再読のための覚え書き
遮断機
丹羽文雄(1904-2005)
吾妻九三は、踏切の遮断機の前に止まるタクシーの中に、酔い潰れた調治の姿を見た。
調治は、九三の腹違いの弟だった。
しかし、九三はそのタクシーを避けた。なぜなら、彼の行き先は、調治の妻のもとだったから……。
「自己嫌悪とは、何か。自分で自分をきらいぬくというのは、どういう意味か。きらう己は、何者か。もう一人の自分とは、何ものか」
『罪の自覚』について、心の底なしの奥深くまで探ってゆく作品。絶版のままなのが惜しい。
巻末の亀井勝一郎による親鸞を引用した解説が胸にストンと落ちる。
他、老醜を描いた「襤褸の匂い」を併録。
2023.2.16読了
丹羽文雄
角川文庫
昭和30年3月10日初版発行
旧仮名遣い
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