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「すごい畑のすごい土」 杉山修一

2013年09月11日 | 読書

すごい畑のすごい土 無農薬・無肥料・自然栽培の生態学 (幻冬舎新書)

【不可能を可能にした自然栽培の驚異のメカニズム。

農薬使用を前提に品種改良された日本のリンゴを、農薬も肥料も使わずに作る方法を見つけた農家・木村秋則。彼の畑には、通常の1・5倍から2倍の微生物が生息するため土は肥え、伸び放題の草に住み着く多種多様な昆虫類が害虫の大量発生を抑えている。また、リンゴ自体の免疫機能が高く、病気に対する耐性も強い。木村の畑を研究する学者が、「奇跡のリンゴ」を生み出した「自然栽培」の驚異のメカニズムを分かりやすく解説。

「奇跡のリンゴ」をつくった、奇跡の畑の秘密。
●「奇跡のリンゴ」を導いた自然栽培とは?
●肥料が充分与えられた作物は病気にかかりやすいとは本当か?
●農薬を使わなくても、害虫や病気の被害を受けないのはなぜか?
●植物のコミュニケーション能力とは?
●植物免疫とは?                                      】

まる’自然農園はなくなりましたが、自然栽培への希望はもちつづけたいと思ってます。

この本は、自然栽培について、科学的に検証し、その価値をわかりやすく解説してくれている。
慣行農法しか知らない人が読めば、目から鱗のすばらしい本だと思う。
自然栽培は人間の生き方、社会のあり方にも通づるものであると思います。

大ざっぱにまとめます!(ちょっと長いけど引用します)

>自然栽培は自然からの収奪ではなく自然との調和を目指した技術

>「緑の革命」をもたらした技術には、化学肥料の製造法の発明、作物品種の改良、病原菌や害虫、雑草防除のための合成農薬、灌漑などの農地整備があり、これらが組み合わされて慣行栽培と呼ばれる現在の作物栽培技術が構成されています。・・・・・
化学肥料を大量に与えて作物の生育を促しながら、農薬により作物以外の生物を排除することが「緑の革命」の基本的考えです。

>遺伝子組み換え技術のほとんどは、雑草防除と害虫防除を目的としたものです。

>自然に任せて何もしなければ、リンゴが出来るわけではありません。それは「放置」です。有機栽培で何年続けてもリンゴはできず、「放置栽培」でもできません。

「リンゴを実らせるのはリンゴの木です。主人公は人間ではなくリンゴの木です。人間はそのお手伝いをしているだけです」(木村さん)

>(自然栽培は)傍観するのではなく監督としてゲームに参加します。・・・・監督の役割は、敵の動きを抑える味方のプレイヤーを元気にすることです。

>環境を天敵に合うように変えて、天敵をそこに住み着かせます。・・・中にある「生物の力」を利用する

自然栽培とは生物の力を利用する農業

>自然栽培で利用する「生物の力」は少なくとも3種類あります。
1番目は、肥料の代わりに地力を高める「植物ー土壌フィードバック」、
2番目の力は殺虫剤の代わりに害虫を防除する「生物間相互作用ネットワーク」、
3番目は殺菌剤の代わりに病気を抑える「植物免疫」

 

>多様な環境の重要性・・・・・適者生存ではなく適材適所をつくるのが競争の役割です。
人間社会での競争による格差は、競争が原因というより多様な環境条件が欠如しているところに問題があるのではないでしょうか。社会に多様な価値、多様な職業があるならば、競争は、勝者と敗者の間の格差をつくるプロセスから、自分の得意分野を明らかにし個人のアイデンティティを確立するプロセスになるかもしれません。
しかし、近年の技術革新は、社会を多様性の高い環境から均一な環境に変化させてきました。機械化の進展は、職人芸を誰でもができる単純労働に変えてきました。
・・・近年のグローバル化は、さらに世界レベルでの環境の均一化を促進するかもしれません。

>競争をなくすことではなく、人間社会の環境や価値を多様にし、それぞれが得意分野を見つけて共存できるように注意を払うべきなのかもしれません。

>人間の免疫細胞と腸内細菌は互いに進化し、共生関係が確立してきました。・・・腸内細菌は人間の健康や生活に不可欠な存在となり、免疫応答の自己と非自己の識別を制御する役割を担うようになったと考えられます。人間は正常な腸内細菌なしには、健康に過ごせないように進化しているといえます。
・・・・先進国では、自己免疫疾患で苦しむ人が増えています。・・・・・戦後の文明が腸内細菌の変化を引き起こしたことと関係しているのではないか・・・・・抗生物質が安易に使われ、食品には殺菌剤である保存料などの添加物・・・・・抗菌性の商品があふれています。・・・・・ほとんどの農産物が農薬を使い生産されています。
これら抗菌性の化学物質の乱用は、人間の健康には目立った影響を与えなくても、私たちの腸内細菌には大きな影響を与えているのかもしれません。

>人間は生態系のネットワークから離れては生きることはできません。ヒトはヒトだけでは生きていけないのです。 

>農地にすむ様々な虫、雑草、微生物は作物の敵にも味方にもなります。自然栽培は、農地に発達した複雑な生物群集をうまく制御し、「生物の力」を農薬や肥料の代わりとして利用することを基礎としています。つまり、「緑の革命」を支える科学と「自然栽培」を支える科学は全く考え方が違うのです。

>ダーウィンの進化理論は、ランダムにつくられた変異に選択が加わることによって進化が進むという考え方・・・・物理学など当時すでに確立されていた学問からも批判は起きました。自然選択理論が、今までの科学と違い偶然の要素をもっていたためです。科学理論は偶然を嫌います。予測ができないからです。
普遍的法則の存在を前提に成立している物理学や化学は、ダーウィンの進化理論のように確率的要素が強く、絶対的な予測ができない理論は科学ではないと考えたのです。

>生物の多様性は、地域の環境条件や偶然的要素の影響を受けた地域固有の特徴を示します。この多様性を利用する自然栽培のプロセスは、偶然に生じた変異に選択を通じて秩序をつくっていく自然選択のプロセスと共通性があります。それは「化学の力」から「生物の力」への転換を伴う農業イノベーションといえるものです。

慣行栽培は生物多様性を排除し、自然栽培は生物多様性を利用します

>慣行栽培がトップダウン型システムの特徴をもつのに対して、自然栽培はボトムアップで分散型システムの特徴をもちます。

>マニュアルに従っていればよかった慣行栽培に比べ、自然栽培は生産者の判断、能力が格段に重要になります。

>人間社会も生物社会と同じように、ダーウィン的な変異と選択により社会が動くボトムアップ型システムが生き残ってきたわけです。

>科学の大発見は個人の自由な発想から生まれる

>自由と公正が確立されていない社会では、いくら国家予算をつぎ込んでも、科学の偉大な発見が生まれる確率は低いでしょう。

>日本には世界で活躍できそうな多くの人材がいますが、優れた人材を活かすマネジメントが不足しているのでは・・・・・・自然栽培の考え方は、人間組織のマネジメントに通じるものがあるように思います。

>「緑の革命」がもたらした農業のグローバル化・・・・「緑の革命」がもたらしたものは農業の工業化です。工業化により農業の地域性が失われ、世界的な均質化が進行しました。
技術に差がなければ、競争力は経営規模に左右されます。(大規模のアメリカやオーストラリア等には太刀打ちできない)
>「緑の革命」は畜産業にも大きな変化をもたらしました。
・・・(狭い)畜舎の中で多数の牛、鶏、豚にトウモロコシ飼料を与えて卵や肉を生産するやり方は、まさに畜産工場です。・・・卵や鶏肉が国産品で安く手に入るのは土を捨てたから可能になったのです。

>「緑の革命」の栽培システムは、栽培に使われる化学肥料や合成農薬、農地でのトラクターの燃料、収穫物の保存や加工、運搬などすべての過程で化石エネルギーを使います。・・・・・現在の農業は石油依存という持続不可能性の上に成立しているのです。

競争排除を避けるには、ニッチを変えればよい・・・・自然栽培が「緑の革命」と異なるニッチをつくり出すなら、二つの農業システムは競争を避けて共存できるかもしれません

>自然栽培には少なくとも二つの有利性があります。
生産コストを抑えることができる
労働時間を節約できる
農産物の安心安全
自然栽培でつくられた食品は、腐りにくい

>弱点は収量が低いこと


農業についての話が主ですが、
自然栽培は、農業で食べていくわけではない私にも、いいことだらけです。
特に家庭菜園にはすごく合っていると思う。年を取って体力がなくなってからも十分できるし、お金もかからない。
沢山つくろうと考えなければ(家で食べるくらい)、楽しくおだやかにできるし、ボケ防止にもなる。

人間(人間社会)に通ずるところがいっぱいあります。
農業をする人だけでなく、全ての人に読んでもらいたい、いい本だと思いました。
( my Kindleで読みました )

星5つ 

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