日本の経済悪化と貧困の拡大とともに税金や保険料(税)の支払いが困難になったり、支払い不能に追い込まれる人々が増加していると言われています。
税金の滞納があった場合、国税、地方税問わず、滞納処分として銀行の預金口座の差し押さえなどが行われます。税の滞納処分は、言うまでもなく該当する法律に基づくことであるとはいえ、法律があるからといって機械的に法を適用して執行することは、不当な処分に該当する場合があります。法を機械的に執行することにより、滞納者の生活を著しく毀損する場合は、法の執行を適切に配慮しなければなりません。執行を適切に配慮するというのは、状況によって執行を止める場合があるということです。
佐々木憲昭衆議院議員は、問題となっている児童手当について事実上の児童手当差し押さえと同様のことをすることは許されないことを示して政府の姿勢を追求しています。
税の徴収は、本質的には、財産権侵害という側面を持っています。何故ならば、税の徴収は、彼或いは彼女の収益や財産に対して強制力をもって課税していくからです。だからと言って、税金を徴収しませんということでは、医療保険制度、年金制度をはじめとした各種社会保障、福祉・社会政策など国民生活を擁護するための施策を国家や地方自治体が執行できません。 これでは、社会全体が成り立たなくなるから財産権侵害とも言えることがどうしても必要になってきます。近代以降の国家は、国民生活の擁護と向上のために存在するという建前で成り立っています。このことを考えれば、税金の滞納があってこれを処分する場合においても滞納者の生活実態をふまえて生活を窮迫させないようにすることが必要であります。だからこそ、滞納者の生活を法の機械的に適用することにより窮迫させる場合には、執行を止めることができることが決められているのです。
動画で問題として上げられている児童手当は法律でもって差し押さえ禁止財産として規定されています。預貯金の口座に手当が振り込まれることをもって金銭債権として形式論をもてあそんで児童手当として受け取った金銭を使用不能にすることは、許されないことです。
国税当局や総務省には、委員会質疑において答弁したことを全国の自治体に徹底させてもらいたいものです。
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