「あすかの会」七月の秀句から 季題「晩夏」・兼題「再」
◎ 野木桃花主宰句
骨董市木の下闇を借り申す
再会のふれてはならぬ祭笛
梅雨明や再出発を誓ひ合ふ
☆ 野木桃花主宰特選句
先斗町二階にだらり軒簾 悦 子
☆ 武良竜彦特選句
遠き帆の微かに光る晩夏かな 玲 子
◎ その他の秀句から 【支持・評価の高かった順】
木には木の玻璃には玻璃の晩夏光 市 子
老犬のゆったりと行く浜晩夏 尚
植木屋の晩夏を刻む鋏音 尚
噴水や道理を曲ぐることもして みどり
この胸に晩夏の海を仕舞ふ帰路 玲 子
吊橋の揺れて万緑歪みたる さき子
雲はまだ鱗になれず晩夏光 さき子
風死すや着信音の軽きこと ひとみ
江ノ電の車窓晩夏の海の黙 ひとみ
もどり来る貨車は空っぽ晩夏光 悦 子
から花火嘘も方便晩夏かな かづひろ
機関車の鉄塊と化し草いきれ かづひろ
こぼれくる扇の風に香のすこし 英 子
再会は未だ果たせず土用波 英 子
震災を知りたる蟬のまた一声 典 子
色褪せし藍の作務衣の晩夏かな 典 子
籐椅子に順三郎を再読す みどり
巻貝は銀の小箱に夏の果 みどり
金魚鉢マティスのやうに窓に置く ひとみ
初嵐再び農の眼差しに 市 子
〇 ゲスト句参考
祇園会や宙突く鉾を灼く日差し 竜 彦
再びの逢瀬は約せず月見草 竜 彦