月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

ことしも芝刈りの季節です

2020-06-13 22:57:13 | コロナ禍日記 2020

 

 5月8日(金曜日)

 

 朝7時に起床。瞑想10分。20分くらい本を読む、ネットも続けてみる。

 9時。原稿をスタート。うまく進まないところで立ち止まり、コーヒーをいれて、いちごを10粒パクリとやる。果実の甘さをもらって進み始め、12時半まで。

 

 途中、パパさんのテレビ会議が入り出したが、BOSEノイズキャンセリングで乗り切ろうと頑張る。パソコンに近づくと、キーンという電子音が耳に蔓延して辛くなるが、辛抱してキャンセリングする。

 

 この季節は、マンションの周辺は芝刈りと植栽の剪定作業で忙しそうだ。ケヤキ、ヒマラヤスギ、マメツゲ、ツバキ…。階段側にはアベリアなど。朝10時から夕方5時頃まで草刈り機のモーター音がマンンションのまわりにブーンブーンしつこく響いて、盛大に草をかっている模様である。

 例年の芝刈りシーズンになると思い出すのが、村上春樹が1980年代に発表した『中国行きのスロウ・ボート』の一編『午後の最後の芝生』。普段は、活字の中の世界は泡のように消えてしまうのに、村上春樹の短編の幾つかは、妙に映像的に残っている。この本もその一編だ。

 

 1時。朝ドラのエールのあとで、皿うどんをこしらえた。小エビやいか、干しエビ、新キャベツ、山菜などたっぷり。

 午後。昨晩は、7日間連続ブックカバーチャレンジの原稿を書けなかったので、早いうちに書いてしまってアップしようと机の前に粘って鎮座。N、なんとか私を連れ出そうと、あれやこれやの手で誘惑する。

 「なわとびしよう。家の周囲をマラソンしよう。そのあとスコーンをつくるんじゃなかったの」。うんうん、といいながら、デスクの前から腰を上げないので、諦めて、パパさんと買い物にいってしまった。

 しめしめ、私は居残り組だ。すぐに書いてしまって、母と電話。きょうは50分も話した。

 夕食は、すき焼き。篠山牛、ネギ、おふう、タマネギ、ごぼう、糸こんにゃく、焼き豆腐などたっぷりと具をいれて。私とNは小西酒造のぶどう酒。パパさんはチューハイ。

 

 7日間ブックカバーチャレンジの5日目は、武田百合子さんの「富士日記」(上)・(中)・(下)を供します。

 



 

 武田百合子さんの魅力は、好奇心が明るいこと!見えないもの、その先まで見る。「客観の眼」です。磨きぬかれた鋭い視点で、昭和のなにげない日常をユーモアと哀惜をもって、強い筆力で綴っていきます。(ちなみに百合子さん、好きな本は井伏鱒二の「黒い雨」とか)

(中略)

「ふきだしてくる蜘蛛の糸を頭の中で撚る紡いで文章にし、それを口までもってきて発音しようと、絶句したままの人の顔を」……と百合子さんが書くように、泰淳氏の晩年(昭和46年)百合子さんは脳血栓で右手の力が弱くなった夫の口述筆記を任されます。

 夫亡き後。富士山麓の山荘暮らしを本にしてはどうか、(葬式の場で)と薦めたのが「富士日記」版元・中央公論新社、ようやく百合子デビューへとつながるのでした。

 百合子さんの晩年(50代〜)の作品「日々雑記」などでは、長女の武田花さんとの暮らしぶりが垣間見られ、わが家の一人娘Nと重ね合わせ、思い入れたっぷりに愛読します。

 

 

 

 



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