8月21日(水)晴
昨日取材のテープおこしを済ませる。
リビングのソファーから動かないNは、友人に贈る結婚式のDVDの最終形を完成させている模様。
7月に、大学時代の友人と思い出の場所で撮影会を実施したそうで、そこへ台詞を吹き込み、「下材料は作り込んできた」という。あとはテロップと音楽、効果音を重ねて、過去4年分の写真から選んで、間をつなげば出来上がり。自分で何度もチェックするが、こちらにもそのたびに見せてくれて感想を求められた。
6時になったので、車を出して夕食の買い出しへ行く。豪勢にシャンパンを買い、
さらには、いちじく、りんご、プルーンなど翌朝用の果物も買う。
夕食は、子羊のローストをメーンに、私がオニオンスープをつくり、Nにサラダを無理やりお願いした。3人で食卓を囲む、この夏、最後の夜。
夕食後は、ウィーンのザッハトルテと、ウィンナーコーヒーで。
8月22日(木曜日)
機上から、夏の空を眺めていた。
明るい陽に照らされた、すっきりとさわやかな白い雲。水彩の絵の具ですっと横にひいたような、あざやかな色。そう海のように鮮やかだから、これほどおだやかで、美しいのだ。
幾重にも、横にひろがる入道雲。
進んでも、進んでも、広い、広い空。
この夏空を、機上からみるという贅沢をしてみたくて、明日からの東京取材を繰り上げて、Nが乗る飛行機に便乗させてもらったのだ。
出入り口の横。真向かいには、短いスカートの裾を気にしながら、(35歳くらいの)客室乗務員がうつむきながら機内連絡用の受話器を耳にあて、何度も上から下に目を走らせ、顧客リストをチェックしている。
私の両隣は男性。ややすれば、ミニスカートからするっと長くのびた黒ストッキングの足が女性でも気になる距離だが。さすがは紳士な男性方、さっきからずっと週刊誌に目を落としたまま。私もならって、「翼の王国」(ANAの機内誌)を読んで過ごす。
羽田空港に到着、約1ヶ月ぶり。
千疋屋で、休憩。名物の「マンゴープリン」をカウンターに座って食べる。
横浜へ移動。ホテルニューグランドで急遽、一泊することにした。NHKの「グレーテルのかまど」で伝統のプリンアラモードを再現していて食べてみたかったのだ。明日、食べよう!
ホテル部屋まで荷物を運んでくれた若いスタッフに。
「中華街で点心がおいしい店はどこですか」と聞く。
それが「横浜中華街の老舗「萬珍樓 點心舗」。
横浜中華街のメーン通りから一本はいった広東道沿い。台湾のレストラランに近い東洋風の飾り付け。そこにサラリーマンのグループが1組と、家族連れが2組。それほど混み合ってはいかなった。
小籠包や揚げ春巻き、餃子、エビのカシューナッツ炒めなどをオーダーし、チンタオビールで乾杯した。
30分ごとにピアノの生演奏がある。
この日、一番といえば、「冷麺」だった。麺の上に、薄くレタスが敷かれ、ハム、キュウリ、細切り卵、冬瓜、香菜がのっている。
酢の効いた濃いゴマダレが、太めの麺によくあい、旅の疲れの胃袋にも入るやさしい味なのだった。
小雨が降りそうなほど湿気が多い夏の宵。
山下公園から港のみえる景色を散策。潮の匂いを吸い込みながら歩く、気持ちのいいこと。おまけにほろ酔いだ。
赤煉瓦倉庫のすぐ近くまで歩いて、Uターン。
Nと恋人ごっこをして遊んだ。
横浜の港は、神戸の海と近いけれどやはり違う。
旅先でみるアジアの海と似ている。
さて、ホテルニューグランド。ここは、山下公園の真向かいに建つ1927年創業のクラシックホテルだ。
ビールがほどよくまわり、気持ちがほぐれているし、ホテルの部屋には戻らず、昔の迎賓館時代を彷彿させる本館2階ロビーにまわり、夏恒例のイベント「Twilight Lounge -THE LOBBY」へ直行する。
私は辛口のシャンパン。Nはきれいな色のノンアルコールカクテル。
古い洋館の中で、冴えた音楽。薄暗い照明。洋酒とグラスの煌めきとくれば、ブルースのような大人の夜が待っている。
奥では、DJが音楽をセレクト。やわらかい音でジャズの懐かしのナンバーなどが洋館の室内からロビーから、サラウンドな響き方で溶け込んでいった。例えば、ルピータパロメーラのヴェレダトロピカル…等々。聞き惚れる。しっとりと飲む人を見るのもたのし。
同世代の友人だったらもっと楽しかったに違いない。
.jpg]