再読のための覚え書き
「春の海図」
井上靖(1907-1991)
不実な夫はロンドンに半年間の外遊に出かけ、妻の茜は、一人になれた解放感を感じていた。
その後、茜は新聞で「木元貿易社長失踪」の記事を目にする。木元は、茜がかつて想いを寄せた画学生だった。
木元の行方不明が世間を騒がせる中、茜は、木元が好きだった五浦海岸に見当をつけて訪れるのだが……。
「夫がいないと、自分はこんなにおとなしく、こんなに素直ではないか!ーーそう思うと、夫への小さい怒りがふと胸を走った。」
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不本意な結婚生活から逃れたいヒロインの茜。そこに、姪の光子と別居中の登山家の関係が絡み合う。男女の不安定な愛情が交錯するものも、そこはやはり井上靖で、精神性が昇華され、清潔感が醸し出されてゆく。大好きな作家。
2022.8.8読了
春の海図
角川文庫
昭和33年9月30日初版発行
昭和45年3月30日改版初版
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