180301 農業委員会を考える <改正農業委員会法に基づく農業委員の募集広報>を読みながら
いまようやく法律相談が終わりました。もうすぐ8時になります。ブログを書かない帰ってしまっては千日ブログが中断します。ま、今日も簡潔に話しをまとめてみようかと思っています。
先日、当地の広報に「農業委員などの募集について」との見出しで、「法律の改正により、農業委員の選出方法が選挙による公選制から 市長の任命制へと変更されました。」
そして「改正後の制度による新たな「農業委員」および新設される「農地利用最適化推進委員」を募集します。」というのです。
それぞれの職務については次のように書かれています。
農業委員
・農業委員会での農地の権利移動の認可などに関する審議
・農地などの利用の最適化の推進
農地利用最適化推進委員
・農業委員会での農地の権利移動の認可などに 関する審議にあたっての意見具申
・担当区域における農地などの利用の最適化の 推進に関する現場活動
・地域の農業者などの話し合いの推進
ところで、なぜ農業委員会法が改正され、農業委員については公選制から任命制に変わったのか、また、なぜ農地利用最適化推進委員を新設したのかについて、説明はありません。
それは市の広報だから仕方がないでしょう。では農水省はどうかと、見るとこれまた改正理由について説明資料は見当たりませんでした。
<農業委員会法改正について>では、改正の内容を概説していますが、なぜ改正を必要としたのかその立法事実を明示しているとは思えません。
これまでの農業委員会ではなにが問題であったか、それを明らかにすべきであるのに、改正法の説明に終始しているに過ぎません。
そのことは平成の大改革といわれた平成20年の農地法、農業委員会法などの改正の際も、とりわけ後者については問題の所在が明らかにされていませんでした。
農業委員会はなんのためにあるのか、そのメンバーはどのような職務を行っているのか、長い間議論がくすぶってきたと思うのですが、明示的な議論は少なかったのではないでしょうか。
農地転用や農地移転について、前者は実質的な判断をして知事権限の行使を促し、後者は自ら決定する農地行政において重要な働きをする役割を担っているわけですが、それが公正であったか、また地域の農業政策や計画に適合するようになされていたか、ほとんどベールに包まれた審議が行われていたと思います。ときに裁判で非農地を農地と裁量権を逸脱する判断をした農業委員会が問題にされたり、農地転用をめぐって収賄事件となったり、騒がれることがありましたが、ローカルニュースにとどまり、農水省では把握しているでしょうけど、国会での議論までには至らなかったのではないでしょうか。
とりわけスプロール化を生み出した農地転用の無軌道な対応、その前提としての農振地域の除外認定などは、本来、徹底的な調査と追求が必要であったと思われますが、あいまいされてきたように思うのです。
平成20年の改正では部分的には農業委員会廃止論もあったかに聞き及んでいますが、審議の公開をはかるなど公正さを担保する制度が少し進展したと思います。
しかし、審議会の議事を公開している農業委員会は全国で一体どのくらいあるでしょうか。ほんのわずかですね。ほとんどは簡潔な広報誌程度で、どのような審議が行われているかはいまなおベールに包まれていると思われます。
農地の問題は多岐に湧かれますが、重要な農地移転・転用について、申請手続きの段階から公正さを担保する手続きの整備が必要ではないかと思われます。
その場合にGHQが残した民主化の落とし子の数少ない行政委員会の一つである農業委員会は、当初はともかくその後は形骸化した運用になっていったように思うのです。それは本来の民主化を時代に応じて具現化できていないと思うのです。
農地所有者だけを各地域ごとから公選で選ぶ方法は、一見民主主義ともいえますが、実体は各地域内で一定の年齢に達した人を選び、選挙をしないか、選挙となってもほぼ決まった人が選ばれるのが実情ではないでしょうか。地域の農地実情を反映するように選んでいる面はあるかもしれませんが、それは基本的な農業政策がない中で、方針のない農振地域であるため、簡単に定型的な除外施設を認めて、適用除外することが地域内のネゴシエーションで決まっている印象しかもてません。
農業委員会ないでの、適正な議論をするには、そもそも農地所有者であるとか、農業経営をやっているとかだけを要件にすることではなく、地域の農業全体をどのような方向に向かうべきかを考える人を選ぶ選挙である必要があると思うのです。
それは農業委員会の役割も、単に農地移転や転用を認めるかどうかといった判断だけでなく、農業政策、計画立案までをも審議するのでないと、主体的な機能を果たせないと思うのです。それは年齢がきたからとか、区長の推薦があったからとか、といったことで選ばれるべきでなく、きちんとした意見を持った人が公開討論を経て選ばれるのでないと、地域に必要な農業委員会にはなれないように思うのです。
農業委員会の重要な農地移転や転用の許可に関わる判断については、独自に決定することをほぼ否定する農水省の通知<農地法関係事務に係る処理基準>にのっとって各地の委員会が羽目を外さないように行っているのでしょう。お目付役は事務局ですね。
こういったことでは真の地域の特性にあった農地利用や農業の進展は見込み薄いと思うのです。
農地利用最適化推進委員は、従来選任されてきた農業委員の多くは高齢で(そういう名誉職的な地位とされてきた面があるでしょう)、平成20年改正時も、農地法改正の主目的の一つ、耕作放棄地の減少、農地の有効利用ということでしたが、それには農業委員が地域をパトロールして農地がどこか、耕作放棄地がどこか、発見すれば指導する体制整備をしましたが、頑張った農業委員会もあるものの、多くは高齢者が多く荒れた場所を見つけたり、ましてや所有者に意見するというところまでできたところは少なかったのではないでしょうか。
それが永遠に耕作放棄地40万ha(実体はもっと多いのではと思いますが)が残っているのだと思うのです。
では農地利用最適化推進委員が活躍して改善できるかですが、期待したいですが、農地について相当知見があり、指導力がないと、それほどうまくいくとは思えません。研修制度などで、成果をあげるのでしょうか。
30分あまり過ぎました。駆け足ですぎましたので、いい加減な記述になりましたが、今日はこのへんでおしまい。また明日。農地・農業委員会については、丁寧な議論が必要と思いますので、これに懲りず、次は捲土重来を期してまともな議論をしたいと思います。
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