ネタバレちょっとあり。
亡くなった方と生きてる人は、心で繋がってる。そんな優しいメッセージの映画。
なるべくネタバレはしたくないけど、東日本大震災で突然の死を迎えた方々の魂が、生前そのままの姿で、生前に暮らしていた町にそっくりの、あの世とこの世の間にある世界にいる。
そんな世界に、交通事故で臨死状態にある女性(のん)の魂が送られてくる。のん演じる女性はこの世界で、あの世に行くか現世に戻るかの決断を自分でつけることになる。
てな感じの話。わかるようなわからないようなストーリーでしょ?でも映画を観ていればその辺は自然に理解できるようになってる。だから大丈夫。
のんという女優の凄さを感じますねえ。なんというか、のんちゃん自身も凄いんだけど、のんちゃんって人は、共演者の皆さんの持つ実力を引き出すような、不思議な力を持っているように思えました。
特にそれを感じさせたのが三田佳子さんね。大ベテランの三田さんが、のんちゃんの演技を前にして、なんというか、喜んでいるというか、凄く楽しんで演じている感じがして、あの三田さんが喜ぶ、心震わせるのんちゃんって、どんだけ女優として凄いんだろうか!?と思ってしまった。
寺島しのぶさんなんかもそう。あんな芸達者な人が、いつも以上に「本気」を出してる。いや、いつも本気なんだろうけど、今回はいつも以上にその本気が見えるというか、なんだろうな。
役者さんたち、特に女優陣がみんな、いつも以上に「達者」に見えるんです。
まあ、北村龍平監督の演出力もあるのかも知れんけど、やっぱりこれは、のんちゃんの力なんじゃないかな。
そんな気がしました。
大島優子ってこんな演技上手かったんだ!?とか、ただでさえ達者な門脇麦がより達者に見えたし、山谷花純という若手の女優さんも、元々上手い方なんだろうけど、のんちゃんと共演することで、その上手さがさらに引き出されたように思える。
この映画は基本、女優陣が中心となって展開していく映画です。男優陣は脇を固めて、女優陣をアシストしているというか、あまり前面にはでてこないんだけど、それもまた良い感じなんだな。
柳葉敏郎、中村雅俊、高良健吾、平山浩行、そして永瀬正敏。
良い仕事してました。
ラストのイルカショーのシーン。まあ、色々ツッコミを入れようと思えば入れられるんだけど、それも無粋だなと思える、そんな名シーンでした。
自然にね、自然に涙が出てくる。そんなシーン。
この映画でののんちゃんは、死者と生者の間を媒介する役割を担わされていて、それを見事に果たすシーンなんですね。
死者からのメッセージを受け取った生者は、自分の心の中に、彼ら死者たちは「生き」続けている、いつも一緒にいるということを実感し、心の整理をつけていく。そうして生きていく。
東日本大震災はじめ、多くの災害や不慮の出来事で亡くなられたすべての魂と、その遺族たちへの、とても優しいメッセージ。
人は死んで終わりじゃない。死者は生者の心の中に
永遠に生き続ける。
理屈じゃない、自然に
極自然に
涙が零れる。そんなラストシーンでした。
※親父が亡くなって、まだ49日の最中の頃。
家の洗面台で髭を剃っていたら、洗面台の灯が突然点滅し始め、一度消えた後、再び点く、なんてことがありました。
後にも先にもその時一度きり、二度とそんな現象は起きなかった。
親父が、「俺はここにいる、お前のそばにいるぞ」
ってなことを伝えに来たのかな、なんてことを感じて
人は死んでも終わりじゃない。それを実感した
そんな経験でした。
死者と生者は、心で繋がってます。
本当に。