ツライわあ、ホント、ツライ。
瀬川(小芝風花)が鳥山検校(市原隼人)に身請けされると聞いて、ようやく自分の気持ちに気が付く蔦重(横浜流星)。その思いを涙でぐしゃぐしゃになりながら受け入れる瀬川。
このシーンの風化ちゃんの泣き顔。それまで涙なんて見せたことのなかった瀬川の、心の底からの喜びに溢れた泣き顔なんだよね。
こんなの見せられたら、たまらんよ。
瀬川は身請け話を断りますが、そこに男の影を見た松葉屋(正名僕蔵)とその女将いね(水野美紀)は、忘八らしい理不尽さで攻めてきます。
ほんとに忘八な酷さなんだけど、そこには忘八なりの
「情」があるんだよね。
折しも起きた、うつせみ(小野花梨)と新之助(井之脇海)との”足抜け”騒ぎ。結局二人は捕まり、うつせみは見せしめの折檻を受けます。
うつせみを折檻しながら、足抜けしても幸せには成れない現実を懇々と話して聞かせるいね。これはほかならぬ瀬川に聴かせているんだよね。
いねが瀬川に言います。女郎たちが吉原から出られる方法は身請け以外にはない。その道を付けるのが瀬川の役目、だと。
いねさん自身も元々はお女郎さんだった。たまたま松葉屋に見初められて女将になった。だから吉原のお女郎さんたちの苦境は身に染みて知ってる。できればお女郎さんたちには幸せになって欲しいという想いもあるんだろう。でも
そこは忘八。自分の立場をちゃんとわきまえた行動を崩すことはない。
この忘八としての非道さがありつつの、それとは正反対の「情」もありの
この一人の人間のなかにあるアンバランスな感じ。でも人ってこういうものだよね。
単なる善人はおらず、さりとて単なる悪人もいない。この人物描写の巧みさ。ホント上手い脚本だなと思います。
松葉屋さんと女将いねさんとの関係性。夫婦というよりビジネスパートナーみたいな距離感があって、なんとも面白かったですね。
吉原全体のために身請け話を受ける瀬川。蔦重もまた、瀬川の幸せを願う故に、身を引くことを決意します。
本をとおして別れを伝え合う二人。この二人の関係には常に本の介在がありました。その辺りの伏線の張り方がまた、上手い。
瀬川と蔦重が恋仲だったというのはもちろんフィクションです。でも瀬川が鳥山検校に見受けされたのは史実。このフィクションと史実との混ぜ具合の絶妙さ。視聴者をドラマ世界に引き込む手腕。
ホントに見事な脚本ですよね。
切ないねえ。
切ない話でしたね…。
脚本がとてもうまく出来ていますね。
一見華やかな吉原の世界の、現実の世界……。
瀬川と蔦重の切ない大人の恋が、ご本人たちや、周りの人たちのとてもシビアな演技が、盛り上げてくれましたね。
こうなって良かった…、と思える結末でした。
完全にやられました。
水野美紀さん良かったですねえ。情と損得勘定とが入り混じった、一筋縄ではいかない感じ。水野さんなしに、今回の話は成り立たなかったといっていい。
『ガメラ2』の可憐な美少女がこんなになっちゃって…いやいや、女優魂ですよ。素晴しい!