気の向くままに

終着はいつ、どこでもいい 気の向くままに書き記す

上品な勝率

2015-05-26 19:40:26 | 日記

 

負け続けて愛されたアイドルホース、ハルウララ

 

 平成15年12月、高知市内にある高知競馬場は、久しぶりのにぎわいを見せていた。なにしろデビュー以来99連敗中の競走馬「ハルウララ」が、初勝利をめざして出走するのだ。

 ▼負け続けてもひたむきに走り続ける姿が共感を呼び、全国的なブームになっていた。この日も断トツ1番人気だったが、9着に沈む。ハルウララは結局、113戦全敗で引退する。今は千葉県の牧場で、余生を過ごしているという。

 ▼ハルウララと比べられることが多い東大野球部が、東京六大学野球の春季リーグ戦で23日、法大に6-4で勝利を収めた。これで5年前の秋季リーグから続いてきた、リーグワーストの連敗記録が「94」で止まった。

 ▼もともとスポーツ推薦のない東大と、甲子園経験者がチームに珍しくない他の5大学との実力差は、とてつもなく大きい。最難関の受験を突破した学生が、野球エリートたちに立ち向かう姿に、エールを送るファンは確かに少なくない。ただ、さすがに100連敗ともなると、リーグ脱退の声が出てくる可能性がある。危機はとりあえず去った。関係者は胸をなで下ろしているだろう。

 ▼連敗記録といえば、学習院大学名誉教授の篠沢秀夫さんの笑顔を思い出す。昭和52年から11年間、TBS系の「クイズダービー」でレギュラー解答者を務めていた。驚異的な正解率の高さを誇る漫画家のはらたいらさんに対して、珍答や迷答が目立った。司会の大橋巨泉さんにからかわれても、「愉快ですね」と笑い飛ばして、たちまち人気者になった。

 ▼現在は難病と闘っている篠沢さんは、「3割程度の正解率が上品」と語っていた。昨日、また負けてしまった東大には、せめてそれくらいまで勝率を上げてもらいたい。

産経抄 5月25日