これ、以前のブログに書いたので、今回は簡単に書きます。
特撮とはつまり、日本の古典芸能の継承なのです。
例えば人形浄瑠璃。私はこの芸能にアニメーションのルーツを見ましたが、特撮のルーツでもあるといえます。
明らかな人形だし、人形を動かしている人の姿は丸見え。でも観客はその人形に感情移入し、涙さえ流す。
なぜなら人形には「霊」が宿っているから。だからその人形はただの人形ではない。
「命」が宿っているのです。
例えば能。能の基本は怨霊鎮魂にあるといえます。
だから能役者が付ける面には、霊が宿る。その時演者は、怨霊と同化している。
明らかな作り物。明らかな人形。明らかなお面。
明らかなミニチュア。
だけど日本人はそこに、「本物」を見る感性を持っている。
DNAの中に、その感性は刻み込まれているはずなのです。
ですから、シン・ウルトラマンに登場する禍威獣や外星人、あるいはウルトラマン自身にある絶妙な着ぐるみ感。その作り物感にこそ、日本人は「本物」を感じるのです。
「命」を、「霊」を感じるのですよ。
禍威獣には、映画『ジュラシック・パーク』の恐竜のような「生物感」などいらない。むしろ邪魔ですらある。
西洋の映画の「リアル」とやらにまどわされて、怪獣に筋肉の動きなどつけてはいけない。怪獣に必要なのは、着ぐるみのような
シワや弛みであり、四つ足怪獣の後ろ足は、人間の足のようでなければならない。
庵野さんや樋口さんはおそらく、その点を理解しているか、あるいは
肌感覚でわかっているかなのでしょうね。
芸能とは本来、神に捧げるものです。神楽などは人が「神」を演じ、大蛇などの怪物を倒す。その時神を演じている者には、本当に神が宿っていると、日本人は感じてきたのです。
ここまで言えばわかったでしょ?日本人にとってウルトラマンが何なのかということが。
何故こんなに大ヒットを飛ばしているのか、ということが。
なんでもかんでも「リアル、リアル」と言う奴は……やめときますか(笑)
映画『シン・ウルトラマン』、この、日本の古典芸能の継承を
あなたも体験してはいかが?