永井荷風さん作「ふらんす物語」の朗読が明日から始まる。
これはすごい!
番組ホームページの解説『作品』を読んでさらに驚いた。
「発表になった初版本が一般に読めるようになったのは1992年(平成4年)の岩波書店版「荷風全集第5巻」から。
今回の放送では、(中略)本来の姿としてのこの作品の初版本を紹介したい。」と書いてある。
この朗読で初版本を紹介するのだ。
これがすごいことだ。
なにがすごいかっていうと、「ふらんす物語」の出版のいきさつと初版本の値段を知っていると、そのすごさが分かると思う。
「ふらんす物語」は出版寸前に発売禁止になり、当局が印刷した本を全部差し押さえたと言われていた。しかも初版本は一冊も書店に並ぶことさえなかった。
僕が学生時分、講義で聞いた話では、世の中に残っていた数が、4冊しか残っていないと言うことだった。
残った本は出版関係者が秘密裏に持ち帰り、ひた隠しにしていたので、本が存在することさえ誰も知らなかった。
それが奇跡的に4冊だけ存在すると伝えられていた。
その初版本の値段が、何と何と何と金400万円と聞いた。
初版本としては最高金額だ。
その初版本が平成4年全集で収めら見ることができるようになったとは、上記の記事を読むまで全く知らなかった。
岩波文庫に収録された以降は、もしかしたらこの値段は下がったかもしれないが。
その作品が朗読で、聞けることはかなり貴重なことだと思う。
朗読を聞く時は、“初版本400万円” を頭の片隅に入れて聞いたなら、作品の味わいが違ってくるかもしれないと感じる。(^^)