寅さんの帝釈天を訪ねた 関西の老夫婦。
「春やな 何やかやいうて また桜の季節になってしもた。」
「パッと 咲いて明かるうなって パッと散る。桜もなんか淋しな。
桜吹雪の 鈴木清順も亡うなってしもたし。」
「わしみたいな 人生義理を欠いたジジイでも、毎年桜を見るのは楽しい。
桜はええな。」
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ー行き交う人もまた旅人なりー
「人に病んで 矢切の渡しに桜散る さよならだけが人生だ」
「どっかで聞いたことある句やな。
桜散る やのうて 桜咲く のほうがええんやない。」
「もう 希望もてる歳やないからこれでええんや。」
「話変わるけどな 映画見てて 二つおもろいこと見つけたんや。
81年のジャック・ニコルソンやのうて、46年のラナ・ターナーの
郵便配達は出てこん <郵便配達は二度ベルを鳴らす>ちゅう映画や
そん中でな 日本では見たことのないLPのジュークボックスが出てきたんや。
めずらしいやろ。70年にNYに行った時 はじめて見てな、
これはええもんや、と思た。シングルレコードのジュークボックスしか見たことなかったからな。
ビックリしたのを覚えとる。それが映画の中に出てきてな なんやうれしいてな。
もうひとつはな 主人公の悪い奴がな こんなセリフ吐きよったんや。
”生きてるだけでもうけもん” ちゅうんや。これ さんまのセリフやろ。
どっちが先か 聞いてみなな。」
「ほな さいなら。」
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