月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

パリの2日目の朝 (3)

2017-12-16 11:06:43 | 海外の旅 パリ編

(日本は師走です。クリスマスまで数日。
今年中の原稿もメドがたってきたので、ここで書いておきたかったパリの旅の記録について書き留めておきたいと思います。
しばらく毎日の連載とする予定なので、フランスへのご予定のある方やお時間あるかたはご一読ください)

パリ(1)
パリ(2)
からの続き

パリの2日目の朝は、霧に包まれていた。

背の高いアパートメントの下を歩くのは、働く労働者たち。観光客は少ない。
トラックから牛乳瓶の入った木箱を積みおろす人。ショップの開店準備でウインドウを縦にふく化粧っ化のない女性。
ホテルの斜め前は香水やリネン類を置くデュランで、朝の日差しが入る店の空間を白い電球が照らし、
美しいパリの朝には間のぬけた光景にみえた。

この日は、モンサンミッシェルに行く予定にしていた。
パリ市内9区のガデ駅から地下鉄にのり、パリロワイヤル駅へ。
途中、通勤途中の女性や男性や、子供たち。行き交う人にみとれながら、この街の人はグレーや紺色のウエアに、
エレガンスな赤い服を差し色につかうのがなぜこんなにうまいのだろうなどと、ぼんやり思いながら、歩く。
パリの赤はとてもエレガントだ。

ほんの2・3日前の日本の朝、それもわが家の近くの光景や、北浜や淀屋橋界隈の通勤の朝と比較しながら、
私たちはだまって歩いていた。
 
パリロワイヤルから徒歩5分のところに、モンサンミッシェル行きの現地ツアー集合場所があった。
周囲には中年の母とお嬢さんの母子グループや20代前半くらいのカップルや、女性のおばさんグループや…。
15分ほどゆっくりした後で、バスに乗り込み、パリを離れて郊外にむかって
私たち一団はフランスのもうひとつの旅へと向かった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿