フェンネルの項を終わるにあたってこれだけは言っておいた方がいいかなと思ったので付け加えることにしました。” フェンネルを野原で摘む “ ことは日本では無いかな?とは思うのですが。フェンネルに似た「毒ニンジン」がひょっとして日本に持ち込まれている可能性もあるのではと思ったからです。
調べてみるとやはりありました。厚生労働省が出している自然毒のリスクプロファイル http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_14.html の中に「ヨーロッパ原産。中国、北アフリカ、北アメリカに帰化し、日本では全国的に拡大しつつある。北海道では、札幌市近郊の土砂捨場、または隣接する牧草地への進入が見られる。全草、果実に有毒成分(アルカロイド)を含み、食べると悪心、嘔吐、流涎、昏睡を起こす。」とありました。本当に今は何が起こってもおかしくない時代ですねえ。さすがにこれだけは、と思っていたのですが、やはり入っていたのですね。
毒ニンジンは、セリ科の二年草で地中海原産の Conium maculatum と、北アフリカ原産の C. chaerophylloides の二種類があります。ヨーロッパ種には特に強い毒性があります。かって、と言っても相当昔の話ですがソクラテスを殺したのもこの毒ニンジンです。ヒポクラテスが “ 咳、熱、喉の痛み,頭痛、消化不良,いぼなどあらゆる病気に効く ” と述べています。避妊目的にも使われた様で、いや、今でも避妊が法律で禁じられている国のサイトを見ると盛んに毒ニンジンの使用方法、特に成功例が出てきますが,( 不成功裡に終わった方はブログを書くどころではないでしょうし、死ねば書いている暇などないでしょうからね )決して真似をしてはいけません。毒ニンジンが薬効を発揮する「閾値」は非常に狭く、これを使うことは死を意味します。
毒ニンジンの絵を引用しておきましょう。
http://www.nippon-shinyaku.co.jp/herb/db/plant/121_130/conium_maculatum.html から
http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/p-hemlock.html から
茎の下の方に赤い斑点があるのが毒ニンジンの特徴です。「ソクラテスの血」と呼ばれています。
セリ科のハーブは非常に種類が多く、たくさんのハーブを我々は利用しています。パセリ、コリアンダー、ディル、アシタバ、チャービル、セロリ、ミツバ、クミン、セリ、ヤマゼリ、ボウフウ、シャクなどその花は上に挙げた花とほとんど区別がつきません。見慣れた密集した白い花びらとレース状の葉には近親感すら覚えます。それだけに注意が特に必要です。ドクニンジンのあらゆる部分に含まれる毒性アルカロイド(コニイン)は、中枢神経を犯し呼吸筋を麻痺させて呼吸困難を引き起こし最後は死に至らしめる強力な神経毒です。触ったかなと思ったらすぐに嗽をして、目を洗い、できればシャワーを浴びることです。
完
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