初の荻原浩作品。★★★☆☆
倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に大仕事が舞いこんだ。
ところが、その中身はヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。
担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとには、さらに別居中の娘まで転がりこんでくる。
社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすがー。
気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。
(裏表紙の紹介文・原文のまま)
ヤクザの広告を作る、というとんでもない設定の、ありえないでしょ?という話ですが、おもしろく読みました。
なんといっても、登場人物が、魅力いっぱいです。
杉山の娘・早苗。サッカーチームに所属し、Jリーガーになるのが夢の小学二年生。新しい父親をカビゴンと呼び、なじんでいない様子。
ヤクザ初心者・勝也。もと陸上選手。高校生時代に、心無い教師の言葉に傷を負い、陸上と学校を辞めざるをえなかった過去を持つ。
杉山の会社の面々・社長の石井、村崎、猪熊~この絶妙のバランス。
テンポよく進んでいく物語のラストは、ちょっぴりせつないです。
罪を犯してしまう勝也、娘との別れを覚悟する杉山。
二人のこれからが、気になります。
幸せだといいな。