月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

ソトの景色ウチの壺

2020-05-12 19:56:00 | コロナ禍日記 2020






4月16日(木)

 6時に起きる。

 きょうは、色つきの、それも立体的な夢をみた。大学の友人が参上し、議論を交わし合う。誰がどんな内容を話していたのか忘れてしまったのだけど、夢のなかでも、満ち足りていた。

 よい内容の議論で、何より心が弾んでいた。


 議論をかわしたあと、なぜか黄色く塗られたヨーロッパの宮殿のような場所に移動し、登場人物とともにお茶をのみ、それからダンスをしている人波をわけいって、誰かを捜していた。

 夢が立体的で、背景などもあれほど色濃く描けたことに、起きてしばらく感動した。おー! 人生を変えた! と思えるほど、うれしい朝になった。

 

 午前中から3時まで、事務的な作業をこなして、約1カ月ぶりの打ち合わせ。西宮市内へ。

 

 新型コロナウイルス感染防止に対する不要不急の自粛など、どこふく風だ。

 

 夕方4・5時の電車の中は、1両に3・4人。そこそこ余裕もあって、密な混みようではなかったが。駅前から打ち合わせ場所までは、普段とさほど変わらない。飲食店の半分以上が営業しており、牛丼屋さんで、ファミリーレストランで、中年の婦人や若者たちが窓に近い席に座って飲食している姿が目立つ。


 駅前の交差点では、普段の8割の人出。

 打ち合わせのビル。一室では、制服姿のOLからサラリーマンから、談笑し、冗談をいいあっている姿を目撃した。

「これを持っていってシュッシュッ!と頻繁にやりなさい」

 と、出がけにパパさんから渡された携帯用のアルコール消毒液を持参していたわたしは、途中、3度、手にふきかける。

  帰り。夕方の通勤ラッシュということもあり、座れなくて立つ人が、3割くらい。最寄り駅では普段の雑踏の中で人に押されながら階段を上がった。

 これでは、自宅待機やテレワークしているほうが、リラックスできる。外出中、ずっとわたしは緊張状態に置かれていたのだから。

 スイーツでも購入したかったが、諦めて、小さな間口の店で、1分でトーストだけ買ってかえる。

 7時。駅のロータリーまで車で迎えにきてくれたパパさんに遠慮し、車の後部座席に、マスクをした格好のまま座る。帰宅後。リビングには入らないで、直ぐにお風呂場。シャワーをあびて、全身をくまなくオリーブの石鹸で洗浄。うがいは、40回くらいしたと、思う。

 

 夕食には、鮎の塩焼き、たで酢添え。小松菜と揚げのたいたん、長芋のすりながし、いかなごのくぎ煮(自家製)、いちごのデザート。

 

4月17日(金曜日)

 仕事が進まない。不毛な一日がすぎた。

 反省だらけの一日。


 最高の一日を過ごせた!と幸せに浸ったあとによくやる自分の悪い癖が、安心してすぐ気を抜くことだ。一昨日うまくいったからといって、よし、この調子でいけば大丈夫と思うと必ず、といってストンと穴に落ちる。

 落ちると。また一から立て直し。泥のついたパンツの裾を払い、土の上に顔を出して這い上がって、再び、新たに組み立て歩いていかねばならない。

 つくることは、「生もの」だ。書くという行為はできても、なにをどう書ける(書く)か、ごろんごろん変化する。安定などない。

 一度うまくいった! と思ったものでも、翌日になれば赤ペンをもつ手に力が入らないほど、ひどい原稿を書いてしまうことがあるのだ(大いに)。

 どうすればいいか。自分の手で新たに手術をし直せばいいのだ。過去のwriterは、原稿用紙に手書きのものが多かったので、推敲と訂正には気を遠くなるほどの時間を要したに違いない。(本当かな)

  パソコンでのタイピングなら、何度でも訂正できる。直せばいい(自分に言い聞かせる)


 調子のいい時は、思考のスピードに追いつかないくらいの早さで書けるのだし、そういった場合にはたいてい手直しも少ないけれど。

 

 今晩の夕食は、向田邦子流の豚のしゃぶしゃぶ鍋。

  伊賀焼きの大鍋に、にんにく大ひとかけ。日本酒をたっぷりいれて、水を半分くらいたし、火にかける。鹿児島の赤身豚、ほうれん草を順番に。

 だいこんをすりおろし、旭ぽんずにいれたタレ。薄口醤油に、レモン汁を絞り、鍋のスープをいれたタレの2種用意。

(アルコールは、パパさんレモン酎ハイを1杯と半分頂戴する)

 

 



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