たまたま図書館のメイ・サートンの本近くにあったんで借りて帰った。
自閉症児の特徴がばっちりの表紙を見たら手を伸ばさずにはいられないでしょう。
昨日、息子の帰宅を待ちつつ読んでいた。
テレビやラジオの音はやかましくて感にさわった。
本は開いたけど字を追っているけど頭に入らない感じ。
息子が壊れたバイクを置いたままで、予定の教習所の仮免を受けたのかどうかも分からず、最悪の事態ばかりが頭をよぎった。
予定通りいかないことにパニくる。ささいな失敗で落ち込んで死にたくなるのだ。
仮免が受けれたのかどうかも分からなかったし、遅刻で何とか受けれても試験に受からない場合も落ち込み原因になる。
どこかへ遊びに寄ると言う行為がない子だ。合気道着も家にある。なくなっているのは自動車教習所カバンのみ。
病院への通院も考えた。あっちこっち電話で確認すると彼のプライドが許さない。後で知ると怒るから、どこにも確認せずひたすら待った。
この前からバイクごと川へジャンプしようとしたと何度も話していたし
夕暮れから闇に落ちる時間が早いこの季節。暗くなりはじめからずっと待つ身は落ち着かなかった。
ケイタイすら持っていない今どきでない息子をバカみたいに心配して誰にも言えず本を膝にひとり。不安だった。孤独だった。
この一文を目にして涙があふれ出した。
自閉症の息子とかかわる中で、
私にとって最悪なできごとはサムがクラッシュしたことだ。
最初に診断されたときより、このほうがずっときつかった。
わけのわからない苦しみにわが子がさいなまれているのに、何もしてやれないほどつらいことはない。
作者は3人の子持ちシングルマザー。3人の内、2人が自閉症児。
いろいろな有効そうなセラピーや食事療法を試したり努力は本当に有効なのか?
また日本にはそれを施療する場所があるかないかも不明であんまり参考にはならない感じ。
ただすさまじい家庭生活はひとりでも大変なところ二人。しかしもシングルで。
言葉にすればユーモラスにも感じられることも、たしかに大変と言う以外言葉もない。
ただただ子供に苦を与えないで
できるだけ社会生活を営めるようにと
母としてとる態度は障害の有無も関係ない。
子育ては斯くあるべき。人間はこうあるべき。
この
べきを粉砕してくれるのは授かった子が自閉症であったおかげ。
これは国を越えておなじらしい。
我が息子のことに返るが、帰宅は9時過ぎていた。
仮免は合格。遅れて試験を受けたっぽい。夜のさっそく路上教習を受けて教習所のバスで帰ってきたもよう。
『木陰で寝ていたら上に立って煙草をふかしてバカにして見た奴が居た!』
帰宅した時は連絡もしないで母が心配していると言う考えは微塵のない。
自分の不機嫌でいっぱい。どうせ見当違いの誤解か?ほんとうに寝ていておかしなところで寝ていたか?いつものことだ。
母への気遣いなど望めない自閉症がこう言う時たまらなく淋しいが
読んでいたこの本のおかげで、すごく当たり前な気持ちで受け流せた。
不機嫌はいつものこと。私は無事がうれしかった。危惧が外れたことがうれしかった。
仮免許証を見せてもらって、姑の家で書いたらしい習字の紙みせてもらって
教習時間調整は教習所に近い姑の家を利用したらしいと
仔細については聞くと面倒くさがるので推測するのみ。
いつものように入浴、食事、薬を勧めた。
一応、心配していたと、バイクは修理した話したけど感謝の言葉もない。
『ないのが自閉症』と本に書いてあった。
居てくれるだけでいいじゃないの?それ以上 なにを望む?
この本はジャストフィットで私の精神安定剤かわりもしてくれた。