19. 一編の短編と秋のひんやりした空気がおいしいという話|みつながかずみ|writer|note
秋は、空気がひんやりしているうえ、流れてくる香りがとてもよくて、それだけで幸せになる。 取材などにむかう途中に坂道をかけおりるとき、金木犀の、品のいい明るい香りがたちこめている。一日の運動不足を補うために家の周辺を歩いていると、萩が咲き、赤い実や緑の実やどんぐりなどが弾ける直前に発するあの香ばしく、甘酸っぱいような、実が熟して発酵されていく過程のよい匂いがたちこめ、心がしんと静かになる。秋だ、と。 夏のざわざわした陽気さは、完全に立ち去っていったことを知る。 この頃は、スタンドくらいしか灯りはつけない。 ほの碧い暗がりの中で、「秋の夜長」を楽しむようにして生活しようと試みる。
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