【優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。】
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの小説。
半分も読まないうちにキャシーたちの境遇がわかる。衝撃・・・。
そして、先に進みながら畜産業界の牛や豚や鶏のことを思った。研究用のモルモットやラットのことを思った。
同じ生命なのに、、、
生きるものならみんな自分の意志で生きていきたいはず。「生きることは苦」だから、なんとか楽に変えようとがんばる。未来のことは決まっていない、だからがんばれる。生きることに、初めから決められた目的や役割なんてない、、、はず。誰かに決められた人生なんてない。自分の人生は自分が作るものだ。誰だって、少しでも自由になりたい、楽になりたい、、、はず。明るく自分の目的に向かって生きていきたい、、、はず。
生命はみんな命として平等で、みんなちがってみんないい、、、はず。
みんな、幸福に生きる権利がある。
・・・同じ生命。
登場人物は人間です。どんな生まれであろうが、当然意志も感情もある。(動物にも意志も感情もある!単細胞生物でさえ、命としては平等だという真理も理解してます。)
人間の感情や想いは複雑で、、、人生経験の少ない若者は特に、自分をどう対処すればいいか分からないこともよくある。後からああすればよかった、こう言えばよかったなどと思っても後の祭り。でも、それがその時にできる”精一杯の判断”だったのだから、後悔などする必要はないのだ。気がついた時に軌道修正すればいい。
みんな悩んで大きくなる。どれもいい思い出。
懐かしくて暖かい故郷。どんな生まれであろうが、どんなことがあろうが、故郷は故郷。幼なじみはいいね。
幸せに生きるには、どうすればいいのか。腹をくくった出家者でない者は、どうすれば幸せになれるのか。
どんなに愛し合っている人でも、永遠に一緒にいられるわけではない。
介護していた人がそのうち介護される人になる。介護に疲れてしまってやめたくなる。でも、介護をやめて今度は介護される人になりたいと思う??ワタシは、できるならずっと介護する人でいたい。
「提供」は、できる範囲ですればいい。できる人ができる範囲で!自分の意志で!!
命あるものは皆、最期がある。それは「使命」を終えたということなのか?「使命」って何?誰のために命を使う?命は誰のもの?(ご主人様?神?国という集団?社会?)
「提供」されず終わるのも仕方がない、それこそ運命だ。人が害されるよりよほどいい。人が苦しむのを見るのは、本当に苦痛だ。
あなたは何かを信じたい?信じて、真実を知らずに人生を終えるのもアリなのかな?
ワタシは真実を知りたい。真実を知って、できることをやって、自分の人生を死ぬまでしっかり生きたい。
読みながら、いろいろな思いが湧き出てくる。
他の作品も読んでみたい。
星5つ
したっけ。
Amazonの文庫の方は一時的に在庫切れ、入荷未定でした。