成熟へのジュエリー 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:1997-11 |
1回目は見逃したのですが、『プラダを着た悪魔』にインスパイアされた作品なのかな?と思っていて、ちょっと興味あったので。(違うかもしれない)
でも、実は『プラダを着た悪魔』の方も見逃したので(私は基本映画は劇場派^_^;)かなりふわっとした話なんですけれど。
そちらの映画に興味を持ったのは、メリル・ストリープ演じる強烈な女性上司のモデルになったのが『アメリカン・ヴォーグ』の編集長、アナ・ウインターだと聞いたから。
アナ・ウインターの名を最初に知ったのは、この、『成熟へのジュエリー』の、“氷の世界に生きる”という章でした。
(このエッセイの中では、彼女の名前の表記はアナ・ウイントゥアー)
少し話は脱線しますが、私はたいがい自分の容姿を《中の中》と思っていました。(じ、自分に甘いので)そして、人並みにもっと綺麗になりたいとか、美しく生まれるってどんな気持ちだろう、という憧れもありましたが、ぬるま湯につかるように、現状に満足する気持ちもありました。
と、いうのも、美しい人は並の人間より得をすることもあるだろうけれど、もっと厳しい世界に生きているのではないか、と思っていたからです。
優れた運動能力を持ったアスリートや、才能あるアーティストを人は羨むけれど、努力や鍛錬が必要なことは容易に想像がつきます。美しい人も、それは同じではないかと思った。必ずしも幸せでないこともある、とも心のどこかで感じていました。
それをはっきり肯定された気がしたのが、この本のアナ・ウインターを描写する文章でした。
“彼女のみならず、ファッションショウで出会う外国人ジャーナリストは美しい人が多い。(中略)ファッション界は、外から見るよりずっと古い体質で、男尊女卑の根強い二重構造になっているのだ”
“どんなに流行が変わろうともクチュールスーツにパンプスというスタイルを決して変えようとしないことに、私はこの人なりの厳しい覚悟を見る。自分のスタイルを貫くファッションのプロとしての矜持を見る。ひとつ間違えば成金的になるほどのゴージャス趣味も、何十年と変わらぬボブの髪、痩せぎすの体、そして生まれながらに身についた品格によって見事にクールダウンされている。たとえその美しさが、彼女を幸福そうに見せなくても、彼女にとっては、これが等身大なのだ”
この文章を読んだとき、私は軽く打ちのめされました。そのショックが、仕事が出来て当たり前、なおかつ女としても愛されねばならない厳しい仕事社会へのものだったのか、それとも、“美しいけれど、幸福ではない”ということそのものへの感情だったのか。それは自分でも分かりませんでしたが……。
ところで、ドラマは、最近お洒落やらファッションやらに対する情熱が無くなっている身としては、また別の軽いショックがありました。
美しいことにプライドと覚悟を持って生きる人たちより、はるか下層の世界にに生きている身ではありますが、少しでも綺麗になりたい気持ちはやっぱり必要かも……と思わされた1時間でした。