あすかの会 2月
兼題「始 余寒」 あすかの会会長 大本 尚
◎野木桃花主宰
春日受けボールの行方始球式 武良推奨句
身ほとりに余寒貼りつく玻璃を閉づ
余寒なほ今日は遠出の始発駅
補修待つ陥没道路春遅々と
◎野木主宰特選
余寒なほ粥に咲かせる溶き卵 英子 野木主宰特選句・武良推奨句 準高得点句
◎武良特選
風もまた影になりたる春障子 さき子 野木主宰推奨句・武良特選句 最高得点句
◎準々高得点句 6
ふり向かずけふの一歩を青き踏む 孝子 野木主宰推奨句
多喜二忌や街のどこにもカメラの眼 尚 武良推奨句
《 以下、高得点順 》
カーテンに夜明けの気配春めけり 玲子 大本会長・武良推奨句
余寒なほ光を散らすさざれ石 玲子 武良推奨句
呼ぶように応えるように春の鳶 さき子 野木主宰・大本会長推奨句
つないだ手いつしか離れ卒業式 礼子 武良推奨句
卒業の空の教室始業ベル 礼子
始発ベル大雪原に吸はれゆく 悦子
葬終へてひとり余寒の始発駅 孝子 大本会長推奨句
喧噪の街を斜めに喪のコート 孝子 大本会長推奨句
冴返る建屋に響く始業ベル 尚 野木主宰・武良推奨句
本尊の背にある余寒の静寂かな 悦子 武良推奨句
聞き役掌の雛あられ湿りやや ひとみ 武良推奨句
始まりの産毛柔らか辛夷の芽 ひとみ
捨舟の漣を生む春の昼 みどり
長考の末の一指桜餅 孝子 大本会長推奨句
湯の街の窓を彩る吊し雛 英子 大本会長推奨句
夫婦して老の部類や小豆粥 英子
始発待つホームに余寒の風まとふ 尚
春愁や現し世覗く埴輪の眼 典子
じゃんけんにあいこの続く磯焚火 悦子
春光や波を幾重に鳥の群 玲子
塩辛さ始めに詫びて雛祭 市子
余寒なほ手を滑り落つ飯茶碗 市子
人日や届かぬ賀状待ちつづけ 都子
地下流る水に魂余寒なほ 都子
余寒の法堂龍のはみ出る天井画 尚
余寒なほ始業のベルのもう鳴らぬ 典子
薪をくべ長き余寒をやり過ごす 典子
花ミモザ願解き絵馬に大きな眼 典子
竹林をそっと撫でゆく春の風 玲子
浚渫船余寒の水を掻き分ける さき子
誰彼となく話したき梅二月 さき子
誰もゐぬ塩作りの浜鳥曇 悦子
池の面に相輪映る梅二月 みどり
うすうすと雲重なりて梅日和 みとり
バンを売るワゴン車の来て街のどか みどり
凍返り始めの一歩身構へる 市子
余寒なほ夕暮早き佐久平 市子
百本の杭に百羽の都鳥 かづひろ
三囲の二福に纏ふ余寒かな かづひろ
平茶碗に白妙一つ利休の忌 かづひろ
稜線の二社を加へて福巡り かづひろ
パソコンに目を据ゑ肩の余寒かな ひとみ
春満月仰ぎ気がかり解けしこと ひとみ
一歩二歩馴らし始めて入園す 英子
顔洗ひ心も洗ふ初明り 都子
雁風呂や始末巡りて睨み合ふ 都子
明るさにうかと出かけて余寒あり 礼子
しゃぼん玉新内閣が始まるよ 礼子
〇参考 ゲスト参加 武良
友逝きて未完の春を手渡さる 野木主宰推奨句 ※ 悼・戸田順
浅き春診てゐる陸奥の遠眸
列島といふ春寒の千切れ麺
春兆す海億年の波立てて