陽だまりのねごと

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星野道夫の写真絵本 『くまよ』 の静謐

2008-04-10 20:07:18 | 
花散らしの嵐の中、
海が見える温泉があり、お料理はオーガニック素材でという
自然木のずっと憧れていたプチホテルに単身出かけた。
以前、女ひとり泊は『土日はちょっと』と断られた事があるので
無職の特権で平日に予約を入れておいた。

ところがこの平日がアダで
本日のお泊りは客はひとりなので大浴場に湯がはれないと言われた。
なんで?
温泉が楽しみでやってきたのに!
「今日決まったことで」「私の一存では」とフロント従業員の歯切れは悪い。
社長に電話して直接話すとまでさんざん、ぶつくさ言ったので
朝だけは特別配慮で入れるようにしてもらえた。
海の見える大浴場が使えないこともあると予約した時に言って欲しかった。
なんともせっかくの私にとっては精一杯の贅沢が艶消し。

このホテルには
木のテーブルに木のベンチ風の椅子の絵本コーナーがあった。
気分はすぐ楽しいことへと切り替え。

もうこのホテルにはひとりなんで私独占読み放題。
子どもたちに読んでやった懐かしいものやら、おとなのための絵本やら、
夜は手いっぱい部屋に運び込んだ。

朝は湯が使える6時から
海が明けてゆく様子を窓越しに見ながら出たり入ったり。
絵本コーナーで火照った体を醒ましては湯につかった。
朝食後は、絵本コーナーにオーガニックコーヒーを運んでもらった。

一番、何度も何度もめくったのが↓

クマよ (たくさんのふしぎ傑作集)
星野 道夫
福音館書店

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アラスカで熊に襲われて死んでしまった
星野道夫さんの写真と言葉で構成されたこの絵本。
くまに遭遇して、おたがいにびっくり見合った時の写真。
息づかいが聞こえたと言う。
夜のひとりのテントでは怖くて怖くて、でも心地よい緊張があったと言う。
アラスカの風景は厳しくて澄んでいて、
星野さんの写真にはくまへの愛があふれて見えた。

本当にくまが好きで好きで
この人の一生はなんと完結されていることだろう。
最後のページの雪どけに透ける大地の葉の写真の下には
彼が埋まっているようにも見えた。

それに引替え、私の生きザマはなんだろうか?

もう、ささやかな贅沢はおしまい。
これ以上は干上がってしまう。
さて、さて、真面目にこの先を考えねば。
息子との生活にも本腰を入れる。