190117 ひげを考える <ひげ理由に低評価ダメ>を読みながら
今日もとくに取り上げたい話題がなく、パスしようかと思いながら、ふとこの記事にでくわしました。
今朝の毎日記事<訴訟ひげ理由に低評価ダメ 地裁、大阪市に44万円賠償命令>です。そういえば大阪市が入れ墨とかを問題にしたことがありましたね。口ひげも問題にしていたのですね。
記事によると<ひげをそらなかったことを理由に不当に低い人事評価を受けたとして、大阪市営地下鉄(当時)の運転士2人が、市に慰謝料など計約450万円の賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は16日、計44万円の支払いを命じた。>とのこと。
理由は<内藤裕之裁判長は「ひげを理由に減点評価したのは、裁量権の逸脱で違法」と判断した。>です。
具体的には<判決などによると、市は2012年、服務規律を強化する職員基本条例を制定。市交通局(当時)も、ひげをそるよう求める内規を設け、従わなかった2人は13、14年度の人事で低評価を受けた。>大阪市は服務規律を条例で強化したのですね。で、ひげはダメということにしたようです。たしかに行政職員の中でひげを生やしている人はすくないかもしれません。でも結構ひげがふさふさした人もどこかで見かけたような記憶です。
ひげを生やしていない人でも、ルーズな性格だと(そうとばかりいえないかもしれませんが)、そり方がいい加減だったり、剃る回数が少ないため、いわゆる無精ひげが目立つ人もいますね。これはどうかと思います。身だしなみくらいは、行政マンとして、また社会人としてきちんとしてもらいたいものです。と口では私もいいますが、まさに身だしなみに気をつけるタイプではないので、頭の髪も口ひげも結構適当にやってきました。
そもそも私の口ひげは、熱帯林調査でボルネオ島に入り、現地の先住民の多くが口ひげを自慢そうにふさふささせていることに驚きつつ、ひげを剃るのを失念していて、いつの間にか生えていたのでした。それまでひげが少なく、薄いので、口ひげを生やすなんて考えたことがありませんでしたが、若干生えたのを見てまんざらでもないかと思ってしまったのです。というか、これは楽でいいと思ったのです。しばらく放置していてもまあなんとかなると勝手に考えたわけです。
最初は口ひげだけでしたが、次第に無精が身についてあごひげも生やしだし、日々楽なスタイルを通していました。私の場合とても個性を表現するといったこととはかけ離れていましたが、手入れをしないでいいので、その後続いています。ただ、ある時期、あごひげは事情があって剃りました。また高齢の域に達してからは、あまりにひどいと余計に老いぼれて見える?と思ったのか、少しずつ手入れをするようになりました。
頭髪も床屋に行かない時代もありましたが、最近は毎月定期的に行っています。少しは身だしなみを気にしておかないと、よぼよぼの老人扱いをされそう?です。
さて本題の口ひげの自由を訴えた方に話を戻します。記事では<運転士側は、内規が個人の尊重や幸福追求権を定めた憲法13条に反すると主張。市側は、他の鉄道会社にも同様の規定があるなどと反論していた。判決は、人事評価の理由にすることは服務規律の限度を超えると指摘した。>
まあ憲法違反かどうかはともかく、服務規律としてどうかと思いますし、それを理由に人事評価まで低くするとなるとアウトでしょうね。なぜ大阪市はここまで厳しい姿勢をとったのでしょう。
<判決後に記者会見した河野英司さん(56)は「ひげは個性の表現で、そると自分ではなくなる。伸ばす自由が認められてうれしい」と話した。【戸上文恵】>という気持ちは、私のようなずぼらではやしている場合でも、それをはやしてはダメ、口ひげを生やしていると人事評価を下げますよとなったら、いやでも反抗したくなりますね。
だいたい、口ひげによって、行政の評価が下がるとか、仕事の効率が落ちるとか、あるいは職員全体の士気が落ちるとか、いろいろ主張されそうな理由があるでしょうけど、合理的とは言えないように思います。
むろん私は当該服務規律の規定自体を読んでいませんし、今回の事件でどのような点で低い評価されたか、この記事以上にわかっているわけではないので、この条例を策定したご本人に説明してもらわないと、断定的なことはいえません。
ただ、記事で取り上げた反論のように、他の行政でやっているからといった、横並び式の対応であれば、これは恥ずかしい話でしょう。
私自身、なにがきちんとしたスタイル、対応かは特別考えておりませんが、なぜ背広でなければいけないか、ネクタイをしないといけないか、制服でなければいけないか、といったことも根本的に検討されるべきだと思います。
韓国徴用工事件で、関係のない興味をもったことがあります。記者会見に登場した、担当弁護士の衣服が自由自在という感じだったことです。若い方ということもありますが、その衣服の自由さに少し驚きました。たしかネクタイをするような格好の人もいなかったように思います。私はそれでよいと思っています。仕事と服装は直接関係ない。自由に服装や頭髪などの容姿を決めればいいと思うのです。それがアイデンティティだとまで私は思っているわけではありませんが、そんなことはあれこれ言う話ではないでしょうと思うのです。
まして口ひげのあるなしにどうこういうのはいかがかと思うのです。組織、さらには公共サービスを担う行政の場合は違う、なんてことは本来ないと思うのです。
律令制で衣服や髪型、色など、事細かく決めた時代ならともかく、身分制の江戸時代を超えて、さらに独特の天皇制国家をようやく乗り越えたのですから、自由はできるだけ尊重したいし、してもらいたいものです。
今日はこのへんでおしまい。またあした。