本と映画とわたしと

感想です。

映画「さらば、愛の言葉よ」を犬好きの私が観た。

2015-05-05 | 映画
(ネタばれあり)
映画館の映像(3D)や音響があってこそ、
この映画はおもしろい。、
興味のある方はぜひ映画館で観るべき。
映画館でないとこの映画のすごさはわからないだろう。

私がこの映画を観に行った理由は、
本作に出演している犬が、
カンヌ映画祭のパルムドッグ審査員特別賞を受賞したから。
つまり犬見たさ。

ゴダール監督作品への知識はなかった。

冒頭から圧倒された。
左右のスピーカーから、突然片方、音が消えたり、
3D映像と、光の交差で、
どこに視点を合わせていいのか、
聴覚も視覚も固定できない。
意識を合わせればいいのかわからず、
時間が歪んでいるような気さえする不思議な感覚に襲われ、
気持ちが散乱した。

重みは感じるけど、わけのわからない言葉(台詞)たち。
たくさんの言葉が引用されていて、わかる人にはわかるのだろうけど、
わたしにはさっぱり。
混乱しそうだったのを必死についていった(つもり)

断片でつなぎ合わされ、
何が起こっているのかよくわからない中で、
犬のことだけがわかる気がした。
私は犬好きだから、犬の気持ちになるからかもしれない。

途中から、言葉は理解できなくていい、犬目線で見ればいいのかなと思いはじめた。
犬には人間の言葉はわからず、人が何しているかも正確にはわかってないんだから。
そう思うと、人間たちの会話は不毛に思えてきた。

劇中、引用されたダーウィンの言葉
「犬は自分より人間を愛する唯一のどうぶつ」に、
私は深くうなずく。犬はただ愛している。
犬には言葉はない。人間にもいらないのかもしれない。
言葉のあるためにわからなくなっている…と考えれば、、
少し理解できるかもと思っていたところ、突然、映画が終了。茫然とした。

結局、よくわからなかった。

わからなかったから、パンフレットを購入した。
パンフレットを読むと、
人妻と独身の男。ふたりは愛し合い、喧嘩し、一匹の犬が町と田舎を彷徨う~と説明がある。
私には軸となるストーリーさえ読み切れてなかった。

わかったところで、ストーリーはたいして意味がないのかもしれない。
感じればいいのだろう。

言葉を闘わせ続ける人間と、言葉を持たない犬がいたお話。

原題「Adueu au langage」を直訳すると 「さらば、言葉」。

Adieu には、さよならという意味のほかに、
こんにちはのニュアンスもある。

私はやっぱり犬が好きなんだなと感じた一本。