たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

悪徳商法への対応 <NHK 助けて!きわめびと>で懐かしい人を見ながら

2018-06-30 | 消費者問題

180630 悪徳商法への対応 <NHK 助けて!きわめびと>で懐かしい人を見ながら

 

TVや新聞などでは昔の仲間が時々登場していて、普段は関心を惹かない内容でもつい見たり読んだりすることがあります。元気に頑張っているなとか、当時は楽しかったなとか、ちょっとした思い出を振り返ることもあります。

 

本を読みながら少しニュースを見ようかとチャンネルを変えていたところ、懐かしい人が画面に映っていたため、ついしばらく見てしまいました。

 

この番組自体はじめて見ますが、タイトルがすごいですね。<助けて!きわめびと>ですか。

 

続いて

<もう泣き寝入りしない親の買い物トラブルを妨げ!

きわめびと村千鶴子さんのワンポイシ卜

正しい知識を身につけて、買い物トラブルから身を守ろう!

 

となかなかテンポがいいですね。さて村さんは30年以上前、定期的に集まって議論したり、会食したりしていた仲間の一人です。当時は彼女が一番若かったような記憶です。気持ちもとても若々しく、明るい人でした。ただ、こういった消費者問題ではなく(当時も若い弁護士はたいてい手がけていましたが)、医療過誤問題でした。

 

医療過誤では私は別の女性弁護士とよく一緒にやっていましたが、村さんとは結局、一度もやったことがなく話仲間でしたが、当時からなにか目立つ人でしたね。

 

消費者問題を結構やられていて、たしか大学の教授としてしばらく教えていたこともあったように思いますね。実務でも相当場数を踏んできたのでしょうね。だから「きわめびと」といった恐れ多いような名称で呼ばれているのでしょうか。

 

番組では、ある悪徳商法の事例をドラマとして紹介して、村さんがその被害に遭った方の対応を見て、適切なアドバイスをするという流れでした。

 

途中から見たのですが、どうやら2人の青年が無料で布団を回収する?といった申し出を家人にして、回収作業中(後?)に家人に貴重品を見せてもらいたいと申し出て、家人が断ると、布団の回収をしないとか、あの手この手を使って、結局見せてしまい、高価なネックレスでしたか、これを適当に根付けして回収費用分と相殺するといった手口でした。

 

ま、この手の無料訪問サービスをうたった悪徳商法は昔から次々と新種が生まれていますので、無料と聞いただけでお断りするのが常套手段なのですが、相手も表向きは優しく繕っても心の中では必死ですから、なかなかそうもいかないのでしょうね。

 

さて村さんのアドバイスは<「契約しまぜん、帰ってください」>を一番に上げています。

<「断っている人に勧銃を続けた場合、行政処分の対象になる」と特定商取引法で規定されています。さらに「帰ってください」と何度も伝えているのに居座り続けると「不退去罪」という罪に問われます。>とのこと。

 

たしかに法的にはそうなんですが、一人住まいのお年寄りだと、なかなか言えないかもしれませんね。法律違反とか、犯罪とか言われても、冷静に考えることができたり、心底法律解釈を理解していれば、対応できるかもしれませんが、実際はなかなかできない人が多いのではと思うのです。

 

私が30年以上前結構消費者問題をやっていたときも、そういう方が多かったように思います。そのときに比べればクーリングオフ制度を含む消費者契約法などが充実して消費者保護制度が広がってきましたが、相手はその上をいっている感じでしょうか。

 

次の手法として、村さんは<困ったときは、電話番号「いやや(=188)」にかけて相談>としています。これはいいですね。「いやや」は覚えやすいです。私も初めて知りました。無料相談などで消費生活センターなどに連絡することを伝えるのですが、私自身、連絡先を手控えていないので、ネットで調べる余裕がないときは、ネットや104で調べてねとお願いします。

 

ただこの188はすぐに電話相談に対応してくれるわけではなく、身近な相談窓口を案内してくれるだけのようですから、そうだとすると、悪徳商法の相手方と交渉中だと、そんな相手を待たして電話する余裕がある人なら、おそらくこんな商法にひっかかることはないでしょうね。最低でも、普段から最寄りの相談窓口の連絡先くらいは控えておくことか、携帯電話に入力しておくことでしょうね。

 

3番目は<クーリング・オフを活用しよう!>ということです。それが今回の眼目だったかもしれません。この名称自体は割合よく知られていますが、その制度の仕組み、どんどん進化している改正内容となると、その詳細をフォローしていないと実際はわかっていないことがあります。私自身も、たまに相談があるので、そのときは調べますが、すぐに忘れてしまい、取引内容に応じてチェックする必要があります。

 

クリーニングオフの期間についても、契約書記載が適切な表示がされていないと期間制限の適用を受けないなど、細かなチェックが必要となるようですね。

 

さて今回の番組の話だと、基礎的な情報提供ということで、あえて村さんが話さなくてもよかったかもしれませんね。彼女はより先進分野を研究しているのではないでしょうか。でも<きわめびと>の話だと、同じ内容でも効き目が違うかもしれません。

 

ところで、私は消費者問題から離れてすでに四半世紀以上経過していますので、最近の実情はよくわかっていません。それでも消費者目線でいつも見ています。そのような視点からは、難しい話はそれはそれでいいのですが、現実的な対応策としては、「無料」のサービスはどのような内容であっても、すべてお断りを徹底することではないでしょうか。むろん、災害時のボランティアは大いに歓迎ですが。

 

そして万が一、そういった相手を玄関先で追い払うことができないときは、相手の前に、携帯でもスマホでも、どっちでもいいのですが、ボイスレコーダーをクリックして、録音することですね。取り出しただけで、相手はしゃべらなくなると思います。オフレコはここでは通用させません。そういったことが苦手なら隠し撮りでもいいでしょうけど。むろんどんなレコーダーでもいいので、ICやカセットテープもOKですね。

 

さらに言えば、録画するともっといですね。顔もわかるし、行動全部がわかりますね。

 

そんなことできないという人がだいたい被害に遭っていると思いますが、最近、スマホが手軽になってきたので、気持ちを改め、なにかあれば録画、あるいは録音することを、ふだんから予行演習?くらいの気持ちでやっていれば、その場ですっと使えると思います。

 

法律の話はその後でもいいかもしれません。

 

村さんの快活でお元気そうな姿を見て、私も少し明るく頑張らないと、と思う次第です。

 

今日はこんなところでおしまい。また明日。

 

 

 


紀氏と「木村」姓 <日本人のおなまえっ!選【村がつく名字】>を見ながら

2018-06-29 | 紀ノ川の歴史・文化・地理など

180629 紀氏と「木村」姓 <日本人のおなまえっ!選【村がつく名字】>を見ながら

 

昨日も少しむしむしする夜でした。そしてサッカー・ロシアW杯の決勝トーナメント進出をかけた大一番が始まる午後11時がもうすぐでした。が、その開始時刻を迎える前に眠気が勝ってしまい、試合の行方は夢の中。

 

今朝のNHKラジオ番組「すっぴん」では高橋源一郎氏登場の日なので久しぶりに聞いていると、源一郎さん(とラジオでは呼ばれているのでそう呼称させてもらいます)は日本中?が騒いでいるロシア大会のこと、日本代表チームの活躍や決勝進出のことも、一切知らない、蚊帳の外にあって、初めて知ったとのこと。これは素晴らしい、だれもがTVや多様な情報媒体が取り上げるテーマに踊るわけではないのですから、当然ですね。源一郎さんのいいところはこういう情報の波を気にしないところでしょうか。

 

ところで、決勝進出という結果はわかったのですが、その後の情報を確認すると、見ていた人は誰もが冷や汗をかくどころか、日本チームの試合運びに不満やわけがわからないといったいらだちもあったことが想像できます。見なくて良かったと思う次第です。

 

とはいえ、西野監督の恐るべき決断と選手一丸の薄氷の上を歩くプレイは、仮に決勝進出できなかったとしても、評価されてもいいかもしれません。それはサッカーの試合、ワールドカップの意義を貶めるとの批判とか疑問を私も感じつつ、他方でそこまで割り切れるメンバーたちにやはり拍手を送りたい思いです。

 

またまたサッカーW杯の行方の話になりましたが、昨夜はNHK番組を見て少し考えながらぐっすり眠ってしまったのです。それは<人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!選【村がつく名字】>です。時々見ていますが、見るたびに人の名前っていろんな姓があり、面白い来歴があるものだと感心するのです。

 

昨夜も「村」のつくいろいろな名前の由来が話題となりました。その中で、「木村」という名前について、私は考えたこともありませんでしたが、紀氏と関係することがわかりました。

 

途中から見たので正確ではないですが、たしか木村という地名が使われているところが全国に4カ所か5カ所あり、それが紀氏と関係するというのです。普通は木が多いところとか、特別な木が生えているところとか、そういったイメージを浮かべますが、紀氏という氏族が古代に拠点を置いていたことから名前が残ったようです。氏族の名前というと、逆に地名の名前からとったとも言われますね。

 

紀氏といえば、藤原不比等を筆頭に藤原家が政権を担うようになる前までは、大伴氏とともに文武両道に秀でて、軍事部門を担う有力者だったと思います。

 

桓武天皇の時代ころに、東北蝦夷の征討軍を率いたのは当初は、たしか大伴氏、紀氏でした。その紀氏の一門が関東など各地で拠点を置き、中には古墳を作ったようです。そういった拠点の中に、紀氏の村という名前が残り、いつの間にか「木村」に変わったのでしょうか。

 

あるいは紀氏という名称を使うことがはばかれるようになったのでしょうか、「木」という当て字を使うようになったのでしょうかね。類似のケースとしては、蘇我氏の場合はいえるのではないでしょうか。「蘇我」という地名は千葉市の近隣にある場所しか知りませんが、ほとんどは曽我とか、曽賀とかに地名も、人名も変わったのではないかと思うのです。

 

ところで、紀氏については、以前も紹介した日根輝己氏がいくつかの著作で詳しく論述していて、『紀氏は大王だった』では天皇に匹敵する存在であった可能性を示唆しているように思います。その中身はいま思い出せないので、割愛します。

 

ここまで紀氏を取り上げてきたのは、「紀ノ川」という名前をいつも心のどこかで気にしているからです。一級河川というのは行政上の区分ですが、紀ノ川はむろん一級河川ですし、やはり大河の一つといってもよいと思うのです。でも不思議なのは和歌山県境を東に一歩踏み入れると、吉野川に名前が変わるのです。いつからそうなったのでしょうか。いや、そもそもどちらが先に名前がつけられたのでしょうか。はじめから2つの名前だったのでしょうか。それが不思議なのです。

 

これだけの大河の名前が流況なり河川形態上、識別するものがないのに、昔で言えば国が変わったから名前が変わるといったことがあったのでしょうかね。あまり調べたことがありませんが、支流になると(そう識別されると)、別の名称がつけられるのはわかります。でも吉野は国名でもないですね。地域の名前として古代では宮をおいたりして、由緒正しかったので?、吉野川ありきだったのでしょうか。

 

他方で、紀伊の国に入ると(紀氏がいつ頃からいつ頃までこの地に支配を及ぼしていたかはっきりしませんが)、紀ノ川と名前を変えるだけの影響力があったのでしょうね。といっても吉野川も、紀ノ川もその名前の命名時期をいつ頃とできるのかもわかりませんが。

 

実際、行政上は、戦後初期にようやく吉野川と紀ノ川を総合する河川計画が樹立できたようで、何百年にわたって水利・治水事業を総合的に行うことを阻んできたわけですから、名前の違い以上に、その河川流域の人たちにとってみれば、大きな壁があったのでしょう。

 

さて分けのわからない顛末になりそうですので、この辺でおしまいとします。また明日。


ドラレコの活用と配慮 <橋本市 公用車設置のドラレコ映像、警察に提供>を読みながら

2018-06-28 | 事故と安全対策 車・交通計画

180628 ドラレコの活用と配慮 <橋本市 公用車設置のドラレコ映像、警察に提供>を読みながら

 

映像の威力というか、その効果は相当なものですね。以前、あるタイヤ盗難事件で、防犯カメラに撮影された映像が決め手となって逮捕された事件を担当したことがあります。被害者の方にお見舞いと示談の話のために伺うと、その防犯カメラは買ったばかりで、すぐに効果が出たとのことで、見せてもらいました。たしかに映像にはしっかり被疑者の盗難の様子や被疑者を特定する車両番号が映っていました。動かぬ証拠ですね。

 

それから相当経過していますので、ますますこういった映像はクリアになってきていると思います。むろん関係ない人が道路を歩く姿も映っているので、それを問題にする考えもあるでしょうけど、公共の場での姿は合理的な範囲で撮影も許容されるのではと思います。むろんその映像を利用する場合は犯罪の証拠など必要性・合理性がないとプライバシー保護との権衡を損ねることになるでしょう。

 

さて動く動画、ドライブレコーダーも、飛躍的に増えているようです。私は以前の車につけていましたが、今の車にはつけていません。迷いましたが、最初は時折、後から見ていましたが、すぐに飽きてしまい、その後は一度も見たことがありません。むろんこれは滅多に起こらない交通事故の検証には役立つでしょうと思いますから、人には勧めるのですが、今のところ躊躇しています。全方位カメラでいいのがないのですね。このことは以前にも書いた記憶があるので、これ以上は触れないことにします。

 

今日の話題はそのドラレコの活用です。毎日朝刊和歌山版では<橋本市公用車設置のドラレコ映像、警察に提供 かつらぎ署と協定「動く防犯カメラ」活用>との見出しで、取り上げています。

 

<橋本市は27日、公用車に設置したドライブレコーダーの映像提供に関する協定を橋本、かつらぎ両署と結んだ。市町村と警察署レベルでの提供協定は県内で初めて。【松野和生】>

 

<昨年12月定例議会で議員からレコーダーを「動く防犯カメラ」として活用する提案があり、個人情報保護についても検討した上で協定を結ぶことになった。現在所有する240台のうち200台が設置済みで、19年度末までに全車に搭載する。>

 

<協定では、市は犯罪や事故が起き、警察の依頼があった場合に映像を提供する。併せて公用車を運転中の職員が犯罪・事故情報を知った場合、速やかに警察へ通報する。>

 

なんとなくいいことづくしにも聞こえますが、さてさてどの程度効果が上がるのか、期待しつつ注視してみたいと思います。

 

というのは、まず市公用車搭載のドラレコ映像の提供と言うことですから、仮に全車両としても240台ですから、情報提供が限られているという印象です。また、市公用車は市内各地を回っていると思いますが、それでもあらゆる場所をというよりは割と決まった場所への移動が多いのではないでしょうか。しかも夜間というか、通常の勤務時間外だとさほど運行しているとは思えません。その意味で、場所・時間の点で情報が限られるのは仕方ないでしょうね。

 

犯罪に加えて事故が発生した場合に警察から依頼があれば情報提供する仕組みですから、犯罪に関わる情報がどこまで提供できるかは別として、巡回など回っているだけで犯罪予防効果になることは考えられますね。交通事故を含め災害などの事故の場合も警察権が発動するような場合対象になるのでしょう。

 

ただ、気になるのは、たとえば物件事故のような場合、警察ではほとんど記録として事故原因を特定することができるような情報を収集保管していないので、情報提供は期待できません。ところが交通事故の物件事故ではそういう場合に警察が入手した記録を利用できると当事者にとっては大助かりとなるに違いありません。別に弁護士に依頼しなくても保険会社担当者がドラレコを入手できれば、相当程度決め手になる可能性があるでしょう。

 

他方で、地震・洪水・土砂崩れなどの災害の場合でも、災害事前対応で発生前、発生後に現場にかけつける公用車も少なくないと思いますので、そのとき災害発生の前兆、たとえば擁壁に亀裂があったとか、水位がどの段階であったとか、さまざまな情報を分析するのに有効な情報になる可能性もあるでしょう。それが業務上過失を検討する上で役立つかもしれません。

 

とはいえ、やはり物量的には少ないですね。あまり監視社会になってはいけませんが、公共の場での活動はある程度、撮影されることはドラレコの普及も相まって、多くの方から支持されているように思うのです。そうであれば、さらに進んで、宅配便や郵便車両などより広範な活用を検討してもいいのではないかと思うのです。その場合に警察による利用をすべて警察内部と情報提供者間で決めるのではなく、第三者的な監視機関によるその利用について検証する仕組みも必要かと思います。

 

最近、橋本市管内は刑事事件の件数が減ってきている?のではないか、平穏な社会になりつつあるのではないかと思いながらも、橋本市と各警察署の取り組みは評価したいと思っています。とはいえ、その活用のあり方についてはプライバシーへの配慮をどのようにはかるか制度的担保をしてもらいたいものです。

 

違った使い方では、ドラレコ映像を抽出して、防災的視点、観光的視点などさまざまな角度から行政が検討することも意味があるように思いますし、また、地域懇談会などで活用することも意義があるのではと思っています。これをうまく活用するにはAIの活用が必要かもしれません。人海戦術だととても大変かも・・・

 

と野暮な話をしました。この辺でちょうどいい時間となりました。おしまい。また明日。


国際結婚破綻と子の扱い <ハーグ条約 子の引き渡し実効性強化>を読みながら

2018-06-27 | 家族・親子

180626 国際結婚破綻と子の扱い <ハーグ条約 子の引き渡し実効性強化>を読みながら

 

今日は今年初めて蒸し暑さを感じました。いえ、そんなことはないという声もあるとは思いますが、昨晩から今朝まで結構な蒸し暑さでした。普段は4時台か5時頃には目が覚めるのですが、6時を回っていました。まだ年寄りになりきれていないなと思ってしまいます。

 

ま、北斎先生からすると、70代、80代でもひよっこ同然?でしょうから、まだ60代でとどまっている私の場合はそれ以下です。若いというのか未熟というのか・・・ま、最近の世情では、少しでも若い方がいい、いや若く見えたらいいということですが、これまた変わった意識ですね。

 

それと同じようなことを少し感じるのは国際結婚の破綻をめぐる問題です。結婚自体は、日本人同士でも外国人とでも、十分に法令や社会規範を意識して、あるいは結婚後の生活などを予想してすることはあまりないでしょうね。そういうと失礼というか、私たちは違うという人もいるでしょうけど、それはそれでいいのです。

 

問題は、結婚が破綻したとき、生まれた子供はどうなるかについて十分検討していないことが多いように思うのです。

 

といっても、私自身、とくに離婚に関わるような家事事件は、当地にやってくるまで、友人の精通した弁護士に事件をお願いしていたので、基本的に関わってこなかったのですから、最近ビギナーから初めてある程度事件を取り扱うようになったくらいです。

 

ただ、東京で仕事をしているとき、事務所の後輩弁護士が離婚調停中に、夫が引き取っていた子供を母親が連れ去った事件を担当していて、事件の内容そのものは知りませんが、大変だな、私には向かないなと思ったくらいです。当時は企業法務を担当していたように思います。

 

また脇道にそれましたが、今日は、というか今日も簡単にまとめて7時前には事務所を出ようと思っていますので、このテーマを選んでいます。

 

昨夕の毎日記事<ハーグ条約子の引き渡し実効性強化 実施法見直し 法相方針>は、今後国際結婚・破綻した当事者にとっては大きな変化になるように思います。いや、場合によっては国内での日本人同士の婚姻・離婚を取り扱う実務にも影響を与えるかもしれません。

 

記事は<上川陽子法相は26日の閣議後記者会見で、国際結婚の破綻により一方の親が無断で母国へ連れ帰った子の扱いなどを定めた「ハーグ条約」について、国内の実施法を見直す方針を示した。日本は2014年に加盟したが、日本に子を連れ帰った親が引き渡しを拒む事例が相次ぎ、実効性が疑問視されている。法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会は、月内にも返還の強制執行手続きの見直し試案をとりまとめ、今秋の答申を目指す。【和田武士】>とハーグ条約に適合するように国内法を整備しようとする動きを報じています。

 

これまでもなんども議論されてきたと思いますので、まだ簡単に方向性が固まったとは思えませんが、国際的な潮流というべきか、ハーグ条約の趣旨に沿うことが求められるのはやむを得ないかもしれません。

 

ハーグ条約の解説では<正式名称は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」。主に国際結婚で破綻したケースが想定されているが、同じ国籍の夫婦にも適用される。残された方の親が子の返還を求めた場合、相手国の裁判所が元の国に戻すかどうか判断する。また、海外に連れ出された子との面会を求めた場合、相手国の支援を受けられる。>

 

<条約は、一方の親が断りなく16歳未満の子を国外に連れ出した場合、残された親の求めに応じて原則として子を元の国に戻さなければならないとしている。元の国に住む親から子を帰すよう申し立てを受けた裁判所が可否を判断する。>

 

ここには男性・女性の区別はありません。実際は、女性が国外に連れ出すケースが多いのではないでしょうか。母親の場合とくに子供が幼いと自分が育てる意識が強いでしょうし、子供も母親により親しむというか居心地がいいと感じるのではと思うのではないかと考えます。というのはわが国の常識であっても国際的に通用するかどうかですね。

 

いや、わが国でも最近は男性側も単に昔ながらの家を継ぐためといった意識から、子供を育てる意識が高まってきているように思えます。とはいえ、実務上は、一定の年齢以下だとよほどでないと父親に親権が付与されることはない、あるいは少ないという印象です。

 

しかし、海外の多くの先進国では共働きが普通で、ともに育てる意識が高いのですから、母親がとくに優れているといった観念はあまりないのではという印象です(これは別に調べたわけではありませんので)。

 

海外で結婚して破綻した後、帰国する際子供を連れて帰るということは、国内での離婚の事例では普通であっても、ハーブ条約というか国際法の世界では許容されないわけです。

 

その裁判所の判断は原則的に元の国戻すということですが、多くは素直に従わないですね。そのときの引き渡しの実効性をより強化しようと言うことです。

 

<その判断に従うことなく引き渡しに応じない場合は、制裁金が科される「間接強制」を経て、裁判所の執行官が子の居場所を訪ねて親に引き渡しを求める「代替執行」を行う。ただ、子を力ずくで引き離すことや、同居する親がいない場所で子を連れ戻すことはできない。>

 

ところが、これまでのわが国の実情は、国内離婚実務に影響してか、代替執行といった方法はなかなかとらないわけですね。それがハーグ条約の義務「不履行国」という不名誉な評価を受けたので、対応に取り組んでいるわけです。

 

<法制審の民事執行法部会の試案は、(1)間接強制の手続きを原則、不要とする(2)子の返還を求めている親が立ち会えば、同居する親と子が一緒にいなくても代替執行ができる--との方向で検討されている。>

 

しかし、わが国の子供の引き渡しについてはそのような強制執行手続を規定した法律がないので、実務の世界ではなかなかうまくいかないというのでしょう。

 

<そのため試案には、ハーグ条約の国内実施法の見直しと同様の強制執行手続きの規定を盛り込む方針。>

 

こうなると、国際結婚の破綻と言った海外事案だけでなく、国内破綻でも、実家に連れて行った子供の引き渡し問題がクローズアップしてくる可能性が増えるでしょうね。

 

夫婦・子供が住む自宅から、いずれかが子供を他方に無断で連れて実家かどこかに住むということは、他方にDVがあるとか連れ出すことに合理的な理由があれば別ですが、そうでないと引き渡しを求められる可能性が高くなるかもしれません。

 

わが国ではまだそういう状況にはないと思いつつ、いずれはそうなるかもしれないとふと思った次第です。

 

今日はこれにておしまい。また明日。


農業と経営を考える <経営塾 育て!“農”のリーダー 県が実施、専門家に戦略学ぶ・・・和歌山>を読みながら

2018-06-26 | 農林業のあり方

180626 農業と経営を考える <経営塾 育て!“農”のリーダー 県が実施、専門家に戦略学ぶ・・・和歌山>を読みながら

 

今日はなにかと忙しくて、会議などを終えたらもう7時を大きく回っています。簡潔に終わらせようと思い、少し難しいテーマは別の機会に譲り、見出しの記事を取り上げることにしました。

 

とはいえ、農業と経営というとほんとうはとても難解なテーマスですので、記事を頼りに安普請で仕上げたいと思います。

 

農業とはなんでしょうかね。少なくとも資本主義社会においては農地を利用して農産物を生産し、収益を得る事業を行うことでしょう。単に農産物を生産して自活できればいいということではないと思います。しかし、農地改革で生まれた小規模零細農家は一方でその収益を上げられず、農地を放棄し、あるいは兼業農家として本業を別に求めるなどして、なんとか維持している人も少なくないでしょう。大地主だった農家は小規模化して経営する能力を失ったかもしれません。他方で、多くは地道に、あるいは画期的な栽培方法を開発するなどして、収益を飛躍的に増大させ、農地を拡大化した農家も少なくないでしょう。

 

それにしても農業経営という議論は、なかなか俎上にのってこなかったように思うのです。農業技術を教える学校や各地にあると思いますし、研究機関も多数あると思います。しかし、農業経営となるとさほどおおくないように思います。実は私は最近まで知りませんでした。

 

今朝の毎日記事和歌山版では<経営塾育て!“農”のリーダー 県が実施、専門家に戦略学ぶ 来月17日スタート 受講生募集中 /和歌山>では、経営塾をスタートさせたというのです。

 

<農業分野で経営感覚を備えたリーダーを育てるため、県は今年度、経営講座「わかやま農業MBA塾」を初めて実施する。就農人口減少と高齢化が進む中、規模拡大や雇用創出につなげ、農産地の振興を目指す。7月4日まで受講生を募集している。【高橋真志】>

 

農業MBAとはすごい名称ですね。和歌山県は農業を主たる産業としていると思いますが、実態は危機的状況にあるようです。

<農林水産省が公表した2015年の農林業センサスによると、県内の農業就業人口(兼業農家も含む)は約3万7000人で、10年間で25%減った。75歳以上はほぼ横ばいだったが、働き盛りの49歳以下は半減し、高齢化が進行している。一方、近年の新規就農者は130人前後にとどまっている。

 山地が8割を占める県内は、農家減少などに伴う遊休地が増え、効率的な経営を阻んでいる。>

 

そこで<県はこうした状況が続けば、将来的に産地が維持できなくなると懸念し、塾の実施を決めた。>というのですね。

 

期待したいと思うのですが、その内容は残念ながら<農業MBA>という看板について過大広告と言われないか懸念してしまいそうなものと考えるのはちょっと言い過ぎでしょうかね。

 

<塾では7月17日から来年3月5日の間に12回の講座を開く。農業に詳しいコンサルタントや先進的な取り組みをしている農家、公認会計士らを講師に招き、経営戦略や財務管理、マーケティングなど幅広い内容を学ぶ。

 ・・・ 定員20人程度で、受講料は2万円。対象者としては、県内で農業に従事▽就農年数がおおむね5年以上で青色申告の知識がある▽経営や地域の発展に意欲がある--人を想定している。>

 

はてさて12回の講義で、経営戦略や財務管理などを学ぶのはよろしいのですが、受講料2万円という過激に低廉な額と、<わかやま農業MBA>のカリキュラムと時間を見たとき、それでどのくらい生きた経営能力を培うことができるか、はたと気になりました。

 

たしかに12回とはいえ、毎回6時間近い講義があるのですから、相当な長時間です。しかし経営管理の経験があったり知識があれば別ですが、単に農業経験があることだけでは、この講義についていくこと自体簡単ではないでしょう。むろん講義内容次第によっては相当実践的な能力を培うことができるかもしれませんが、カリキュラムの幅広い内容から、短期間で取得するには容易でないと思われます。

 

よほど講義者も、参加者も双方のコミュニケーションをうまく取り合っていないと、上滑りするリスクが多いと思います。とはいえ、このような取り組みには賛成したいと思いますし、どんどん参加者が増え、和歌山県での新しい農業経営の担い手が革新的な道を切り開いてくれることを期待したいと思っています。

 

ところで、この種の取り組みはすでに多様な形で始まっているようです。たとえば日本農業経営大学校 堀口健治 校長は<目指すは「農業のMBA」。日本農業経営大学校の挑戦>と銘打って、ここでは和歌山県のような縛りはなく、都会らしく門戸を広げる一方、全寮制など本格的な大学方式を採用しています。

 

他方で高い学費制をとりながら、農業に就職することで免除される方式も採用しているようです。

2年間で必要な学費等は、寮費を含めて320万円です。一方で当校は農林水産省による青年就農給付金制度の対象となっており、学生の大半がこの給付金に応募し、給付を受けています。青年就農給付金制度では2年間で300万円が本人に給付されます。つまり給付されたらそれで支払い、不足する20万円を本人が用意すれば済む計算になります。卒業後に一定期間、独立・自営型の就農、または雇用就農することが給付の条件になっているのですが、当校の生徒は卒業後に就農しますので給付金を返済する必要はありません。>

 

ほんとうにそのとおり順調にいくかは気になるところですが、私自身、農業MBAをうたうのであれば、このくらい本格的なものでないといけないのではとも思うのです。

 

いずれにしてもさまざまな方式で農業経営というものをしっかり学ぶ時代がやってきたと思うのです。それはGHQや農地改革を進めた識者・官僚らが当時、農地改革後の制度化を図ろうとしたのが挫折したのをようやく持ち替えそうとしているようにもみえるのです。

 

これが林業分野となると、林業経営という書物自体、最近ではほとんど発刊されていないように思いますし、大学でもあまり講座がないのでないでしょうか。残念に思います。

 

といって、農業経営や林業経営が単に、収益の増大を目指すだけであれば、それは問題です。現代の経営は地球環境あっての経営であることが基本ですから、そのような視点での教育が欠けているとこれまた問題でしょう。

 

これで30分となりました。今日はこれにておしまい。また明日。