鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

ポスター「東條首相の算術」について

2013-12-22 16:54:42 | 歴史
「東條首相の算術」というポスターがあります。「2+2=80」という式で有名な奴ですね。
あのポスター、その存在自体は有名なんですが、どうも個人的には疑問が多々あります。
あのポスターは東條英機の発言を元に作られた物なのか? 或いは文言自体は創作なのか?
私自身は自他ともに認める東條さんファンなので、そこは是が非でも確かめておきたいところ。
特にこのポスターは東條さんを批判する際に持ち出されることが多いので、出所はしっかり確かめておきたい。

ところが記事がないんですね。Googleで検索かけてトップに出て来るのがアンサイクロペディア、次がログ速。
幾らなんでもこりゃ酷い、という訳で独自に調査を開始した訳です。調査と言うほどの事でもないですが、
で、とりあえず現時点で分かっていることをこちらでご報告。

一応このポスターの写真、『昭和:二万日の全記録』という講談社発行の書籍に載っていることは確認済みだったんですが、そこには「昭和18年、松下電器産業報道課制作」とか書いてあるだけで、画像の提供者や出典等は明記されていませんでした。
で、出典元を探して色々とつてを辿った結果、「『プレスアルト』という当時の雑誌に載っていた筈」との情報が。
早速うちの大学所蔵の『プレスアルト』復刻版を探してみますと…



ありました。昭和18年6月に発行された『印刷報道研究』(『プレスアルト』改題)に載っていました。
当時の資料でも「松下電器産業・報導課」によって作成されたことがはっきり分かります。
ただ、小さい画面で印刷されているので、これが直接『昭和:二万日の全記録』に引用されたとは考えにくい。
『プレスアルト』復刻版には附属CDが付いているので、もしやそちらに大判の画像が入っているのか…と思って閲覧しようとしたら、なんとデータ上は購入履歴があるものの所蔵が確認できない模様。なんじゃそりゃ。
そんな訳で、今のところ『プレスアルト』復刻版附属CDの内容は確認できていません。



そしてこちらが松下電器産業報導課のメンバー。『印刷報道研究』昭和18年9月号に掲載されていた写真です。
写真の背景にはしっかりと「東條首相の算術」が写っています。結構な大判ですね。
写っている人たちの名前も判明しています。
前列右から
増田貞祐(報導課長、大阪市立工藝)
川崎順平(社外報導、大阪市立工藝)
後列右から
澤田重隆(経営資料編集、東京高工藝)
木庭 光(歩一会誌編集、京都高工藝)…とのこと。

問題はこの「これは戦時日本の算術だ…」から始まる文言ですが、これの出典はまだ良く分かりません。
少なくとも『東條内閣総理大臣機密記録・東條英機大将言行録』には載っていない模様。
あとは当時の新聞などを調べてみないと何とも言えません。
この記事を閲覧された方で「東條首相の算術」について詳しい情報をご存知の方は是非ともご一報くださいますよう、よろしくお願いします。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿