鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

埋もれた軍歌・その18 蒙疆電業社歌

2013-10-28 01:53:37 | 軍歌
今回ご紹介するのは「蒙疆電業社歌」です。蒙彊電業というのは昭和13年に内蒙古の張家口市に本社を置いて設立された国策会社で、昭和14年に蒙古聯合自治政府が成立するとこれとも密接に関係して事業を展開していきました。
社歌を作詞したのは石井竜生という人物ですが、当然昭和15年生まれの作家とは何の関係もございません。


蒙疆電業社歌

一、千古の流れ洋洋と
  黄河の岸に我立てば
  行く手を示唆す道標と
  強き力を與うなり

二、見よ王城は荒れ果てて
  隙き洩る月の影淋し
  成紀の創め英雄が
  残せし覇業跡もなし

三、王師一度行く処
  万象などか靡かなん
  蒙疆の原ほのぼのと
  黎明告ぐる鐘の音

四、高き思念と撓ゆまざる
  理想の楯を堅持して
  同胞共に携さえて
  むかえ彼岸の道遠し

五、興亜の力起しつつ
  天與の光灑ぎつつ
  友邦の友相寄りて
  聖なる業に進まなん

六、軈て其の実は結ばれて
  久遠の礎搖ぎなき
  明朗楽土築きてし
  電業其の名栄えあれ



「王師一度行く処」だの「聖なる業に進まなん」だの、お前本当にこれ会社の歌かよって感じですな。
二番に出てくる「成紀」というのは「成吉斯汗紀元」の略で、チンギス=ハーンの即位した年を元年とする紀年法の事です。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
何と素晴らしい歌詞ではないか (頭の中将 伸典)
2017-07-16 23:32:33
日中戦争最中に生まれた国策会社にふさわしい威風堂々とした歌詞ではないか。
石炭或いは鉄鉱石採掘の動力源として電力の発送電を担い余剰を周辺の未点灯地区へも供給していた。
作詞者の石井龍生は東大電気工学科出身の超エリートで40歳で会社のNo2技師長として数多くの火力発電所を作り、黄河に大規模な水力発電所を計画、後、朝鮮電業へ移り水豊ダム等を管理、戦後国策会社の役員をしていた理由でパージにあい九州で小さな会社を設立、現地採用をした邦人の受け皿となった。昭和35年当時の貢献を表し朝鮮電業から表彰状と記念の楯を受けた昭和57年80歳で没。
中国よ韓国よ、大陸に渡った日本人にもいい人は大勢いた。

返信する

コメントを投稿