陽だまりのねごと

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聖ジェームス病院   久間 十義著

2008-07-14 05:31:29 | 
聖ジェームス病院
久間 十義
光文社

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こう暑くてガソリンが高くては休日に出かける気にもならない。
図書館で借りた本を風通しの良い我が家で読んで過ごすエコな休日。
別名、貧乏くさいとも言う。

思わず著者は医師で小説家だったかと略歴を見たら
早稲田大学文学部仏文科卒。
調べあげて書かれたものらしい。

研修医が主人公。
白い巨塔もどきの医師間の派閥抗争あり
新薬を巡っての医療と薬業界の癒着あり
医療ミスあり
医療訴訟あり
総合病院医師や看護師のオーバーワークあり
院内感染あり
インサイダー問題あり
と、社会問題になっているような事が次から次へと出て飽きなかった。

ちょこちょこと場面が変わる筋立ては
ちょっと映画かTVドラマぽくって好みではない。
最後の派閥抗争に失敗して病院を去る医師と銀座のママと愛の逃避行も
ない方が好み。

院内感染MRSRの下りは高齢者や施設に関わっているから興味津々で読んだ。
一貫して主人公の研修医が
好感を持てる人物として描かれているから
読後、すっきり感もある。
読みやすい筆致であるし、
ドラマチックな筋立てと言い緑陰読書にはもってこいだった。

唐突に主人公が思いだす医学部卒業時に誓わされた
ヒポクラテスの誓詩は
今にも通用する感じで古ぼけた言葉にはみえなかった。
小説には一部しか書かれていなかったから、全部を探した。
ここに置いておこう。


  一.医の実践を許された私は、全生涯を人道に捧げる

  一.恩師に尊敬と感謝を捧げる

  一.良心と威厳をもって医を実践する

  一.患者の健康と生命を第一とする

  一.患者の秘密を厳守する

  一.医業の名誉と尊い伝統を保持する

  一.同僚は兄弟と見なし、
    人種、宗教、国籍、社会的地位のいかんによって、患者を差別しない。

  一.人間の生命を受胎のはじめより至上のものとして尊ぶ

  一.いかなる強圧に遭うとも、人道に反した目的のために、
    我が知識を悪用しない。