五月あすかの会秀句 兼題「開」「新緑」
2024年5月24二四日
◎ 野木桃花主宰の句
薔薇よ薔薇みなとみらいの見える丘
祝宴のシャンパングラス緑さす
足しげく通ふ公園緑濃し
待ちわびし友垣薔薇の十重二十重
◎ 野木主宰特選
屋形船小唄流れく川開き 悦 子
◎ 武良竜彦特選
開墾地いま馬鈴薯の花盛り 尚
◎ 秀句 選の多かった順
こはごはと火を踏む足裏山開 ひとみ
からからと世代交代夏落葉 さき子
開きたるままの憂鬱澄水中花 さき子
オカリナの調べ涼しく句座の宴 典 子
石仏の百面相や青葉闇 玲 子
新緑の森の教会鐘わたる ひとみ
緑さす図書館の窓日曜日 尚
若葉風黙する胸を押し開けて 市 子
新緑や戴冠帽式了ふ娘らの顔 悦 子
大夕立遮断機頭に迫りきて 悦 子
風薫る横浜港に開く窓 みどり
初夏の窓開け放ち木木の声 玲 子
水琴窟の地底の鼓動風薫る 玲 子
陽光へついと跳び出すあめんぼう 玲 子
来し方は短くもあり虹仰ぐ ひとみ
蹲(つくばい)や春の光を手に掬ひ 英 子
母の日やフルーツ菓子に洋酒の香 英 子
新樹光坂の途中のドッグカフェ みどり
とりどりの花あしらはれ初夏の膳 みどり
洋館の出窓全開ソーダ水 典 子
新緑へとんがり屋根のケアホーム 典 子
新緑をひとつ飛びにジップライン 尚
退庁はいつもこのバス緑さす 英 子
よなぼこり建仁寺垣の押縁(おしぶち)に 英 子
ヘルメット走るよ走る春の野辺 都 子
兄泣けば弟べそかく水遊び 都 子
緑さす小さき飯碗陶器市 礼 子
新緑や地獄絵に風吹き抜ける かづひろ
新緑の波にサーファーいどみけり かづひろ
海霧深き屋島の開く間牛を飼ふ かづひろ
「アカシアの雨」よ樺美智子の忌 かづひろ
新緑の滴るところ蕎麦旨し さき子
夏蝶や鍵盤を舞う右手左手(めてゆんで) さき子
手囲の一匹螢放ちけり 典 子
開店や妍(けん)競ひあふ胡蝶蘭 尚
新緑を浴びて下りくるワシン坂 みどり
瀧音の開く木々の間皐月空 市 子
新緑に吹かれて競ふ彩も香も 市 子
記念樹を仰ぎ幹撫づ若葉風 市 子
若葉雨嵯峨野の奥の人疎ら 悦 子
新緑やけやき並木の奥の闇 ひとみ
水中花己を映す水鏡 英 子
牡丹の微風逃さず開きけり 英 子
うぐいすの啼くは幸せ呼ぶごとく 英 子
母の忌やひと日を鎮む雪割草 英 子
香を聞く老師の活ける半夏生 礼 子
新茶汲む静寂(しじま)深まる中に居て 礼 子
青葉山マラソンコースの赤い紐 礼 子
未草開き始めの白さかな 都 子
新緑や山を覆ひて甦る 都 子
◎ 参考ゲスト 武良竜彦
星空を編み込み皐月の句誌「あすか」
ひらがなに漢字開けば風かおる
新緑やじいんじいんと鳴る木立
手を振れば五月の空が鰭を振る
平成六年あすか俳句大会第一位
旋回は別れの言葉鳥帰る さき子