昼休みの光母子殺人事件談

長らく記憶から遠のいていた光母子殺人事件の犯人に刑が確定して
人の口に上るようになった。

ウチの職場のお昼休みもこの話題に始終していた。
同僚にはワイドショー的というか週刊誌的なゴシップに長けた人がいる。
実に良く知っている。
最近、テレビからも新聞からも遠退いているので初めて知るような事だらけ。
犯人の方は致し方ないにしても被害者遺族の本村さんのことも
ここまでプライバシーが公になっては、
日常生活が送りにくいのではないかと心配がわく。

その中でひとつホッとしたのは、本村さんが再婚されていたという事。
怨念だけの１３年間はあまりに辛い。
新しい家庭を持つ気になられた、
普通の生活感覚が少しは取り戻せておられたのかと、少しだけ安堵した。

犯人については罪は罪と、思うものの犯人とうちの子供たちは歳が近い。
複雑な家庭環境と聞いて、私は多くの人より育ちの不幸を感じているかもしれない。
人が人を裁いて死を言い渡す死刑にも否定的な思いが強い。
やむなしという結果ではあろうが。



こういう気持ちがわく親であったなら、事件は回避できたのか？
もしも、という話はしても詮無い。

極刑が確定したからと言って、時間は元に戻せない。
事件が狂わせた加害者被害者の人生をも思う。

昼休みの事件より当事者への興味本位な言の葉も
また罪のような気がして、
話の輪を抜けてひとり外の空気を吸いに出た。
外気は多少、春めいてきたよう。
このままこの調子が続いて、一気に春とはならないだろうけれど。








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