台風が来て雨が降るたびに冬が近づく。
木枯らしも吹いていないのに、そんな冷たさを感じた秋の日だった。
あれから、忙しく働いているうちに秋も終盤か。
いやいや紅葉もまだなのだから、
これから秋本番がやってくるのだ(突然寒くなると、寂しさがこみあげるね)。
最近また日に何度もお風呂に入るようになった。
私の場合、気分を替えるにはお風呂か、おいしい紅茶か、お香か…。
無論、テレビという選択肢はほぼないのだけど、
昨晩11時頃にNHKを付けてみたら
吉田拓郎さんと小田和正さんのトーク番組を放映していて見入ってしまった。
小田さんはアスリートのようにして生き、唄い続けているのだという。
70歳を目前にしながら、少年のような感性と声を保つために、残された「今」の自分にできることを必死で、やり遂げているのだという。
あれほど繊細な唄が作れる人なのに、激情に流されたり、保守的だったりするのではなく、心身を鍛え、体育会系のように日々挑戦し、自分の役割を生きている。
ふと、村上春樹が書き続けるために走りこんでいる人生と重なった。高校の頃、同じ部屋の先輩がよく聴いていた小田和正の名曲を、改めて聴き入ってしまった。
さて、常夏の台湾の日々がまだ行ったままになっているので、旅を続けなくては。
台北2日目の朝。
シェラトン台北の朝は、早かった。
カーテンをレースだけにしていたので、5時頃には目が覚めた。
シャワーを浴びて、7時過ぎには1階のダイニングへ。
それは、素晴らしく近代的であり、かつエキサイティングな朝のバイキングだった。
100種類はゆうにあるメニューだ。焼きたてパンだけで30種、豆乳プリン、ヨーグルト、数種のサラダメニューに、6種類のフルーツ。
洋食系のメニューに加えて、奥にはお粥、麺類、点心、和食メニューまであった…(合計5ブースほどに分かれて食事が用意)
アメリカの3つ星ホテルで食べた朝食以上のゴージャスさに度肝を抜かれた。
そうだ、オーストラリアの「シェラトンミラージュ ポートダグラス」の朝食を彷彿させるような内容で
ほんとうに驚いたのだった。
(ただ残念なのはフルーツがまだ若かったのと、クランブルエッグはよろしくなかったが…)
特筆すべくは点心とラーメンの美味しさだ。なぜ、こんなスープの味が出る?さすがは本家だ。
しかも、シェフが出来たてをつくる。
私は朝から麺を2杯も(お粥を山盛り)お代わりして満腹で部屋に引き上げたのである。
さて、最初に訪問したのは、MRT(地下鉄)にのって善導寺から龍山寺へ。
台北最古の神様へご挨拶をしておかなくては…。
お線香を7本購入。三宝仏をお参りし、本殿、
文昌帝君、水仙尊王、媽祖娘娘、註生娘娘、関聖帝君、月下老人と、
8つの神様を参拝して、1本ずつ線香を奉納していく。
線香の持ち方は、左手を外側、右手を内側に。
そして「住所、名前、生年月日」を言い、三回頭を下げ、線香の一本を左手で香炉に入れる、というのを繰り返す。
さすがに台北のパワースポットといわれるだけあって、不思議な高揚感に包まれる。
建物のひとつひとつが日本の寺院とは違って極彩色で派手なんだけど、
エキゾチックというかエネルギーが満ちている。
ジリジリと照りつけるような太陽とマッチした南方の中国宮殿式であった。
最後に月下老人の前で、これまた不思議なおみくじを。
半月のものが、「表、裏」と互いに違う面が出たら、赤い糸を頂いてOK。
「表、表」「裏、裏」と、同じ面が両方とも出たらやり直し。やり直しは三回までで。
わたしは3回目でようやく違う面が出る。何事も苦労するタイプなのである。
このあとに、西門町まで近いなぁと思い、地図をみて歩いて行くことにする。昨日の晩にたっぷり歩いて自信がついたのだ。
しかし、ここからが本来の旅の始まりである!
排気ガスがすごいなぁと思いながら歩くうちに、
店先でしゃがみこんでいる人、外商と外商との口論、安い服屋の前であくびをして店番をするおばさん、
道ばたの露店で食事をする人達…。
観光地(外向け)の顔とは全く違う、
普段着の台北という街に遭遇する。
おそらく地図では、康定路沿いをテクテク歩いていたと思う。
安い店前の向こうには家具屋街や、下町工場のようなところを抜けねばならず、
何匹もの犬たちに合う(猫もいた。九官鳥にも)
もちろん日本のように、予防注射などは義務づけていないだろうし、鎖にも繋がれていないのだろう。
あまりに盛んに吠えるものだから飛びついてきたら、どうしょうと思うと足がすくんだ。
人通りはないかなと周囲を見渡すと、
安い作業服を売っている店で、丸椅子に座って新聞を見たまま顔を上げないおじさんがいたが、
犬には全く無関心だ。ムシ!
(あらぁ日本人とみるや親しげに声をかけてきてくれるやさしい台湾人はいずこに)
5匹一度に「ワンワン」「ワンワン」「ワン」と吠えられた時にはさすがに怖くなって、
結局は空車のタクシーに飛び乗ってしまった。
ああ。このオイルの匂いと排気ガスのスモッグが肌になれていくのがわかった。
本来は、中山あたりを散策し、
「春水堂」のタピオカミルクティーでも飲みたいと猛烈に思いながら、近くの「西門町」で一旦降りる。
西門町は、ティーンの街だ。若者達でごった返している。
台北のハレの顔にいつのまにか戻っていた。
西門町は、Nにオススメ!というのが昨晩ホテルで聞いた情報だ。
Nは安い靴や鞄を物色中。
私は、大型店舗のユニクロに入ったりしたが、あまり興味がもてず。
それでもNに付き添って、歩行者天国の街を30分もぶらぶらした。
Nもどうやらこの町には安かわいい、ものはあるけれど、さして珍しいデザインのものに出会わなかったようで、
「もうOK」が出たので(靴を買ったらしい)
再びタクシーにのり
今度は、点心で有名な「點水樓」を訪れる(本店は予約が必要である)。
昨日のガイドさんが「ここが今年の賞をとった名店よ」と、ものすごく自慢していただけあって、
キレイな店構え。昼近くなると続々人が入ってすぐに満席。
暗い薄暗い台北の裏通りとはうってかわって、
ここはハイソなサラリーマンが通う名店らしく、上品な背広姿のおじさん達が多い。
メニューを見ようとするとこれまたガイドさんが、コースで予約してくれたらしく、点心の蒸籠が5つも並び、
小籠包ほか、カニ小籠包、胡麻小籠包、水餃子、シュウマイなど点心だけで8種も。
それに加えてスープやエビチャーハン、青菜炒め、干し大根の卵焼、蒸しケーキ、とお昼からものすごい豪華バージョンに。
結果的に味はよかった。特に小籠包。あっさりとした鶏とホタテ貝柱ベースのスープが
薄皮で包まれていて、あっという間に完食。
カニ味噌の小籠包もおいしかった。カニ炒飯も。さすが台湾。
調味料が旨いのか、味付けに奥行きがある。
少し濃い口なのだけど、すぐに慣れてくる。
ジャスミンティーがおいしくて、ポット2杯も飲んでしまった。
さて次はどこへ行こうか。そうね、点心のあとはスイーツ!
勿論、永康街のショップをハシゴしま~す。
(つづきはこちら)
(台北旅行記)2
(台北旅行記)1
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