気の向くままに

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中国は晋の時代、呉猛は8歳だったが…

2015-05-16 08:38:15 | 日記

 

 

 

 中国は晋の時代、呉猛(ごもう)は8歳だったが、家が貧しく蚊帳がない。そこで自分の衣服を母親に着せ、裸になって寝て蚊に刺されるにまかせた。24人の親孝行談を集めた「二(に)十(じゅう)四孝(しこう)」の一つだが、落語家にかかっては格好の笑いのネタになる

▲この話を聞き、自分も体に酒を塗って蚊を引きつけようと考えた男、買った酒を飲んで寝入ってしまう。起きれば不思議に蚊に食われた痕(あと)がない。「孝行を天が感じたんだ」と喜ぶと、そばにいた老母が「何を言ってるんだい。夜っぴてあたしがあおいでたんだよ」

▲こちらは落語の「二十四孝」で、昔は酒をササの葉に注いで部屋の隅に置くと蚊がそちらに集まるという俗信があったとか。杉の青葉などをいぶす蚊やりが普通の蚊よけ対策で、これにもカヤの木のおがくずをいぶすと効果があるとの語呂(ごろ)合わせのような話があった

▲さて、例年なら梅雨明けも近くなってから話題になる蚊よけ対策だが、今年はもう東京都内の公園でボウフラの発生する側溝への薬剤散布が始まった。昨夏69年ぶりにデング熱の国内感染があったことで、媒介するヒトスジシマカをいち早く封じ込めようというのだ

▲気温が20度を超えるとふ化し、動きも活発化するという蚊である。厚生労働省は先ごろ自治体の担当者を集めたデング熱の対策会議を開き、どの自治体でも起こりうると対策の徹底を要請した。街の薬店ではすでに防虫スプレーなどの虫よけグッズが並べられている

▲地球温暖化による新たな感染症のリスクを誰にも身近に感じさせた昨夏のデング熱だった。いくら親孝行でも蚊に刺され放題はやめておいた方がよかろう。

毎日新聞 2015年05月16日 東京朝刊

 

<memo>

 先日の朝、庭に蚊がいた。暑い日が続いたから孵化が早まったのだろう。