心の山を歩いていこう!

単に山頂を目指すより、山歩きそのものを楽しみたい。
そんな思いを備忘録として綴ります。

赤湯温泉、山口館。

2018-07-26 21:00:00 | 山の宿
赤湯温泉に初めて泊まったのはかれこれ十五年以上も前の秋深まる十月末。
苗場山に登る事を告げると、「冬の用意でいらっしゃい。」と言われたが、やはり秋の気温だったため冬支度では暑く、汗だくで降りてきたことを今でも憶えている。

露天風呂もさることながら、薄暗い囲炉裏を囲んでのお婆ちゃんの心尽くしの夕餉、御主人の朴訥の語りが記憶の端々に刻まれている。

あれからすっかり月日が経ち、何処かしら変わっているかと思うが、断片を繋ぎ合わせた記憶が蘇ってきた今、もう一度行きたいと強く感じていた。

そして、今回夏の苗場山にも行きたく、念願の再訪を果たした。


林道の入り口に迷いながらも小日橋にまでクルマを入れる。
過去の自分は迷わずここまでスンナリ来れた事を思うと、カンが鈍くなったのかと呆れる。

橋を渡ると眼下に清津川が緩やかに流れる。ここから歩いて宿に向かう。



林道は緑眩しい木陰のおかげで涼しい。



林道終点付近の休憩場所。
ここでひと息ついてこの先の登山道歩きに備えたい。



木漏れ陽もれる棒沢の流れ。



この先は釜段ノ滝。残念ながら橋からは滝壺が見えない。



これから先は本格的な登山道。なかなかの登りとなる。



木々が開けると、近くの山が見える。秋木々が色づく頃、どんな様子なのだろうか。


やがて緩やかな下りとなる。身体のほてりが少しずつ引いていく。



羊歯の茂る森となる。この先には九十九折の急坂が待っている。



清津川に掛かる鉄橋を二つ渡ると宿はすぐそこ。橋の真ん中から野天風呂の建物が見える。



念願の宿に到着。昔と何ら変わらない建物。



玄関付近も全く変わっていない。過去にタイムスリップしたかの様。



二階の渡り廊下から一階の居間を見下ろす。ここもほぼ変わらず、懐かしさがこみ上げる。



「青湯」
本来日中は女性専用だが、この日は女性客がいなかったので、断って入れさせてもらった。汗で冷えた身体には少し熱いくらいだが、寛げる。



「薬師湯」
こちらも回りを囲っているが、日中は男性専用。なので気兼ねなく入る。こちらもやや熱めのお湯。



「玉子の湯」
温泉にばかり浸かっているとのぼせそうだが、こちらは温めでしかも囲いの無い、露天風呂。ゆったりと青空を見あげながら、身体も心も解れていく気持ち良さを実感。



この日の夕餉。
山の恵みの優しい味わい。ここでしか味わえない山菜料理に感謝。



暗くなるとランプの灯りが部屋にともる。
電気の明るさに慣れていると薄暗く感じるが、ランプの揺らめきに何処か懐かしさを覚える。



夜は川の流れの音しか聞こえない。川べりのせいか涼しく、明け方は寒いくらいだった。
お陰でぐっすりと休め、翌日の苗場山登山に向けての英気を養う事が出来た。

次訪れるのはいつ、という風に気軽に行ける所ではない。
でも、いつの日か思い出したら、また是非とも行きたくなる宿だろうから、その日が来るまでそっと胸に閉まっておこう。

(終わり)