洛中在住

京都暮らし

町家との出会い

2010-05-14 | 町家
町家との出会い



千本格子に通り庭。
1200年の歴史・文化が集約された、京都の伝統的な都市居住形態である京町家。
都市の近代化や都心部の人口の減少などから、どんどんとその姿を消しつつあります。
しかし近年、空間的な豊かさや自然との共生という観点から、その良さが見直されてきました。

普通の賃貸マンションに住みながら、いつかそういう古い家で生活するのが夢でした。
「なんであえて古い家がいいの?」
と不思議がられるのですが、これはもう趣味です。町家は骨董と同じ!

趣味なので週末のたびに旦那と自転車に乗って町家を物色。 
「きれいな一文字瓦やなぁ」
「お!すごい理想的なハシリ!」
「立派な梁やん」
などと京都市内を徘徊し町家ウォッチングをしてはしゃぎまくる。
町家は巨大な骨董で面白い。



そして、ついに運命の日はきました。

2001年3月
チラシで「京の町家」売り出し物件を発見!
ああ、憧れの町家。
これは見学に行かねばと慌てて旦那と現地へ駆けつけました。

場所は機織の音がいまだに響く、京都の織物産業で有名な土地。

物件の外観は銅が葺いてあったり、すだれがかかってたりして超町家!
内部はいわゆる一列三室式の典型的な京町家です。
典型的な京町家とは、玄関を入ったら奥まで靴をはいて歩ける通り庭(ここに台所がある)がありまして、
横に店の間→ダイドコ奥の間(座敷)、と続いて坪庭、トイレとお風呂といった感じ。

この町家は現代風に改装されていて、通り庭を上げてフローリングの現代キッチンになっていました。
ちょっと残念。
通り庭の上部の吹き抜けも潰して二階の納戸になっています。
かなり残念。
それでも二階に上がったらドカーンと立派な梁が見えていて、その梁がとにかくカッコイイ!!


京町家独特の坪庭には立派なつくばいもついています。


一番狭い部屋はダイドコ(食卓)の四畳半だけど、当然京間(普通の畳よりひとまわり大きい)なので
六畳ぐらいはあります。
そしてこの部屋は、なんと炭であたためていた時代の掘りごたつがあるのです。

聞けば元は糸屋さんだったそうです。
さすが織物産業で有名なお土地柄。

このような町家に京都の真ん中という立地条件。
「ほな、どんなけ高いねん!」 と思ったら、実はそうでもない。
なんでも「築不詳」の古すぎる建物なので 土地代だけで建物はタダだそうな。
よくある「古家付き」といったヤツです。
町家を骨董だと思えば「築不詳」もまた良し。
建物が古くてタダとは言っても 二階は以前住んでいた人が最近改装して新品同然だし
一階をちょっと手を加えれば充分すぎるほど住めるのです。


私たちの心は決まりました。

「この家、買います」


…見学30分で、町家を衝動買いしてしまいました!!



拙宅図(2003年改装後)
コメント