第135回直木賞受賞作品。初三浦しをん作品。★★★★☆
「まほろ駅前多田便利軒」は、その名の通り、多田啓介が営む便利屋である。
年老いた母親のお見舞いを代行したり、犬を預かったり、庭掃除をして、生計を立てている。
その「多田便利軒」に居ついてしまったのが、行天春彦。
多田の高校時代の同級生だった彼は、校内では変人として有名だった。
成績はすこぶる優秀で、見た目も悪くないのだが、教師にも、クラスメートにも沈黙を通した。彼が高校三年間でしゃべったのは、「痛い」の一言だけだった。
多田と行天は同級生だけど、友だちではなかった。
しかし二人は、高校時代のある思い出を共有していた。
そして現在、二人は家族なし(バツイチ)という境遇であった。
行天が「多田便利軒」に来て以来、振り回されてばかりいる多田。
行天と暮らした一年近くの間、血圧が乱高下し、抜け毛が増え、不整脈が頻発する日々だった。
勝手なことばかりして、他人も自分もどうでもいいようなそぶりを見せるくせに、本当はだれよりもやわらかく強い輝きを、胸の奥底に秘めている行天。
そんな二人と「多田便利軒」で起きる事件の数々を綴った作品。
~とってもおもしろくて、あっという間に読み終えてしまいました。
行天と多田、ふたりともかっこいいです!!
ほんとは、冴えない中年のおじさんかもしれないけど。
バツイチだし、お金ないし。でも、かっこいい。
助けがほしい人を、ちゃんと助けることができるから。
私の中では、ふたりはヒーロー。大沢たかおさん(多田)と竹之内豊さん(行天)のイメージです・・ほめすぎ?
心に残った行天の台詞。
「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望となることだ」
心に残った多田の台詞。
「与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形で、おまえは新しくだれかに与えることができるんだ。そのチャンスは残されている。生きていれば、いつまでだって。」
このふたり、まだまだ見ていたいです。
三浦さん、続編を待ってます!!