新型コロナウイルスの影響で自粛生活が続き、また、寒くなってきたことも重なり、ストレスや運動不足などにより便秘になる人が増えています。
便秘は日本人の7人に1人 1700万人以上が悩んでいる国民病ともいえる病気です。若い女性がかかるものというイメージがあるかもしれませんが、最も多いのは70歳以上の高齢者です。
当院でも患者さんは70歳以上の方のほうが割合は多く、かなりの頻度で便秘薬を処方しています。
便秘は生活の質を落とすだけでなく、生命を脅かす病気を誘発するということは日本ではあまり知られていません。
20歳以上のアメリカ人3933人を対象とした追跡調査で便秘の人はそうでない人に比べて15年後の生存率が約20%低いことが報告されています(Am J Gastroenterol.105(4)822-832,2010 )
血管がしなやかで弾力のある若い人はトイレで強くいきんでもそれほど血圧は上りません。しかし、50歳を超えるといきむだけで血圧が急上昇し、心筋梗塞やくも膜下出血などを引き起こす契機になることがわかっています。呼吸器疾患がある人もいきむことで動脈中の酸素が急激に減少し、低酸素血症になることもあります。
また、便秘になると食欲がなくなったり、イライラして集中力がなくなったり排便のことが気になって家に引きこもってしまったり。年齢に関係なく生活の質は大きく低下してしまいます。
便秘というのは本来体の外に排出すべき便が十分量、または快適に排出できない状態のことです。多くの人は何日も排便がない状態を便秘と思っているかもしれませんが、1つは排便回数減少し、おなかの張りや腹痛があり、週3回未満であれば便秘の可能性があります。
毎日でなくてもお腹の症状がなく、すっきり排出できていれば、便秘ということにはなりません。
また、もう一つは排便困難症です。強くいきまないと出なかったり、便が残っている感じがあったり、1回で出し切れずに何度もトイレに通うことがあるなど またおしりに便が詰まっている感じがする などの症状が便秘の方の半数以上に見られるようです。
便秘で相談するのは恥ずかしい と思う方もいるかもしれません。けれど、高血圧などの基礎疾患があり、便秘症状が1-2か月以上続いていたり血便などがある場合には一度相談することをお勧めします。