禁煙治療で使用するチャンピックスの出荷停止からもう1年近くたちました。
毎年、数名の方がこのお薬で禁煙成功されており、2021年6月以降の出荷停止なので、なかなか長いな・・と思います。お問い合わせも昨年はやはり数名いただきましたが、まだ再開のめどが立っておらず、禁煙に前向きに取り組もうと考えておられる方には申し訳なく思います。
電子タバコに切り替えて、禁煙してみる という話を聞いたりしますが、その効果はいかがなものでしょうか?
現在、商品化されている主な電子タバコは、アトマイザーと呼ばれる部分に液体(リキッド)を入れて、電気で加熱して発生する蒸気を楽しむ という仕組みになっています。
日本では薬事法により、リキッドにニコチンを含めることはできません。しかし、実際には海外輸入されたものや個人輸入のリキッドにはニコチンが含まれるものが存在します。
日本で売られているものを使用している場合、電子タバコでニコチン依存症になる心配はありません。また、タバコは副流煙によって、被喫煙者にも健康被害を与えることがありますが、電子タバコの煙は蒸気でありそうした心配もないようです。
とはいえ、電子タバコの安全性は現在でも完全には保証されていないという点には注意が必要です。実際に電子タバコの安全性に関しての試験では、発がん性物質(ホルムアルデヒド)が検出された例もありました。
またフレーバーの添加物自体が気管支や肺に炎症を起こすとするデータもあります。
電子タバコにすると結果的に禁煙につながるので健康に良いとする意見もありますが、これは専門家の間でも意見が分かれた状態ではっきりしません。禁煙のために電子タバコの使用を考えている方はこの点にも留意をしてください。
WHO(世界保健機構)では「電子タバコはしようしないように強く勧告」しています。電子タバコに関しては長期にわたる使用の健康への影響を含めて、これからも長期的な動向を見ていく必要があると思います。
チャンピックスに関しては、早くとも2022年の後半以降とされています。
安定した禁煙外来が再開されるとよいなと思います。