原題『Heaven』
公開 2003年
上映時間 96分
監督 トム・ティクヴァ
出演 ケイト・ブランシェット、ジョヴァンニ・リビシ
見所 ①ケイト・ブランシェットの美しさ。その涙はファン必見。白Tシャツとジーンズで際立つかっこよさ。②風光明媚なイタリアの田舎の風景。
私の評価 ★★☆☆☆ 2.0点
お家観賞
※【以下ネタバレあり】
夫を死に追いやった男に復讐する女性(フィリッパ)をケイト・ブランシェットが演じる。方法は時限爆弾。犯罪ものかと思っていたら、ラブロマンスでした。
闇が深そうな麻薬の売人と警官との関係は表に出ず、捕らえられたフィリッパに恋をした刑務官フィリッポの手引きで逃げ出し、復讐相手をいとも簡単に殺してしまう。ここで私は肩の力が抜けました。
復讐を果たしたら罪を償うのかと思ったら、ふたりで逃避行。休暇中のように汽車でフィリッパの田舎に向かう。間違いだったとはいえ、子供ふたりと父親、掃除の仕事中の女性4人を爆弾で殺してしまったのにと、もやもやしているうちに、フィリッパが坊主頭になってしまいます。フィリッポもお揃いです。かえって目だつのではないだろうか。なかなか捕まらないのが不思議でした。
イタリアの田舎のステキな景色に、坊主頭白Tシャツジーンズ姿で美しさ際立つフィリッパ、爆弾犯だということを忘れてしまいそうです。
「愛していない」と言えば、彼だけ逃げきれるかもしれないのに「愛している」と、引き止める。二人で捕まる覚悟かと思ったら、ヘリコプターを盗む。
ヘリコプターが空へ消えていく様子は、浄化されていくかのようでした。しかし完全に見えなくなったとき、被害者や父親、ほおをひっぱたいてくれる友人の気持ちが痛みとして私に残りました。兄に従って逃亡の手助けをした幼い弟が心配です。
「なぜ最も大事な時に人間は無力なんだろう」
息子を助けられなかった父親の言葉が心響いたからです。10年ぶりとはいえおねしょをしたり、階段で弟と話す姿は幼く見え、父親の心配が見て取れました。精神的に危うい息子だったんだろうなという気がします。母親の気配がない分、父親の愛情が強く感じられました。やっと父親とおなじ刑務官の仕事についたのかもしれないと想像します。よけいにせつない。
きれいにまとまっているので、破滅に向かっているのを感じさせなかったけれど、死に場所を探していた女性に共感してしまったと考えると、苦しい。生きて欲しい。
ラスト、ふたりはヘリコプターで上昇。ふたりは他国に逃げる道もあるが、このまま天国へ旅立つのかもしれない。そんな美しい終わり方でした。