私の２０００回

　シュウチンは、産休のアーティストの代わりに来た京劇をする人で、トレーニングルームへ行くと、いつも背中に汗をびっしょりかいてニコニコと練習をしている、とても気持ちの良いアーティストです。彼女が今日、京劇とは全く関係のない新しいシーンの練習をしているのを見掛けました。もしかすると、休んでいたアーティストが戻ってきても、ここに残れることになったのかなと思い、嬉しくなりました。
　思い切ってフルートを新しくしてみることにしました。そして、以前“はまって”しまった時に抜け出した方法では、抜け出せないことも分かったので、注目するところを変えてみました。それは、今日のところ効力がありました。
　二回目は少し眠気に襲われました。今朝少し早く起きてしまったからでしょうか。踊るシーンの前に、トレーニングルームへ向かうと、振付家のジャックさんが一人のアーティストと話をしているのを見掛けました。身体を動かす時間を削っても、彼と話した方がいいように感じ、少しだけ待つと話し掛けました。
「今のこのショーが、私の２０００回目のショーなのです。」
　２０００回をテーマに以前取材して下さった方がいらして、その時に、私が何回ショーに出たのか、ステージマネイジメントのステイシィが数えて下さったのです。それから、出演回数を足しながら、２０００回を待ちました。
　２０００回出演したということは、私は自分が出演をする日には最低５回は通して踊るので、少なく見積もっても１００００回は、この振付を踊っていることになります。
　しかしながら、私は２０００回も出たという事より、２５５回も出なかったという方が驚きでした。２５５回というと、半年の公演数より多くなります。それだけ、メイクだけして出演しなかった日があるとは。
　とても緊張してしまう時など、「１５００回も出たのだから。」、「１８００回も出たのだから。」と考えながら、それを自信にして舞台に立つことがあります。これからは、「２０００回も出たのだから。」と考えるのだなと思いながら、また、この記念すべき２０００回にジャックさんがいらして下さっていることに喜びを感じながら、舞台に立ちました。今日はたっぷりと踊ることが出来ました。