今年、3回目の京都 糺の森を歩いた。隣には珍しく、Nの姿があった。
この日、気温は38度だが、原生林の森の中はさすがに涼しい。
糺の森は鴨川、高野川など大小6つの川が流れているそうだが、その中間地点あたりで数組の家族連れが川遊びにきていた。いわゆるアウトドアキャンプみたいに。神様の懐とはいえ、違和感たっぷり。
鴨川の河原でぜひ堂々と夏ピクニックをしてほしい、などと願う気持ちになったが今年は酷暑なので、そうもいかないのだろうか。

下鴨神社の本殿を参拝し、「みたらし祭」へ。


〝足つけ神事〟とよばれ、穢れを払い1年の無病息災を願う人々…。
皆、慣れていてスムーズに神事を執り行い、気持ちいい。聞こえてくるのは、京言葉。京の人は京都をどこより敬い、愛しているのだ。
境内の受付で、お供え料(300円)をお納めし、ろうそくと靴を手にもち御手洗池へ、浸水。ちょうど膝くらいまで水がくる。


太陽が照りつける正午にもかかわらず「ひやっ!」「冷たい!」と声がでるほど。地下からわきでる冷水は、芯から凍る冷たさ。
周囲の森と社の雰囲気にあいまって、このうえなく、わが身が清められるようだ。
御手洗社(井上社)前の祭壇にろうそくを献灯。
水からあがると、社のお方にご神水をいただき、ごくごくと喉をならし体の中を水が通っていき内側からも綺麗にする。そうして瀬織津比売命(せおりつひめおみこと)様の元へいき、神事のご挨拶してから、退出するのが習わしなのだった。


そして。今年お初の「さるや」(下鴨神社の休み処)だ。「宝泉堂」(和菓子店)が自信をもって供する鴨の氷室の氷である。
黒蜜白玉、練乳かけ。

空気を含んで細かくかいた氷室氷は、雪の結晶を口にいれるみたいに、細かく、淡く、優しい。
みたらし祭で頂戴したご神水と同じ、清く澄んだ水味だ。
このままでも、スプーンで雪をかいて口に入れるみたいで、十分においしいのだけど、
上質な黒蜜(沖縄産)を上からまわしかけると、雪の山が茶色にだらりと崩れ、そこをスプーンにすくって味わう。綺麗な甘さ。すっきりと暑気がひいていく。生き返るとはこのこと。

あぁと、満足な心地で糺の森を、砂利道も気にせずにサクサクと軽やかに歩く。
途中の露店で、鴨茄子と万願寺唐辛子を買う。
