昨日は一日、空気がかすみがかっていて・・・
黄砂がすごかったようですね。遠くの山も朝霧の中にずっといるように見えました。
さて、今日は誤嚥性肺炎のお話です。
高齢者が増える中、頻度的にもすごく多い病気です。肺炎にまでならなくとも、むせやすくなった というお話も外来で時々耳にします。
誤嚥性肺炎の要因の一つは嚥下反射(飲み込み力)の低下や咳反射の劣化であるといわれています。
そのほかに認知症、身体活動性の低下、男性、喫煙歴、経口摂食能力の低下、併存疾患や誤嚥性肺炎に影響するくすりなどいろいろな関連因子がわかっています。
できるだけ、自宅でも予防できればと思い、少しまとめてみます。
1,口腔ケア
口腔ケアは口の中の細菌を除去したり、食べかすを取り除くという役割もありますが、ブラッシング自体が、機械的な刺激になり、脳への刺激と考えられています。また、嚥下反射や咳反射への反応を改善させる効果が期待されます。口腔ケアの継続は肺炎発症と死亡率の抑制効果があることがよく知られています。
2.食事の温度
食事の温度も重要です。嚥下反射や咳反射に関係する神経は舌咽神経や迷走神経知覚枝という神経になりますが、それらに温度を感知する受容体も存在しています。60度以上の熱い温度に反応する受容体、17度以下の冷たい温度に反応する受容体の刺激によって、嚥下反射は劇的に改善するといわれます。
つまり、熱くして食べるものは熱く、冷たくして食べるものは冷たくして食べる ことが大切です。
「アイスマッサージ」という食事前の冷刺激も有効といわれます。
3.香辛料
逆流性食道炎のある人にはお勧めしませんが、唐辛子のカプサイシンや清涼感のあるミントのメンソールは嚥下反射・嚥下の運動を改善する効果があるようです。
4.アロマテラピー
アロマというとリラックス効果など思い浮かべますが、誤嚥の予防には黒コショウ ブラックペッパーアロマを毎食前1分間かぐことで、嚥下機能改善が示されています。匂いによる予防は・・・どの程度でしょう
5.食後の座位保持
食後にすぐに横にならないというのは大切だと思います。
食後の体位はなるべく30度以上、2時間以上の保持が良いといわれます。
6.便通コントロール
適宜、便秘薬を使用して便通コントロールをよくすると肺炎発症を抑制できることが示されています。
7.栄養
肺炎発症は低たんぱく血症などの低栄養の人に多いことが知られています。肺炎発症群では摂取カロリーが少ない傾向があるという報告もあります。きちんとした栄養摂取、栄養管理で肺炎発症の予防ができるということです。
誤嚥を繰り返すと、より肺炎を繰り返しやすくなります。日々の予防も大切です。
ぜひ参考にしてみてください。