常に重要なことです。チャベス政権は発足してから、小学校の放課後を開放し、子どものときに貧困のゆえに学校教育を受けられずに字の読み書きができない成人には、識字学校を開きました。その成果で今となっては、ベネズエラでの識字率は100%近い水準になっています。
革命政権は、現在注目するべきことを行っています。それは、音楽に関するプロジェクトです。革命政権がすすめる音楽プロジェクトは、小さいときから子ども達に自分自身が好きな、気に入っている楽器を習わせるという方法です。楽器は政府から支給されます。子ども達は、小学校、中学校と進んでいき、それぞれの地域でオーケストラをつくっていきます。こうして、すばらしい才能を持った子ども達、またはその才能を見出された子ども達が育つシステムができてきます。この方法が実を結んでヨーロッパ公演で絶賛される、10代のオーケストラができています。実力は、世界No.1と言われるほどです。
ベネズエラでの革命政権の取り組みで、特に教育面では国民の識字率向上が極めて重要な課題でした。革命が進展するほどに国民の識字率は上昇し、現在のベネズエラでは、非識字の問題を基本的には克服しています。こうした流れのなか、チャベス政権はすべての子ども達が文化的なものに接することができるようにさえしていったのです。10代の若いオーケストラは、革命政権が進めている音楽プロジェクトの成果です。ベネズエラは、世界的にも有名で日本でも西田佐知子さんや井上陽水さんなどによりカバーされた「コーヒールンバ」の原曲「Moliendo Cafe」を生み出した国です。潜在的には、ベネズエラの国民には優れた音楽的素養があるといえるでしょう。しかし、チャベスらによる革命政権が発足するまでは、貧しくて楽器が買えない、文化的なものに接することができずに、よって音楽に興味をもてないでいた子ども達が多数いましたが、革命政権は、そういう子ども達に楽器を与え、音楽など文化に接する喜びをもたらしました。
貧困を根絶して、社会全体の文化水準を高めていくためには、教育が重要な役割を果たします。貧困な家庭においては、どこの国でも、裕福な家庭より知的文化的なものに子ども達が背することが困難です。こういったことは、貧困家庭に暮らす子ども達の知的・情緒的な発達に不利な作用をします。ベネズエラでの革命政権は、例えばここの記事で取り上げている音楽プロジェクトのような形ですべての子ども達に文化的な発達を保障するように施策を講じてきました。その結果、音楽一つとっても、その裾野が広がっていきました。
現在、ラテンアメリカにおいては、キューバはもとより、ベネズエラ、ボリビアなどのように社会主義をめざす勢力が勢力を強めています。今後何が起きるかは、予断を許さないでしょうが、世界でもっとも不公平な地域と言われてきたラテンアメリカにおいて、革命政権のもたらす成果は、日本のみならず世界中の社会進歩をめざす人々にとって大きな励みになります。
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学べなくても学べない子供達が多いです。
それでも頑張っている姿は
涙が出る思いです。
日本の子供はハングリー精神に欠けますから。。
10代のオーケストラ、聞いてみたいなぁ♪
この記事で取り上げたベネズエラでもまだ貧困がなくなっておらず(なくすための取り組みの途上にあります)、いろいろと困難が多いです。そういう中で、がんばっている姿は、本当にうれしいことです。
今の日本に欠けているのは、目先のことばかり(特に大資本の目先の利益ばかり)で将来を見据えた国づくりをする、という姿勢です。もっとも、今の自公政権にそういう意図と能力があるようには私には思えません。
10年後のベネズエラは、今よりもっと住みやすい国になっているかもしれません。
追伸
返事遅くなってすみません。
せっかくの教育の向上や文化レベルの向上が、人々の生活を良くすることに活かされない状況がとても残念です。
社会システムというのは、どんなものでも一長一短あり、そして人々の心の中の「知性」の部分が社会システム以上にものごとを悪くも良くも動かしているんだなとベネズエラ人と一緒にいると感じます。